シンプラル法律事務所
〒530-0047 大阪市北区西天満2丁目6番8号 堂島ビルヂング823号室TEL(06)6363-1860
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP−TOP |
真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP−トップ |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
★第3 信用取引(手引、第6版、357頁〜) | |||
◆ | ◆1 概要 | ||
■ | ■(1) 意義と仕組み | ||
● | ●(A) 意義 | ||
信用取引:「金融商品取引業者が顧客に信用を供与して行う有価証券の売買その他の取引」 投資者が、有価証券の売買を行うに際に、購入代金を証券会社から借りて株式を買い付け、または、売却株式を借りて株式を売却する取引。 〜 投資者が株式を購入する代金がなくてとも、株式を買い付けることができるし、売却する株式がなくとも株式を売却することができるシステム。 |
|||
● | ●(B) 制度信用取引と一般信用取引 | ||
制度信用取引: 品貸料や弁済の期限が、取引所規則により決定されている信用取引。 制度信用取引を行える証券は証券取引所に上場している株式等で、証券金融会社と証券会社との間で株式や資金の貸借が行われることになる。 |
|||
● | ●(C) 信用取引と先物取引 | ||
信用取引の現物取引。 | |||
金融商品先物取引:「売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品及びその対価の授受を約する売買であって、当該売買の目的となっている金融商品の転売又は買戻しをしたときは差金の授受によって決済することができる取引をいう」 | |||
● | ●(D) 取引の仕組み | ||
投資者は、証券会社から購入代金を借りるか、売却株式を借りて、証券取引所との間では受渡しの決済をする。 6か月の弁済期間の間に証券会社との間でも決済(清算)をし、借入金を返済するか株を引き渡すかしなければならない。 具体的な金利は、市場金利の変動に応じて決められる。 |
|||
決済(清算)方法: @反対売買を行い(買方、つまりお金を借りて株を買った場合には、株を売却し、売方、つまり株式を借りて売った場合には、株を買い付けること)、差損益金決済をするというやり方と A買付代金全額を実際に支払って株式を受け取る(品受けないし現引き(買方))、売却した株式を別途手に入れて実際に引き渡して売却代金を受け取る(品渡しないし現渡し(売方))というやり方 |
|||
● | ●(E) 対象 | ||
金融商品取引法上は、信用取引できる銘柄に制限はない。 but 証券取引所および日本証券業協会の規定で、信用取引ができる銘柄は、事実上、上場銘柄の中から証券取引所が選定した銘柄に限られる(信用銘柄)。 そのうち、証券会社が投資者に信用を供与する資金や株式を証券金融会社から調達することができる銘柄(貸借銘柄)。 |
|||
貸借銘柄でない信用銘柄の場合、証券会社自身が投資者に貸す資金や株式を常に用意していなければならない⇒信用取引で取引される銘柄は、実際には貸借銘柄に限られている。 | |||
● | ●(F) 取引にかかる費用 | ||
お金を借りて株式を購入(買方)⇒金利がとられる。 株式を借りて売却(売方)⇒売却代金が他のとして証券会社に預けられているため、利息がもらえる。 |
|||
● | ●(G) 信用金利・品貸料・逆日歩 | ||
◎ | ◎(a) 信用金利 | ||
◎ | ◎(b) 貸株料 | ||
信用取引で売方⇒株式を借りる⇒借株料(年1〜2%の日割り計算) | |||
◎ | ◎(c) 逆日歩 | ||
買方がいくら増えても、買方が必要とする「資金は無限にある⇒証券会社ないし証券金融会社が調達できる。 but 売方が増えすぎると、証券会社ないし証券金融会社において、株式の調達に困難を来すことになる。 |
|||
通常: 買方>売方 買方が信用取引で買った株式を証券会社ないし、証券金融会社が預かり、その中から売方に株式を貸すことで、問題なく運営。 |
|||
売方>買方 証券会社ないし証券金融会社は手元に株式では足りず、株式の機関投資者等から調達⇒高い代金を支払って調達(借りてくる)⇒この分につき、売方から特別の借株料を徴収(=逆日歩) |
|||
逆日歩は、市場において貸株残が借株残を超過した場合に、売方全員が支払い、買方全員が受け取る。 | |||
■ | ■(2) 取引の実態 | ||
● | ●(A) 投資勧誘 | ||
信用取引による株式の売買取引が、ともすれば投機的な取引になりやすい⇒ | |||
● | ●(B) 委託注文 | ||
● | ●(C) 注文伝票の作成 | ||
● | ●(D) 注文の取次ぎ | ||
● | ●(E) 委託保証金 | ||
● | ●(F) 貸付け | ||
● | ●(G) 追証 | ||
● | ●(H) 弁済 | ||
◎ | ◎(a) 反対売買による方法 | ||
◎ | ◎(b) 受渡決裁による方法 | ||
◆ | ◆2 委託保証金 | ||
■ | ■(1) 必要金額 | ||
■ | ■(2) 維持率と追加保証金 | ||
◆ | ◆3 信用取引の問題点 (364頁〜) | ||
■ | ■(1) ハイリスク | ||
信用取引の場合には、弁済の期限が6か月に限定⇒買った時よりも値段が下がっていて損失がわかっていても、損失を覚悟で決済しなければならない⇒利益を上げることが困難。 | |||
途中で株価が変動すれば、追証が発生し、追加の保証金を支払わなければならなくなる。 ⇒@損をして決済するか、A追加の保証金を入れて期限まで待つかは、難しい判断であるし、判断を誤れば損失が拡大。 |
|||
複数の銘柄を同時に取引している場合には、そのリスクの管理はさらに難しくなる。 | |||
■ | ■(2) 回転売買の温床 | ||
現物株取引に比べて手数料の割合が高くなる。 | |||
現物取引であれば、4営業日目に決済しなければならない⇒取引額に相当する現金を全額用意しなければならない。 but 信用取引では、現実の決済が6か月等、先⇒外務員の中には、一定の資産をもつ投資者に対して、すでに保有している現物株等を保証金代用有価証券にすることによって、取引金額に比べると少ない現金で取引が可能な信用取引で大きな取引を勧め、短期間で売り買いを繰り返し、株式売買手数料を稼ぐ者もおり、手数料稼ぎのための回転売買の温床ともなっている。 |
|||
■ | ■(3) 代用証券による二重の危険 | ||
委託保証金は、現金の代わりに株式などの有価証券で代用することもできる。 | |||
代用証券となっている株式が値下がり⇒保証金の維持率割れ⇒追加保証金を支払わなくてはならない。 代用証券となる株式の売却⇒そのことによって保証金維持率割れ⇒別途保証金を用意するなどしなければならなくなる。 信用取引で買い建てた株と同一銘柄の現物株を代用証券⇒その銘柄が値下がりすると、評価損とともに保証金額自体も下げる⇒追証発生の危険がさらに高くなる。 現物株を代用証券⇒信用取引自体の危険性にとどまらず、代用証券の処分にも制限⇒投資者の投資判断はさらに難しくなる。 |
|||
◆ | ◆4 参考裁判例 | ||
信用取引について勧誘の不法行為が認められた判決 (1)逆日歩の説明等、信用取引特有の問題が争点になったもの(@) (2)信用取引が頻繁売買の手段として用いられて、主に頻繁売買としての問題が争点になっているもの(AB) (3)各社の信用取引開始基準が問題となるもの |
|||
■ | |||
■ | ■大阪地裁H19.3.29 | ||
● | 投資者の属性や資産・収入状況、取引経験と信用取引についての理解の内容、取引態様等 ⇒投資者が主張した違法要素のうち断定的判断の提供以外はすべて否定。 |
||
断定的判断の提供について: Aが「短期ばかりで取引させたほうがいい」との方針(Aは社内アプローチ履歴にこの言葉を記載していた)のもと、信用取引開始時から、信用取引すればかなり得をする、銘柄は任せてほしい、必ず利益を得るから私の言う銘柄を買ってほしいなどと述べ、本件取引を進めていく中でも、他の人にはいわないように念押ししたうえで、各種のことを述べて特定銘柄の買付けを推奨し、また、仕手グループが売抜け等を図るなどすれば、直ちに株価が下落するなど、一般に知られていない内部情報が存在するかのように告知して将来の値上がり確実であるとの断定的判断の提供をしたもの ⇒勧誘行為の違法性を認めた。 |
|||
■ | ■大阪地裁H25.1.11 | ||
● | 平成15年7月から平成24年8月までの間に、信用取引を中心とする株式等の取引によって、多額の損失を被った。 | ||
● | ●判断 | ||
原告について、女性であり、株式取引経験は5年未満で、被告での株式取引経験は6か月えであるとして、被告の信用取引開始基準に適合しない者であるとしつつ、信用取引についての一般的な理解力や判断力、また資力を備えていた ⇒信用取引一般を行う適合性を欠如していたいということはできなかった。 |
|||
「信用取引を行う適合性自体を有する者であっても、実際に個々の取引を行う上では、現物取引も含め、取引の銘柄、回数、その投資意向との」整合性等のいかんによっては、的確に取引の動向を把握することができずkまた、投資意向に反するものとして、個々の取引を行う上での適合性が否定されるとともに過当取引として、取引勧誘の適法性が否定される余地はある。」 | |||
「本件取引の取引回数は、全体で637回と多数回に及び、そのうち、担当者Nが担当した2年2か月の間は406回(1か月平均約15回)に及んでいる。また、取引された株式等の取引銘柄は76と多数に及ぶ。証券取引において投資判断をするためには、個別銘柄の株価動向、営業成績、財務内容、株価収益率・株価純資産倍率・株式資本利益率等の投資尺度のほか、政治的・経済的・社会的相場要因に関する最新の情報を入手し、それを理解し、分析する必要があるところ、上記のような多数の銘柄について、原告のよゆな個人投資家が、自ら情報を収集し、理解、分析することは相当な困難を伴う」 「本件取引による手数料額は3410万5896円であり、これは原告が被った差損額の約55%にも及ぶ」 回転率(いわゆる資本回転率)は取引全体で見て年間17.12回であるなどという分析も行いつつ 「以上のような本件取引開始以後の経緯、本件取引の取引回数、保有期間、損失額に占める手数料の割合、回転率のほか、原告の安定重視という投資意向にも沿わない取引が少なからず行われていること、原告が被告担当者のいいなりになっていた実態等にも照らすと、本件取引は、全体として、適合性の原則に違反し、過当に行われたものであって、被告担当者の勧誘行為は、全体として、不法行為を構成するものと言わざるを得ない」とした。 |
|||
第4 投資信託(手引、第6版、368頁〜) | |||
◆ | ◆1 はじめに | ||
◆ | ◆2 主な改正の経過 | ||
■ | ■(1) はじめに(投資信託の関係法令) | ||
■ | ■(2) 1998(平成10)年改正 | ||
■ | ■(3) 2000(平成12)年改正 | ||
■ | ■(4) 2003(平成15)年証券取引法改正 | ||
■ | ■(5) 2004(平成16)年証券取引法改正 | ||
■ | ■(6) 2004(平成16)年郵政特例法正 | ||
■ | ■(7) 2005(平成17)年改正 | ||
■ | ■(8) 2005(平成17)年郵政民営化関連法 | ||
■ | ■(9) 2006(平成18)年改正 | ||
■ | ■(10) 2008(平成20)年改正 | ||
■ | ■(11) 2009(平成21)年金融商品取引法改正に伴う内閣府令の改正 | ||
■ | ■(12) 2013(平成15)年改正 | ||
◆ | ◆3 投信法の定義と投資信託の分類 | ||
■ | ■(1) 投資信託と投信法人 | ||
■ | ■(2) 委託者指図型投資信託と委託者非指図型投資信託 | ||
投信法2条3項では、「投資信託」とは次の2つ。 @「委託者指図型投資信託」は、信託財産を委託者の指図に基づいて運用するもの(投信法2条1項) A「委託者非指図型投資信託」は、受託者が複数の委託者との間に締結する信託契約によって受け入れた金銭を、合同して、委託者の指図に基づかずに運用するもの。 |
|||
■ | ■(3) 内国投信と外国投信 | ||
上記@Aは内国投信であり、投信法に基づいて設定される。 | |||
外国投資信託とは、「外国において外国の法令に基づいて設定された信託で、投資信託に類するものをいう」(投資法2条24項) | |||
外国投信も内国投信と同様に金融商品取引法上の有価証券(金商法2条1項10号、11号)⇒販売勧誘ルールに金融商品取引法が適用される。 but 投信法の組成・運用等の規制は受けない。 |
|||
■ | ■(4) 単位型と追加型 | ||
■ | ■(5) 公社債投資信託と株式投資信託 | ||
■ | ■(6) 主要商品 | ||
◎ | ◎F 毎月分配型投資信託 | ||
分配金が毎月支払われる投資信託。 分配金は運用益からだけでなく、元本を取り崩して支払われることが認められている。 |
|||
◎ | ◎G 通貨選択型投資信託 | ||
運用を行う投資対象(米ドル建てのハイイールド債などが多い)に対して、選択した通貨(ブラジルレアルなどが多い)で為替ヘッジを行うことで、為替変動および金利差による収益を狙うという仕組みの投資信託で、一般にFの毎月分配型の投資信託より分配金は大きいが、投資対象のリスクに選択した通貨の為替リスクが加わるためハイリスクな商品である。 | |||
■ | ■(7) 価格変動リスクの目安 | ||
◆ | ◆4 委託者指図型投資信託 | ||
■ | ■(1) 仕組みの概要 | ||
■ | ■(2) 定義 | ||
■ | ■(3) 委託会社 | ||
◆ | ◆5 委託者非指図型投資信託 | ||
■ | ■(1) 仕組みの概要 | ||
■ | ■(2) 委託者指図型投資信託に関する規定の準用 | ||
◆ | ◆6 投資法人 | ||
■ | ■(1) 仕組みと定義 | ||
■ | ■(2) 導入の経過 | ||
■ | ■(3) 投資法人の設立 | ||
■ | ■(4) 資産運用等の業務委託 | ||
■ | ■(5) 投資主 | ||
■ | ■(6) 役員等 | ||
◆ | ◆7 募集・勧誘規制等 | ||
■ | ■(1) はじめに | ||
■ | ■(2) 発行開示規制 | ||
■ | ■(3) 継続開示規制 | ||
◆ | ◆8 投資信託の販売金融機関と行為規制 | ||
■ | ■(1) 金融商品取引業者 | ||
■ | ■(2) 登録金融機関 | ||
■ | ■(3) 金融商品仲介業 | ||
■ | ■(4) 銀行等の金融機関に関する諸規制 | ||
● | ●(A) 預金と非預金商品との誤認防止の説明義務 | ||
● | ●(B) 社内規則等 | ||
◆ | ◆9 投資信託における問題点 | ||
■ | ■(1) 急激に変化してきた投資信託 | ||
■ | ■(2) 問題の所在 | ||
◆ | ◆10 裁判例の概要 | ||
■ | ■(1) 参考裁判例 | ||
■ | ■(2) 若干の検討 | ||
● | ●(A) 争点は勧誘の違法性 | ||
認容裁判例は、すべてが勧誘の違法性が争点となっている事案で、運用の問題点を争点とした認容判決は、見当たらない。 | |||
● | ●(B) 利回保証型 | ||
● | ●(C) 適合性原則違反 | ||
● | ●(D) 無断売買 | ||
● | ●(E) 危険連絡義務違反など | ||
● | ●(F) 説明義務違反 | ||