シンプラル法律事務所
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論点整理(公序良俗論関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

公序良俗論
歴史 初期:90条の適用範囲は限定的。
末川・我妻:
90条は個人意思の自治に対する例外的制限を規定したものではなく、法律の全体系を支配する理念の表現であるとする考え方(根本理念説)

損害賠償額の予定・違約金条項の効力を民法420条の存在にも関わらず、広範に公序良俗規範によって規制する日本の通説的な考え方。
山本敬三説:
憲法13条の宣言するリベラリズムの思想は、私的自治・契約自由もまた、「自分の生活空間を主体的に形成する自由」として憲法上の保護の対象とされる。
国家は、公序良俗規範を通してこの憲法上の自由を制限していることになる⇒それが不当な制限にならないように憲法上の制約に服する。
公序良俗規範と契約自由の原則との位置関係を、我妻説の原則・例外の関係から逆転させようとする指向。
構造    法律行為の有効要件:
@意思と表示との不一致を中心とする意思表示制度によって問題とされる契約の締結過程に関するもの
A法律行為の社会的妥当性を中心とする公序良俗制度によって問題とされる契約の内容に関するもの 
●取引の内在的悪性 

意思表示制度において問題とされる取引の悪性。
契約締結過程において、当事者の意思決定に関して何らかの欠陥があることをもっぱら意味する。
締結された契約によって一方当事者が不利益を受ける場合、このような利益の侵害は、古典私法においては法的には「取引の悪性」としては評価されず、そのような場面で公序良俗のような契約の内容的規制が発動されることは原則として否定される。
(暴利行為論ですら、客観的給付の不均衡のみで契約を無効とするのではなく、軽率無経験に乗じたという意思形成過程を問題にしている。)
  ●取引外的悪性 
  古典私法においては、契約締結過程に問題のない契約が、その内容に則して規制される根拠とされるのは、その内容が当事者の私益を侵害していることではなく、取引の外部にある公序(「古典的公序」)を侵害していること。
◎取引内在的悪性(拡張されたそれ)を媒介とした取引外在的悪性
公益侵害がしばしば同時に取引当事者の私益をも侵害することがありうる。
社会法には、私益の社会権的保護という性格をもつ公序規範(「社会法的公序」)が数多く存在する。
〜当事者の私益の侵害が存在し、外部の規範がそれを悪性として把握している。
「取引外在的悪性1」
現代私法においては、古典私法が抽象的に措定していた意思自立の原理の人間学的前提が実質的・個別的に問題とされるに至る、そのような前提を欠いているという場合には、取引に悪性が検出され、そこに拡張された取引内在的悪性1が見出されている。
(いわゆる「合意の瑕疵の拡張理論」の一部はこの場面に整理。)

契約締結過程における私益侵害に、外部の規範が公益の侵害を見いだすという形で行われる。

取引内在的悪性(拡張されたそれ)を媒介とした取引外在的悪性が検出。
ex.
消費者契約の場面(説明義務違反)
独禁法に違反する契約の私法上の効力が問題となる場面において、不正競争型といわれる公正競争阻害性が問題となる類型の契約を私法上無効とする場合
拡張された取引外在的悪性1を問題とする公序を、「現代的公序1」と呼ぶ。
現代的公序1は、社会的公序とは異なり、意思自立の原理を、その前提の回復を通じて再建しようとするもの。
公序による自律の支援が志向。
◎取引内在的悪性を媒介しない、純粋な取引外的悪性 
ex.独禁法違反行為のうち、純粋に競争減殺型の公正競争阻害性を持つタイプの契約
意思自律の原理の無力と虚構性を明らかにする点で、「現代型公序2」として、区別される。