シンプラル法律事務所
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論点整理(交通事故関係(基本))

論点の整理です(随時加筆修正していく予定です。)

ポイント
争われるのは、@責任論とA損害論
@⇒事故態様についての(証拠)確保
ex.直後の写真・車の写真、実況見分での説明、目撃者の確認。
A⇒損害の有無・金額についての(証拠)確保
医師の診断書等の記載
領収書等

交通事故での対応(当事者の視点から)
事故現場で 規定 道路交通法 第72条(交通事故の場合の措置)
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。.
道路交通法 第117条
車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
.
道路交通法 第117条の5
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条の規定に該当する者を除く。)

道路交通法 第119条
次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者
加害者 (1) 自動車を止め事故の状況を確認する
(2) 負傷者を救護する
(3) 道路上の危険防止措置をとる
(4) 警察官へ事故を報告する
被害者 (1) (1) 加害者とその車の確認
@運転免許証
⇒氏名・住所・本籍
A電話番号
B名刺
⇒勤務先の名前・連絡先
C加害車両のナンバー(車両番号)
D自動車の所有者と加害者が異なる場合

所有者の名前、連絡先、運転目的
車体に描かれた会社名等
E自賠責保険証、任意保険証
⇒保険会社名、証明書番号
(2) 証拠を保全
写真での証拠保全
車の破損状況等の被害状況
道路の標識
見通し状況
スリップ痕等
位置関係やスリップ痕の長さなどについてメモしておく。
目撃者の確保:
目撃者の住所、氏名、電話番号
目撃内容の確認(ex.加害者の自動車の赤信号で交差点に進入してきたのを見た等)
加害者の言い分:
事故直後の相手の言い分も記録に残しておく
(←事故直後には認めていた事実を後で否定することもある。)
(3) 警察官へ報告
加害者に警察沙汰にしないよう頼まれても必ず報告

@法律上の義務。
A交通事故証明書が発行されず、実況見分調書が作成されない。(⇒話がこじれた時に、保険金請求に必要な書類がそろわない。)
してはいけない 即決の示談はしない。
責任を認める念書やメモも書かない。

@過失相殺、A損害等確定しない。
実況見分調書 意味 人身事故の場合、警察は、刑事事件として事故直後に実況見分(現場検証)を行う。
その結果を書面にしたものが実況見分調書
見分の日時、場所、
立会人名、
現場道路の状況(路面は乾燥しているか、交通規則はどうなっているかなど)、
運転車両の状況(車両や番号、損傷の部位・程度・状況など)、
立会人の指示説明(最初に相手を発見した地点やブレーキを踏んだ地点、衝突した地点など)
が記載され、
交通事故現場見取図や写真などが添付される。
実況見分調書を見ると事故の状況がわかる⇒
刑事事件の重要な証拠。
示談交渉・民事裁判において、双方の過失の割合を決めるにあたって重要な証拠。
立ち会う際の注意 刑事事件、示談交渉および民事裁判において、重要な証拠となる。
⇒加害者・被害者のどちらの立場であっても、警察が行う実況見分には必ず立ち会う
@冷静に事故の時の状況を思い出し、スピードや位置関係などを警察官に正確に説明
A説明内容が食い違う場合、安易に妥協することなく、真実を説明し、実況見分調書に記載してもらう。
B実況見分調書に正確に記載されているか否かについても確認
被害者による証拠収集の必要性 死傷者のない物損事故の場合、実況見分を行わないのが通常。
人身事故の場合も、被害者のけがの程度が軽微であったり事故の状況から軽い事故とみられる場合、簡単なものしか作成されず、現場の写真がつけられていないことも多い。
被害者が重大な怪我を負った場合や死亡した場合等、被害者が立ち会うことができないため、結果的に加害者の言い分のみに基づいて実況見分調書が作成され、被害者の言い分が十分反映されない場合あり。
示談交渉や民事裁判などにおいて、実況見分調書以外にも被害者にとって有利な証拠を提出することができるよう、被害者自身またはその家族などによって、事故からできるだけ近い時期に、
道路の標識、見通し状況などの道路状況、車の破損状況、スリップ痕や血痕などの現場の状況を写真に撮っておくとともに、その位置関係等をメモするなどして、証拠として残しておく。
治療  診療 必ず医師の診断を受ける。

@最初軽いけがだと思っても実は重症の場合がある。
A症状固定は医師の判断。
頭を強く打った場合には、脳外科の専門医の診断を受ける。
治療方針に納得がいかない→別の病院で診てもらう。
やるべきこと等 健康保険を使う 交通事故でも健康保険は使える。
健康保険診療⇒治療費の単価(医療点数の単価)は決まる。
自由診療⇒治療費の単価を病院ごとに決めることができる⇒自由診療の治療費は高額に⇒病院は自由診療扱いとする傾向。
健康保険を使用⇒健康保険組合は、加害者に対し、組合が負担した分について求償権を行使。
使うべき場合 本来、治療費は加害者が負担。but次の場合は使うべき。
@加害者に資力がなく任意保険にも加入していない場合。
(加害者が支払わないときは、被害者が負担することになってしまう。)

健康保険を使わない場合、治療費だけで、自賠責保険での障害による損害の支払限度額120万円を超えてしまう場合がある。
超えなくても、自賠責保険の支払限度額に占める治療費の割合が大きくなり、休業損害など他の損害をまかなえない場合がある。
A被害者の過失が大きい場合。

被害者は、治療費について自己の過失割合に応じた負担をしなければならないところ、健康保険を使って治療費そのものが低く抑えられれば、それだけ被害者の負担が軽減されることになる。
労災保険を請求 被害者が、労災保険の給付と自賠責保険の給付のどちらも請求できる場合、労働基準監督署は、原則として自賠責保険の支払を先行させるとしているが、被害者は労災保険を先行させることもできる。
労災保険の請求の手続は、労働基準監督署あてにする。
労災保険から支給された治療費などを自賠責保険などから二重に受け取ることはできない。but
労災保険上の特別支給金については、これを受け取っても損害賠償請求額から差し引かれない。
時効に注意。(療養給付や障害年金前払一時期などは2年、障害給付などは5年
保険会社に通知 事故後、できるだけ早く保険会社に連絡
自家用自動車総合保険などの任意保険の約款によると、対人事故の場合、保険会社は、事故の通知を受けることなく、事故発生の日の翌日から計算して60日を経過したときは、原則として保険金を支払わないと規定。
⇒できるだけ早い時期に、加入する保険会社に事故の連絡をする。
交通反則通告制度 交通反則告知制度:
自動車やバイクなどの運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微なものについて、その違反者が警察官や交通巡視員から渡された交通反則告知書(青色キップ)と納付所に基づいて一定期間内に反則金を納めれば、刑事裁判所、家庭裁判所の審判を受けずにすむ制度。
反則金は、制裁金の性質はるが、刑罰ではない。
罰金は、裁判所の判決や命令により科される財産的な刑罰。

交通事故の基礎知識(当事者の視点から)
責任 民事責任 損害賠償責任。
死亡事故・傷害事故自動車損害賠償保障法3条(運行供用者責任)の適用あり。
物損事故⇒自動車損害賠償保障法は適用なし⇒民法に基づく責任
自動車損害賠償保障法 第3条(自動車損害賠償責任) 
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。
ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
刑事責任 ●殺人⇒死刑、無期もしくは5年以上の懲役。
刑法 第199条(殺人) 
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
●危険運転致死傷罪⇒@負傷の場合15年以下の懲役、A死亡の場合1年以上の有期懲役
刑法 第208条の2(危険運転致死傷)
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
●業務上過失致死傷罪⇒5年以下の懲役・禁錮 100万円以下の罰金
刑法 第211条(業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
●緊急措置義務違反⇒
<人身事故>
@5年以下の懲役または50万円以下の罰金、
A死傷が当該運転者の運転に起因⇒10年以下の懲役または100万円以下の罰金
<物損事故>
1年以下の懲役または10万円以下の罰金
道交法 第117条
車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
道交法 第117条の5
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条の規定に該当する者を除く。)
●酒酔い運転⇒5年以下の懲役または100万円以下の罰金
●酒気帯び運転⇒1年以下の懲役または30万円以下の罰金
道交法 第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
道交法 第117条の4
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
二 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合、又は本邦に上陸した日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者
●無免許運転⇒1年以下の懲役または30万円の罰金
道交法 第117条の4
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第五十一条の三(車両移動保管関係事務の委託)第二項、第五十一条の十二(放置車両確認機関)第六項、第五十一条の十五(放置違反金関係事務の委託)第二項、第百八条(免許関係事務の委託)第二項又は第百八条の二(講習)第四項の規定に違反した者
●過失建造物損壊罪⇒6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
道交法 第116条
車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
行政上の責任 事故を起こした者が、公安委員会より、運転免許の取消や停止などの処分を受けること。
過去3年間の交通違反などに対して所定の点数をつけ、違反点数が一定の基準に達すると免許の取消や停止などの処分をする点数制。

自動車保険
■自賠責保険と任意保険 ■自賠責保険と任意保険
自賠責保険(強制保険) 自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づいて、自動車の運行により生命または身体が害された人身事故の被害者を救済するもいく的で、すべての自動車に対し、契約することを義務付けている強制保険
自賠責保険に加入せずに自動車を運行すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金。(自賠法86条の3第1号)
任意保険 保険会社が売り出している自動車保険であり、自動車の所有者や運転者が加入するかどうかは自由。
主な違い ●対象となる事故
自賠責保険⇒他人を死傷させた人身事故のみ(物損事故や自損事故は対象外)
任意保険⇒加入する保険の種類・契約内容によって、人身事故だけでなく、物損事故や自損事故も対象となり得る。
●支払われる保険金額
自賠責保険⇒死傷した被害者の損害について最低限度の補償をするものであり、支払われる保険の金額には上限がある。
ex.
死亡による損害は3000万円
傷害による損害は120万円
後遺障害による損害は、後遺障害の等級に応じて75万円から4000万円を限度。
任意保険⇒契約内容による限度額。
●示談代行制度
(任意保険の場合、加入する保険の種類によっては、示談代行制度がついている。)
●過失割合
自賠責保険⇒事故により死傷した被害者を救済するという目的から、被害者に重大な過失があった場合にのみ一定の割合で減額するにすぎない。
任意保険⇒過失割合を厳格にみる。
●免責事由
自賠責保険⇒免責事由は、重複契約の場合(自賠法82条の3)を除き、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ(自賠法14条)
任意保険⇒保険会社が保険金の支払義務を免れるとする免責事由が多く規定。
関係 人身事故の場合、自賠責保険によって被害者の損害が最低限度補償。
自賠責保険ではまかなえない損害がある場合に、その超過額を補償するのが任意保険(対人賠償保険)。
任意保険は、自賠責保険の上積み保険
■自賠責保険(対人のみの保険) ■自賠責保険(対人のみの保険)
保険内容 対人賠償 自動車の運行によって他人を死傷させた人身事故による損害について支払われる保険。
「自動車」には、通常の四輪自動車、オートバイ、原動付自転車などが含まれるが、足踏式自転車は含まれない。
×自転車による怪我
×自分が怪我
被害者が複数 自賠責保険金額は、死亡した者または傷害を受けた者1人あたりの金額
⇒1つの事故で複数の被害者がいても、それぞれの被害者の支払限度額は減らされない。
加害者が複数⇒保険金額を複数倍した額が限度額。
ex.タクシーと他の車との事故でタクシーの乗客が怪我。
支払基準 平成14年4月1日以降に発生した事故については、国土交通大臣および内閣総理大臣が定める支払基準にしたがって、自賠責保険が支払われる。(自賠法16条の3)
傷害による損害⇒支払限度額120万円の範囲内で、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料が支払われる。
後遺障害による損害⇒後遺障害の程度に応じた等級にしたがって75万円から4000万円を支払限度額として、逸失利益および慰謝料などが支払われる。
死亡による損害⇒支払限度額3000万円の範囲内で、葬儀費、逸失利益、被害者本人および慰謝料が支払われる。
死亡するまでの傷害⇒別途傷害による損害の支払と同様に支払われる。
⇒別表
過失減額 事故により死傷した被害者を救済⇒被害に重大な過失があった場合にのみ、被害者の過失割合に応じて一定の減額がされるにすぎない。
被害者の過失が7割未満⇒全ての項目について減額されない。
被害者の過失が7割以上であっても10割未満
傷害による損害については2割減
後遺障害または死亡にかかる損害についても、その過失割合に応じて2割ないし5割減。
⇒別表
請求パターン 加害者請求 自賠法 第15条(保険金の請求)
被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
加害者が保険金を請求する方法。
自賠責保険に加入している加害者が、被害者に損害賠償金を支払ったうえで、その実際に支払った限度で、自賠責保険会社に対し、領収書その他必要書類を添えて保険金を請求する方法。
被害者請求 自賠法 第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)
第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
2 被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において、保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは、保険会社は、そのてん補した金額の限度において、被害者に対する前項の支払の義務を免かれる。
被害者が、加害者の加入している自賠責保険会社に対し、必要書類を添えて、直接損害賠償金の支払を請求する方法。
一括払制度 任意保険会社が窓口となって、被害者に対して、自賠責保険の支払分もまとめて支払う一括払制度
任意保険会社は、被害者に自賠責保険の支払分を立て替えて支払った後、自賠責保険会社より自賠責保険金を受領することになる。
被害者は二度手間が省ける
but任意保険会社との示談が進まない場合など、被害者請求をした方がいい場合がある。
仮渡金の請求 被害者の当座の出費にあてるため、仮渡金が請求できる。(自賠法17条)
死亡の場合290万円
傷害の場合その傷害の程度に応じて、5万円、20万円、40万円。
⇒別表
内払金の請求 傷害による損害について、被害者が治療継続中のため損害額の総額が確定しない場合でも、すでに発生した損害額が10万円を超える場合には、被害者または自賠責保険に加入している加害者は、10万円単位で内払金の請求ができる。
(限度額の120万円まで)
請求から支払までの流れ (1)請求 (1)保険金・損害賠償金の請求
加害者または被害者は、加害者が加入している自賠責保険会社に対し、必要書類をつけて保険金または損害賠償金を請求。
@加害自動車に備え付けられている自賠責保険証明書を加害者に呈示してもらう
A自動車安全運転センター発行の交通事故証明書
⇒加害者の加入する自賠責保険会社を知る。
(2)保険会社で (2)保険会社による手続き
提出された書類を確認し、
損害保険料率算出機構の下部組織である自賠責損害調査事務所に送付
(3)調査 (3)自賠責損害調査事務所による調査
自賠責損害調査事務所において、加害者の賠償責任の有無や発生した損害の額などを、公正・中立な立場で調査。
請求書類の内容だけでは不十分な場合、事故当事者に事故状況を照会したり、病院に照会。
原則:自賠責損害調査事務所による調査のみ。

被害者に重大な過失があり自賠責保険から支払われないまたは減額の可能性がある事案や後遺障害の等級認定が難し事案等、判断が困難な事案。
⇒自賠責損害調査事務所の上部機関である地区本部や本部で審査。

死亡事故で自賠責保険から支払われないか減額される可能性。
脳外傷による高次脳機能障害の可能性
⇒特定事案として自賠責保険審査会で審査。
(4)報告と決定・支払 (4)調査結果を保険会社に報告
保険会社による支払額の決定と支払い
自賠責保険調査事務所は調査結果を自賠責保険会社に報告。
自賠責保険会社は、報告を受け、支払額を決定し、請求者である加害者または被害者に支払う。
(5)不服がある場合 (5)自賠責保険の支払金額に不服がある場合
@自賠責保険会社に対して、その理由や新たな資料を提出するなどして、異議申立てを行う。
A弁護士や医師などで構成する紛争処理委員が調停を行う「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」に対し紛争処理申請を行う。
■任意保険 ■任意保険
保証内容 ●@対人 ●@対人賠償保険
他人を死亡・負傷させた時に、自賠責保険の限度額を超える部分について支払われる保険。
●A対物 ●A対物賠償保険
他人の車や建物を破損させた場合など、他人に物的損害を与えたときに支払われる保険。
●B搭乗者 ●B搭乗者傷害保険
交通事故により契約者に搭乗中の者(運転者や同乗者)が死亡、負傷したときに支払われる保険。
●C自損事故 ●C自損事故保険
相手のいない単独事故や加害者に責任がない事故により、運転者や車の保有者などが死亡、負傷したときに支払われる保険
●D無保険車 ●D無保険車傷害保険
交通事故により死亡、負傷させられた場合に、加害者が対人賠償保険に加入していなかったり、加入していても十分な額の対人賠償保険がついていない場合などに支払われる保険。
●E車両 ●E車両保険
自分の車が、衝突等偶然の事故によって損害を受けた場合に支払われる保険。
●人身傷害 ●人身傷害保険
交通事故により自分が死亡、負傷した場合などに、自分に過失がある場合でも、その過失分を含めた保証額が支払われる保険。
保険商品の種類 従来の商品 ●SAP ●自家用自動車総合保険(SAP:Special Automobile Policy)
@対人賠償保険
A対物賠償保険
B搭乗者傷害保険
C自損事故保険
D無保険車傷害保険
E車両保険
F対人賠償および対物賠償に示談代行サービス
●PAP ●自動車総合保険(PAP:Package Automobile Policy)
@〜Dはセット
Eの車両保険は付保するか任意。
F対人賠償にのみ示談代行サービスがついている。

BAP
●自動車保険(BAP:Basic Automobile Policy)
@AEのいずれを付保するかは任意。
B搭乗者傷害保険は@AEのいずれかの保険とセットで契約でき、
C自損事故保険は@に自動的に付保。
Dは付保されず、示談代行サービスもない。
●ドライバー保険(自動車運転者損害賠償責任保険)
〜自動車は所有していないが、他人から自動車を借りて運転する機会がある人を対象としたもの。
新商品 ●人身傷害保険が組み込まれたもの
人身傷害保険が組み込まれる⇒
被害者は
@従来通り加害者にまたは加害者の加入する任意保険に対して賠償金を請求するか
A自分の加入する任意保険から自分の過失分も含めた損害を支払ってもらうのか
を選択。
ここで保障される損害は、あくまでも保険約款に定められた方式で計算された金額であり、裁判で認定される金額ではない。
■自動車保険の基本的な知識 ■自動車保険の基本的な知識
自賠責保険を先に請求すべき場合 一般の対応 加害者の任意保険会社のみを窓口として交渉し、最終的には自賠責保険の支払分もまとめて全損害を支払ってもらう。(一括払制度)

自賠責保険会社と任意保険会社の両方に請求する二重手間を省くことができる。
@隔たりが大きい場合 @請求額と任意保険会社の提案額の差が大きく示談が難航している場合
先に自賠責保険分をもらったうえで残りの損害について、じっくりと任意保険会社と交渉した方がいい。
A被害者の過失大の場合 A被害者の過失が大きい場合、自賠責保険会社に被害者請求をした方が有利な場合がある。
ex.傷害事故で治療費が150万円。被害者の過失が6割。
A:任意保険や裁判⇒加害者の過失に相当する4割つまり60万円しか支払われない。
B:自賠責保険⇒被害者の過失が7割未満の場合減額されない⇒支払限度額である120万円が支払われる。
自賠責保険の被害者請求の時効 以下の日から2年で時効により消滅
@傷害による損害・・・事故日
A死亡による損害・・・死亡日
B後遺障害による損害・・・症状固定の日
治療が長引いている場合など、2年以内に被害者請求ができない⇒時効中断の手続きをとる。
自賠責保険会社あてに「時効中断申請書(用紙は保険会社にある)」を2通提出し、1通を承認書として返還してもらうことで、簡単に時効中断できる。
一括払制度における事前認定 任意保険会社は、自賠責保険の支払分も含めて支払う一括払制度をとる場合、自賠責保険会社から将来支払ってもらえるであろう金額を事前に知る必要。

自賠責損害調査事務所に必要な書類一式を送付して調査を依頼し、後遺障害等級などについてどのような判断をするのか事前に認定してもらう(事前認定制度)。
それを踏まえて、被害者に賠償金を支払う。
被害者が事前認定による後遺障害の認定結果に不服⇒任意保険会社に異議申立書を提出して、任意保険会社を通じて再度の認定をするよう求める。
ひき逃げの場合 政府保障事業制度 自賠責保険から支払いを受けられない場合
・ひき逃げで加害自動車がわからない
・無保険車による事故
・盗難車による事故で自動車の保有者に責任が全くない場合

⇒国が加害者にかわって被害者に対し補償する制度(政府保障事業制度)
自賠責保険と異なり、厳格に過失相殺
被害者が健康保険や労災保険などの社会保険より給付を受けると、政府保障事業からはその給付金額を差し引いた補償しか受けられない。
自賠責保険と同じく2年で時効消滅


自賠責保険の支払限度と支払基準
限度額 損害 支払基準
傷害の場合 傷害による損害
120万円
治療関係費 治療費 必要かつ妥当な実費
入通院交通費
看護料 入院看護1日につき4100円
(入院看護は原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合)
自宅看護または通院看護1日につき2050円
(自宅看護または通院看護については、医師が看護を認めた場合または12歳以下の子供に近親者が付き添った場合)

これ以上に収入減の立証がある場合、近親者は19,000円、近親者以外は地域の家政婦料金を限度としてその実額
諸雑費 原則として入院1日につき1100円
これを超える立証がある場合には必要かつ妥当な実費
柔道整復等 必要かつ妥当な実費
義肢等 必要かつ妥当な実費
眼鏡の費用は50,000円が限度
診断書等 必要かつ妥当な実費
文書料 交通事故証明書など文書の発行手数料で、必要かつ妥当な実費
休業損害 原則として1日につき5700円
これ以上に収入減の立証がある場合は19,000円を限度として実額
慰謝料 1日につき4200円
対象となる日数は治療期間の範囲内
後遺症による損害
@の場合4000万円(第1級)、3000万円(第2級)
Aの場合3000万円(第1級)〜75万ね(第14級)
逸失利益 収入および各等級(1級〜14級)に応じた労働喪失率、喪失期間により計算
慰謝料等 @神経系統の機能または精神もしくは胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常時または随時介護を要する後遺障害:
1600万円(第1級)、1163万円(第2級)
なお、初期費用として、500万円(第1級)、205万円(第2級)が加算される。
A上記@以外の後遺障害:
1100万円(第1級)〜32万円(第14級)
上記@およびAの後遺障害において、第1〜3級で被扶養者がいるときは増額される。
死亡の場合 死亡による損害
3000万円
葬儀料 60万円
立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な額とする。
逸失利益 収入および就労可能期間、被扶養者の有無などを考慮のうえで計算する。
慰謝料 死亡本人の慰謝料:350万円
遺族の慰謝料
@請求権者1名の場合 550万円
A請求権者2名の場合 650万円
B請求権者が3名以上の場合 750万円
被害者に被扶養者がいるときはさらに200万円が加算される。
死亡するまでの傷害による損害 傷害による損害と同じ

自動車損害賠償責任保険の保険金等および自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
被害者の過失割合 減額割合
後遺障害または死亡にかかるもの 傷害にかかるもの
7割未満⇒ 減額なし
7割以上8割未満⇒ 2割減額 2割減額
8割以上9割未満⇒ 3割減額
9割以上10割未満⇒ 5割減額

仮渡金(自賠法施行令5条)
死亡 290万円
傷害 1 次の傷害を受けた者
@ 脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
A 上腕または前腕の骨折で合併症を示すもの
B 大腿または下腿の骨折
C 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
D 14日以上病院に入院することを要する傷害、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
40万円
2 次の傷害を受けた者(上記1の@〜Dに掲げる傷害を除く)
@ 脊柱の骨折
A 上腕または前腕の骨折
B 内臓の破裂
C 病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
D 14日以上病院に入院することを要する傷害
20万円
3 11日以上医師の治療を要する傷害を受けた者(上記の@〜D、上記2の@〜Dに掲げる傷害を除く) 5万円
示談交渉
流れ @被った損害額の目安となる資料を集める。
A資料を基に試算し、検討する。
B相手方にこちら側の主張をきちんと伝える。
C相手側の主張をきちんと聞く。
Dどのようにしたらいいか考える。
E何回か示談交渉を行う。
F適正な損害賠償額で合意する。
タイミング 損害額の目安がわかるようになった時から開始。
時効:
被害者が加害者およびその損害を知ったときから3年
不法行為時(事故の時)から20年
死亡事故 ある程度感情の整理がついたところ(例えば四十九日の法要が終わった時点)で交渉を開始。
←交渉には冷静さが必要。
傷害事故 治癒または症状固定の時点、もしくはその確実な見込みがある時点
←治癒または症状固定によって損害額の目安がつく。
物損事故 事故後すみやかに交渉を開始。
(事故後、修理の見積書などによって、直ちに損害額の目安がわかる。)
相手方 加害者本人 民法709条、710条、719条
保険に示談代行サービスあり⇒保険会社の担当者と示談交渉。
運行供用者 自動車損害賠償保障法3条
第三条(自動車損害賠償責任)
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
運行供用者:
その自動車について運行支配を有し、かつその自動車の運行により利益を得ている者。
自動車の所有者は原則として運行供用者となる。
自動車の所有者でなくても、自動車を使用する権利を有する場合にも、運行供用者にあたる場合がある。
雇い主 民法715条
未成年の親権者等 民法709条、714条、
自動車損害賠償保障法3条、
加害者である未成年者に自己の行為の責任を弁識する能力(責任能力)あり⇒未成年者が損害賠償義務を負う。
12歳くらいより上であれば責任能力あり。
未成年者は有効な示談契約を締結する能力なし⇒交渉の相手方は親
未成年者が親の車を運転して事故⇒運行供用者として親の責任を追及。
親権者として監督義務を怠る⇒監督義務違反を理由として親の責任を追及。
加害者の相続人 民法887条、889条、890条、896条
保険会社の担当者と交渉 どんな場合? 加害者が任意保険に加入していて、その保険に示談代行サービスがついている場合(SAPなど)。
基準 日弁連交通事故相談センターの「交通事故損害額基準」(「日弁連基準」)で損害額を算定して交渉。
日弁連基準:交通事故の損害賠償に関する裁判例を集積したもの。
日弁連基準>自賠責保険の基準や各任意保険会社の基準
交渉方法 保険会社の提示した金額がなぜ正当でないのか、また、被害者自身が提示する金額がなぜ正当なのかを資料や根拠をもって示す。
(保険会社は、損害賠償の請求金額に正当性があれば賠償金を支払わなければならない立場にある。)
準備すべき書類 交通事故の態様や損害の詳細がわかる書類を準備する必要。
⇒別表へ
それ以外にも、
事故の態様をメモしたものや、入院中の被害者に付き添った近親者が記録していた看護日誌、通院日、交通費、その他かかった費用について整理したメモ等も準備。
示談内容 賠償金額 金○○円と一義的に決める。
支払方法 支払期日
原則一括
分割⇒@頭金を大きくする、A連帯保証人をつけるB執行認諾文言付の公正証書にするなどして、支払を担保。
示談書の記載事項 @当事者の特定
A事故の特定
B関係車両の特定
C被害状況
D示談内容(金額・支払方法)
E清算条項
F作成年月日
公正証書にする 「支払いの約束を行わない場合に、直ちに強制執行に服する」旨の記載(執行認諾文言)付公正証書
当事者が公正証書に行く必要。
本人確認の証明書(印鑑証明書・パスポートや運転免許証)
印鑑(印鑑証明証を使用した場合は実印)

準備すべき資料
状況 書類 入手先 目的
傷害・死亡 交通事故証明書 自動車安全運転センター 事故状況・事故車両などの特定
事故発生状況報告書 事故当事者など事故状況に詳しい人
診療報酬明細書 医師 治療費
給与明細書 勤務先 休業損害・逸失利益算定
源泉徴収票
確定申告書の控え
領収書 支払先 支払実費の証明
傷害 診断書 医師 傷害状況
後遺障害診断書 後遺症の内容や程度
休業損害証明書 勤務先 休業損害算定
死亡 死亡診断書・死体検案書 医師 死亡の事実・原因
除籍謄本 市町村 死亡の事実等
戸籍謄本 市町村 相続人や相続分
物損 交通事故証明書 自動車安全運転センター 事故状況・事故車両などの特定
見積書 修理工場 損害額の算定
事故車両の写真 損害の状況

賠償の知識
算定基準 @財団法人日弁連交通事故相談センターの「交通事故損害額算定基準」>A自賠責保険の基準、B各任意保険会社の基準
■傷害事故の損害賠償 ■傷害事故の損害賠償
主な損害 T財産的損害
(1)積極損害
@治療費、A付添看護費、B入院雑費、C交通費、D家屋・自動車などの改造費、E装具など、F学習費・保育費、G弁護士費用等

(2)消極損害
@休業損害、A後遺症による逸失利益

U精神的損害
@傷害(入通院)慰謝料、A後遺症慰謝料
積極損害 □積極損害
@治療費 交通事故によって受けた傷害の治癒または症状固定(治癒しなくてもそれ以上治癒をしてもよくならないと判断される時期)までの時期に支出されたもののうち、必要性があり相当な範囲内での実費額。
診療報酬明細書領収書で立証。
過剰診療などと判断されるものは認められない。
鍼灸、マッサージ費用、治療器具、薬品代は、原則として、医師の指示がある場合など、治療に有効かつ相当な範囲で認められる。
症状固定後の治療費は、原則として認められない。
(一定の治療をしないと症状が悪化するような場合などには、認められることがある。)
A付添看護費 医師が治療のため付添人を必要とすると判断した場合。
受傷の部位、程度や被害者の年齢などから入院や通院に付添が必要な場合。

相当な範囲で認められる。
原則として、付添人を雇ったことでかかった実費の全額。
領収書などで証明。
近親者が付添人⇒
入院付添1日につき、5500円〜7000円
通院付添1日につき、3000円〜4000円
が目安。
重篤な後遺症⇒介護の必要性の程度や内容に応じて、将来の付添看護費が認められることがある。
B入院雑費 ex.寝具衣類などの日用品、牛乳などの栄養補給品、新聞雑誌、通信費、家族の見舞交通費等
入院1日につき1400〜1600円を目安に定額化して損害が算出。
被害者がこの額を超えて支出した場合、けがの部位、程度、入院期間などからみて必要性がある場合などには、その支出額の相当額が損害として認められる。
C交通費 治癒または症状固定までの入・転・退院、通院の交通費の実費。
領収書等で証明。
タクシーの使用:
傷害の程度や交通機関の便などを考慮してタクシーを使用することが相当⇒全額認められる。
そうでない場合⇒その区間の電車やバス相当額しか認められない。
被害者の家族などが見舞いや看護のために支出した交通費:
一般に、入院雑費や付添看護費に含まれ交通費として別途認められない。
but
被害者の症状が重篤であったり、家族が遠隔地に住んでいるなどの必要性がある場合には、その交通費も相当な範囲で別途認められることがある。
症状固定後の通院のための交通費:
将来の交通費として、相当額が認められることがある。
D装具など 義足、車椅子、補聴器、入歯、義眼、かつら、眼鏡、コンタクトレンズなどの購入:
その実費の相当額が認められる。
その装具が将来にわたって必要⇒買替え費用も認められる。
実費は領収書などで証明。
E子供の学習費・保育費 子供が交通事故によって入院したため、学校を休んだりして勉強が遅れ、その遅れを取り戻すために補習を受けた場合:
被害の程度、内容、年齢、過程状況に照らして必要性を認めることができれば、その費用の相当額が学習費として認められる。
親などの監護者が、交通事故で、子供などの世話ができなくなり、これを第三者に依頼:
必要かつ相当な範囲での実費または保育費相当額が保育費として認められる。
□消極損害
消極損害 休業損害 意味 一般に傷害の治癒または症状固定までの期間に、被害者がけがやその治療のために休業などをした場合、休業しなければ得られたであろう収入を失ったことによる損害。
@給与所得者 事故前に受け取っていた給与額(本給・各種手当・賞与を含む)を基準として、交通事故によるけがの治療のために欠勤したことによって現実に収入減となっている部分。
計算式:
前年度年収額÷365日×休業日数 または
事故前3か月の収入額÷90日×休業日数
休業中に昇給・昇格遅延などによる減収⇒休業損害に含まれる。
有給休暇を使用〜現実の収入源がなくても休業損害。
会社役員の場合:
報酬のうちいわゆる労働の対価の部分のみが休業損害の対象。
A事業所得者 原則:事故前年の確定申告所得額を基準(@)
確定申告をしていない場合でも、相当の収入があったと認められる場合には、賃金センサスの平均賃金の額をもって、休業損害を算定。(A)
@前年度確定申告所得額÷365日×休業日数
A賃金センサスの平均賃金の額÷365日×休業日数
B家事従事者 交通事故によって家事に従事することができなかった期間に応じて、休業損害を請求。
収入額は、賃金センサスの女子労働者の全年齢または年齢別平均賃金の額を用いる。(@)
パートや事業による収入がある人の場合には、その収入額が、賃金センサスの女子労働者の平均賃金の額を上回っている場合には、その収入減を基礎とする。(A)
@賃金センサスの女子労働者平均賃金の額÷365日×休業日数
A
前年度年収額÷365日×休業日数
または
事故前3か月の収入額÷90日×休業日数
C学生・生徒 学生・生徒ッは収入なし⇒原則として休業損害なし。
アルバイトなどにより収入がある場合⇒その収入を基準に休業損害を計算。
交通事故による傷害の治療が長期にわたり、卒業や就職が遅れた⇒就職すれば得られたであろう収入が損害。
D失業者 原則:休業損害なし。
交通事故にあわなければ、交通事故による傷害の治療期間中に働けていた可能性が高い⇒休業損害が認められることがある。
E不労所得者 ex.家賃や地代の不動産収入、年金収入や生活保護。
交通事故で収入が減額することはない⇒休業損害
後遺症による逸失利益 意味 症状固定の時から、一般的に働くことができる期間について、後遺症がなければ得られたであろう収入(後遺症による逸失利益)を、交通事故による損害として請求できる。
計算 ●症状固定時に18歳以上の有識者または就労可能者の場合:
逸失利益=
@基礎収入×A労働能力喪失率×B労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
年齢(症状固定時):35歳
性別:男
収入額:500万円
後遺障害等級認定:6級
労働喪失率:67%
労働能力喪失期間:32年(35歳から67歳まで)
ライプニッツ係数:15.8027
@500万円×A0.67×B15.8027=52,939,045円
●症状固定時に18歳未満の未就労者の場合:
逸失利益=
@賃金センサスの男女別全年齢平均賃金の額×A労働能力喪失率×B(67歳までのライプニッツ係数ー18歳に達するまでのライプニッツ係数)
年齢(症状固定時):10歳
性別:女
収入額:3,468,800円
後遺障害等級認定:7級
労働能力喪失率:56%
労働能力喪失期間:49年(18歳から67歳まで)
ライプニッツ係数:12.2973
@3,468,800円×A0.56×12.2973=23,887,850円
計算の考え方 ●基礎収入 ●基礎収入
原則:事故前の現実の収入額を基礎
将来、現実の収入額以上の収入を得られることを立証できれば、その金額を基礎とすることができる。
●労働能力喪失率 ●労働能力喪失率
原則:
「後遺障害別等級表・労働能力喪失率」の後遺障害の等級に対応する労働能力喪失率を基準として、労働能力喪失割合を求める。
被害者の食病、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況などを総合的に判断して、具体的に労働能力喪失割合が定められることもある。
●労働能力喪失期間 ●労働能力喪失期間
被害者が症状固定時に18歳以上の有識者または就労可能者:
67歳から症状固定時の年齢を差し引いて、労働能力喪失期間を求める。
被害者が症状固定時に18歳未満の未就労者:
67歳から18歳を引いた49年間を労働喪失期間と考える。
症状固定時から67歳までの年数が「簡易生命表」の平均余命の2分の1より短くなる高齢者の場合:
一般に平均余命の2分の1を労働喪失期間とする。
障害程度が軽い⇒その状況に応じて、労働能力が低下する状態の継続期間を一定期間に限定する場合もある。
ex.
むちうち症の場合には、後遺障害等級12級13号(他覚的に神経障害が証明されるもの)について、5年から10年程度
14級9号にあたるものについて、5年以下
に労働能力喪失期間を制限する場合が多い。
●中間利息控除 ●労働能力喪失期間の中間利息の控除
労働能力喪失期間の中間利息を控除
←逸失利益を算出するにあたっては、将来取得されるはずの純収益の賠償が現時点で行われるため、その間の利息分を控除。
被害者が症状固定時に18歳未満の未就労者の場合:
一般に、就労の開始を18歳とするので、18歳に達するまでのライプニッツ係数を差し引く。
傷害事故の慰謝料 入通院慰謝料 入通院慰謝料 財団法人日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」
入院のみ:
「入院のみ」の欄のうち入院期間に対応する部分の金額。
通院のみ:
「通院のみ」の欄のうち通院期間に対応する部分の金額。
入院と通院:
入院した月数と通院した月数が交わる欄に記載された金額。
注意点 入院・通院が表よりも長期にわたる場合:
原則として、1か月あたり、入院4万〜5万円、通院2万〜3万円を加算。
表の通院慰謝料は、1週間に少なくとも2日程度の通院が行われた場合のもの。
これより少ない場合でも、本来は通院する必要があったにもかかわらず、仕事や家庭の都合で通院できない場合や、通院するより自宅で安静にしていた方が有効である場合などは、表の基準で算定することもある。
通院期間が1年以上にわたり、かつ通院回数が1か月2〜3回程度の割合にも達しないときや、治療というよりも検査や経過観察のために通院している場合、次の式で通院日数を修正して、通院期間を算定することもある。

修正通院期間(月)=通院実日数×3.5÷30日
特に症状が重い場合(脳・脊髄の損傷や内臓破裂を伴う場合など生命の危険を伴うようなとき)などには、上限の2割程度まで増額されることがある。
後遺障害慰謝料 財団法人日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」
後遺障害等級に応じた金額⇒別表
後遺症が等級外の認定を受けた場合でも、その状態によって、慰謝料が認められることもある。
事故態様や加害者の対応によっては、慰謝料の増額が認められることもある。
重傷の後遺障害⇒被害者本人だけでなく、被害者の近親者にも慰謝料が認められる場合もある。
死亡事故の損害賠償 財産的損害 積極損害 ●治療費・付添看護費・交通費
⇒傷害事故の場合を参照
葬儀費用 130万〜170万円の範囲で認められることが多い。
特別な事情がある場合、別途、仏壇購入費、墓石建立費などが認められることがある。
消極損害(逸失利益) 計算式 死亡逸失利益=
@基礎収入×A(1−生活控除費)×B労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
具体例 45歳、男性、妻子あり、収入額1000万円、生活費控除率30%、労働能力喪失期間22年間(45歳から67歳まで)、ライプニッツ係数13.1630
1000万円×(1−0.3)×13.1630=92,141,000円
35歳、女性(主婦)、夫子あり、収入額3,468,800円(賃金センサス平成19年女子労働者学歴計全年齢平均)、生活費控除率30%、労働能力喪失期間32年間(35歳から67歳まで)、ライプニッツ係数15.8027
3,468,800円×(1−0.3)×15.8027=38,371,484円
10歳、男(小学生)、収入額5,547,200円(賃金センサス平成19年男子労働者学歴計全年齢平均)、生活費控除率50%、労働能力喪失期間49年間(18歳から67歳まで)、ライプニッツ係数12.2973
(@57年(67歳ー10歳=57年)に対応するライプニッツ係数:18.7605
A8年(18歳ー10歳=8年)に対応するライプニッツ係数:6.4632
@ーA=12.2973)
5,547,200円×(1−0.5)×12,2973=34,107,791円
基礎収入 (傷害)後遺症による逸失利益を参照。
死亡慰謝料の場合は、年金も基礎収入となる。
死亡した被害者が受給していた遺族年金は、損害賠償の対象とならない。(最高裁)
生活費控除 生きていた場合、給与等の収入から生活費を支払う⇒生活費控除。
@一家の支柱(被害者の世帯が主として被害者の収入によって生計を維持していた場合)⇒控除率30〜40%
A女子(女児・主婦を含む)⇒控除率30〜40%
B単身単独者(男児を含む)⇒50%
●労働能力喪失期間
後遺症による逸失利益と同じ。
●労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
後遺症による逸失利益と同じ。
定年制がある場合でも、定年後67歳までは再就職をして働くことが可能。
定年後の逸失利益については定年前までの収入額よりも減額されることもある。
精神的損害 死亡慰謝料 基準  原則として、死者の年齢・家族構成により、次のとおりの請求ができる。
@一家の支柱(被害者の収入によって被害者の世帯の生計が維持されている)の場合:2700〜3100万円
A一家の支柱に準ずる(主婦や養育を必要とする子供を持つ母親、高齢な父母や幼い兄弟を扶養している独身者)の場合:2400〜2700万円
B@A以外の場合:2000〜2400万円
注意 事故態様・加害者の対応などにより増額が認められることもある。
物損事故の損害賠償 車両修理費 基準 ●修理費<車両の時価⇒相当な範囲での修理が損害額
●修理費>車両の時価⇒損害額=車両の事故直前の交換価格ー車両を処分して得られる価格
車両が修理可能でかつ修理費が車両の時価を下回る場合:
修理をするにつき、相当な範囲での修理費が損害額。
物理的に修理が不能な場合や修理費が車両の時価を上回る場合(全損と認められる場合):
車両の事故直前の交換価格からその車両を処分して得られる価格(スクラップ価格)を差し引いた額が損害額
説明 車両の時価は、オートガイド自動車価格月報(レッドブック)や、中古車価格ガイドブック(イエローブック)、財団法人日本自動車査定協会の査定などを参考にする。
事故車両のレッカー移動代や保管費を支払った場合、それも損害賠償の対象となる。
代車使用料 車両の修理や買替えのために、車両の使用が不能な期間に代車を使用する必要性があって、しかも、現実には代車を使用した場合
⇒相当な範囲で代車使用料が損害として認められる。
休車補償 営業用車両(緑ナンバーなど)が破損し、修理や買替えのために使用できなかった場合
⇒その車両を利用して操業をしていれば得られたであろう利益についての相当期間分が損害として認められる。
評価損(格落ち) 車両を修理しても、外観や機能が完全に修復できないために、事故前と比べて車両価値の減少がある場合など、その減少分が損害として認められる。
慰謝料 原則として認められない。
時効 不法行為 交通事故による損害賠償請求権は、
@被害者またはまたはその法定代理人が交通事故による加害者および損害を知ったときから3年、または
A交通事故日より20年
で時効が完成。
「加害者および損害を知ったとき」とは、一般に、交通事故日。
後遺症に関するものについては、症状固定の日。
「物損」については、事故時から、
「治療費、休業損害」については、それが発生したときから損害賠償請求権は時効期間が進行。
「後遺症」については、症状固定時から3年で時効消滅します。
時効の進行を止めるには、加害者から債務を認める念書を書いてもらえば、そこで過去の時効期間は中断し、そこから新たに時効が進行。
訴えを提起すると、もっと強力に時効は中断します。
自賠責保険 被害者請求 治療費などの傷害に関するもの:交通事故の日から2年
後遺症に関するもの:症状固定の日から2年
死亡事故に関するもの:死亡の日から2年
で時効完成。
2010年4月1日以降発生の事故について、自動車損害賠償保障法改正により保険金等の請求権の時効が2年から3年に変更。
保険会社に対して 「時効中断承認申請書 (用紙は保険会社にあります)」を提出して、承認してもらうことにより簡単に中断できます。
加害者請求 加害者が被害者や病院などに対して損害賠償金を支払った日から2年
で時効完成。
その他 入院中の個室使用料 治療の必要性や空ベッドがない場合など個室や特別室を使用しなければならない事情がある場合には、相当額が損害として認められる。
家屋などの改造費 受傷や後遺症の程度によって、必要かつ相当な範囲で支出した費用が、損害として認められる。
医師などへの謝礼 症状、治療内容などに照らし社会的に相当なものであれば、損害として認められる。
(最近は、認められるケースは少ない。)
後遺障害の等級認定に不満 自賠責保険会社(被害者請求の場合)または任意保険会社(一括払請求の場合)に対して、異議申立書を提出して、異議申立てを行う。
異議申立書には、認定が不当である理由を具体的に記載するとともに、必要に応じて、さらに詳細に書かれた医師の診断書や意見書などを資料として添付。
時効中断 催告後6か月以内に訴訟の提起などをしないと認められない。
女子年少者の損害賠償 女子年少者が交通事故で死亡した場合の逸失利益の計算をする際の基礎収入は、一般に、賃金センサスの女子労働者平均賃金を用いる。(最高裁も肯定)
東京高裁H13.8.20:
就労可能年齢に達していない年少者の場合は、多様な就労可能性を有していることなどを理由に、「高校卒業までか、少なくとも義務教育を終了するまでの女子年少者については、逸失利益算定の基礎収入として賃金センサスの女子労働者の平均賃金を用いることは合理性を欠き、男女をあわせた全労働者の平均賃金を用いるのが合理的と考えられる」とした。」
but
逸失利益の算定の際の生活費控除は、30〜40%(女子の場合)ではなく、45%(男子単身者(男児を含む)なみ)とされている。

このような判断は今後増える可能性。

損害賠償額の計算
傷害事故(後遺症あり)の場合 @年収800万円
A治療費150万円
B入院3か月(91日)、通院5か月
C医師の指示により、入院当初2週間、妻が付き添った。
D入通院交通費5万円。
F会社は、7カ月(214日)休み、給料は支給されず。
F後遺障害等級級の認定(症状固定時40歳)。
G過失割合8割
項目 金額 根拠
治療費 1,500,000円 実費(症状固定までの実費)
付添看護費 98,000円 7,000円×14日
入通院交通費 50,000円 実費
入院雑費 145,600円 1,600円×91日
休業損害 4,690,410円 800万円×214日÷365日
後遺症による逸失利益 52,714,800円 800万円×0.45×14.6430
傷害(入通院)慰謝料 2,520,000円
後遺症の慰謝料 8,700,000円
総計 70,418,810円
過失割合 2割
賠償金額 56,335,048円 70,418,810円×(1−0.2)
死亡事故の場合 30歳の専業主婦が交通事故で死亡。
入院関係費3万円、過失割合は1割。
入院関係費 30,000円 実費
葬儀費用 1,700,000円
逸失利益 40,577,710円 3,468,800円×(1−0.3)×16.7113
死亡慰謝料 27,000,000円
総計 69,307,710円
過失割合 1割
賠償金額 62,376,939円 69,307,710円×(1−0.1)
年金受給者の死亡事故での逸失利益 交通事故で70歳で死亡。
年間300万円の老齢厚生年金
老齢厚生年金300万円
平均余命14年
ライプニッツ係数9.8986
生活費控除率50%
300万円×(1−0.5)×9.8986=14,847,900円

後遺障害慰謝料と後遺症慰謝料
等級 金額(万円) 等級 金額(万円)
2700〜3100 750〜870
2300〜2700 600〜700
1800〜2200 10 480〜570
1500〜1800 11 360〜430
1300〜1500 12 250〜300
1100〜1300 13 160〜190
900〜1100 14 90〜120

後遺障害別等級表・労働能力喪失率
等級 介護を要する後遺障害 自賠責保険
(共済)
金額
労働
能力
喪失率
第1級 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4000万円 100/100
第2級 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3000万円 100/100
等級 後遺障害 自賠責保険
(共済)
金額
労働
能力
喪失率
第1級 1 両眼が失明したもの
2 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4 両上肢の用を全廃したもの
5 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両下肢の用を全廃したもの
3000万円 100/100
第2級 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2 両眼の視力が0.02以下になったもの
3 両上肢を手関節以上で失ったもの
4 両下肢を足関節以上で失ったもの
2590万円 100/100
第3級 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5 両手の手指の全部を失ったもの
2219万円 100/100
第4級 1 両眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力を全く失ったもの
4 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両手の手指の全部の用を廃したもの
7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1889万円 92/100
第5級 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4 1上肢を手関節以上で失ったもの
5 1下肢を足関節以上で失ったもの
6 1上肢の用の全廃したもの
7 1下肢の用を全廃したもの
8 両足の足指の全部を失ったもの
1574万円 79/100
第6級 1 両眼の視力が0.1以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
1296万円 67/100
第7級 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
7 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
9 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部の用を廃したもの
12 女子の外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側の睾丸を失ったもの
1051万円 56/100
第8級 1 1眼が失明し、又は1眼が視力が0.02以下になったもの
2 脊柱に運動障害を残すもの
3 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
4 1手のおや指も含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
5 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6 1上肢の3大関節中の1関節中の1関節の用を廃したもの
7 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8 1上肢に偽関節を残すもの
9 1下肢に偽関節を残すもの
10 1足の足指の全部を失ったもの
819万円 45/100
第9級 1 両眼の視力が0.6以下になったもの
2 1眼の視力が0.06以下になったもの
3 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9 1耳の聴力を全く失ったもの
10 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12 1手のおや指又はおや指以外の2手指を失ったもの
13 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
14 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
15 1足の足指の全部の用を廃したもの
16 生殖器に著しい障害を残すもの
616万円 35/100
第10級 1 1眼の視力が0.1以下になったもの
2 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
8 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
10 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円 27/100
第11級 1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7 脊柱に変形を残すもの
8 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
10 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
331万円 20/100
第12級 1 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8 長管骨に変形を残すもの
9 1手のこ指を失ったもの
10 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13 局部に頑固な神経症状を残すもの
14 男子の外貌に著しい醜状を残すもの
15 女子の外貌に醜状を残すもの
224万円 14/100
第13級 1 1眼の視力が0.6以下になったもの
2 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6 1手のこ指の用を廃したもの
7 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9 1足の第3の足指以外の1又は2の足指を失ったもの
10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
11 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
139万円 9/100
第14級 1 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4 上肢の露出面のてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7 1手のおや指以外の手指の遠位指接間関節を屈伸することができなくなったもの
8 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9 局部に神経症状を残すもの
10 男子の外貌に醜状を残すもの
75万円 5/100

過失割合
過失相殺 意味 被害者に一定の過失がある場合、その過失の程度に応じて、被害者が加害者から受けられる損害賠償額が減額されること。
規定 民法 第722条(損害賠償の方法及び過失相殺)
第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
方法 治療費、休業損害、逸失利益や慰謝料などの全損害項目の合計額について一括して過失相殺をする。
しくみ ●歩行者と自動車の事故の場合
歩行者に500万円の損害。、
歩行者の過失割合25%。

歩行者の負担額=500万円×0.25=125万円
車の負担額=500万円×0.75=375万円〜請求できる額
●車と車の事故の場合
A車とB車が交差点で衝突。
A車:運転者の治療費600万円と車の修理代40万円の損害。
B車:運転者の治療費500万円と車の修理代60万円の損害。
過失割合は、A車70%、B車30%。
人損部分:
A運転者治療費600万円のうち、A車の負担額420万円(70%)、B車の負担額180万円(30%)。
B運転者治療費500万円のうち、A車の負担額350万円(70%)、B車の負担額150万円(30%)。
物損部分:
A車の修理費40万円のうち、A車の負担額28万円(70%)、B車の負担額12万円(30%)
B車の修理費60万円のうち、A車の負担額42万円(70%)、B車の負担額18万円(30%)
請求金額:
A車⇒B車:180万円(人損分)+12万円(物損分)=192万円
B車⇒A車:350万円(人損分)+42万円(物損分)=392万円
誰の過失が問題? 能力 事理を弁識するに足りる能力(事理弁識能力)が備わっていれば足り、行為することによって自分が負うであろう責任を弁識する能力(責任能力(12歳程度の能力))までは必要ない。
事理弁識能力:
物事の良し悪しを判断することができる能力
小学校低学年程度の年齢(7歳程度)になれば備わる。
⇒過失相殺が可能。
被害者側の過失 被害者側の過失:
身分上・生活上一体をなすとみられるような関係にある者の過失。
●父母
子どもの交通事故において、監督義務者である父母にも過失がある場合。
●配偶者
但し、婚姻関係が破綻していて、被害者と配偶者との間に身分上・生活上の一体性が認められなければ、配偶者の過失は、被害者側の過失には含まれない。
身分上・生活上の一体性が認められる⇒内縁関係にある者の過失は、被害者側の過失に含まれる。
●その他の親族(兄弟など)
被害者と同居し生計が同一であれる兄弟などは、身分上・生活上の一体性があるとして、被害者側の過失に含まれる。
●被用者
使用者は、被用者をあたかも手足として使用。
⇒被用者と身分上の一体性がある
⇒被用者の過失は被害者側の過失に含まれる。
●保育士
子どもを監督する義務を負っているが、被害者本人である子どもと身分上・生活上の一体性はない⇒保育士の過失は、被害者の側の過失には含まれない。
過失割合 算定基準表 種類 @民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準
(東京地裁民事交通訴訟研究会編 別冊判例タイムズ第16号)
A民事交通事故損害賠償額算定基準 上巻(基準編)
(財)日弁連交通事故相談センター東京支部
B交通事故損害額算定基準
(財)日弁連交通事故相談センター編
見方 5つの類型:
@歩行者×四輪車・単車
A四輪車同士
B単車×四輪車
C自転車×四輪車
D高速道路上の事故
これらの事故の類型ごとに事故当事者の過失相殺率が明記。
基本過失相殺率を修正するための修正要素に該当する場合には、5〜20%の加算または減算。
ex.
横断歩道上の横断を開始し、車が赤で横断歩道に進入した場合の歩行者の基本的な過失割合は10%。
歩行者が児童の場合は、修正要素に該当⇒歩行者の基本的な過失割合から5%を減じる⇒歩行者の過失割合は5%。
使い方 @事故類型の選択⇒
A修正要素該当性の検討⇒
B過失相殺率の計算
歩行者×四輪車・単車 基本的割合 特徴 歩行者の過失割合が比較的低く抑えられている。
歩行者には、通常の歩行者のほか、路上作業者や路上に立ち止まっている者、さらには自転車やバイクを押して歩いている者も含まれる。
●横断歩道上の事故 ●横断歩道上の事故
信号機のある交差点で歩行者が青信号で横断を開始した場合や、信号機のない横断歩道上で横断していた場合、
車らか歩行者の発見が困難な場合などを除いて、
過失割合の基本は、歩行者側0%。
歩行者:赤の場合:
車:青
車に安全運転義務違反
⇒70%
車:黄
⇒50%
車:赤
⇒20%
歩行者:黄
車:赤
⇒10%
歩行者:青で横断開始したが赤になるまでに横断終了せず
車:青
⇒20%
●横断歩道外横断(横断歩道の附近)の事故 ●横断歩道外横断(横断歩道の附近)の事故
横断歩道の「附近」:
@大体幅員10メートル以内の道路⇒横断歩道から20〜30メートル以内
A幅員14メートル以上で交通量の多い道路⇒横断歩道から50メートル以内
第12条(横断の方法)
歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
歩行者は、横断歩道の附近においては、その横断歩道によって道路を横断する必要(道交法12情1項)
⇒横断歩道まで行かずにその附近を横断して事故にあった場合、歩行者の基本的過失割合は30%。
修正要素 ⇒別表
具体例 信号機のある交差点で、赤信号であるのに、75歳の人が横断歩道を渡し始めた。
そのため、青信号で直進してきた自動車(制限速度を時速20キロ超過するスピード)にはねられて負傷した。
@事故類型の選択:
算定基準のうち
「歩行者と車両」、「横断歩行者」、「信号機が設置されている横断歩道」、「横断歩道上」、「歩行者が赤で横断開始」、「直進者が青で横断歩道を通過」の類型に該当。
⇒基本的過失相殺率は歩行者70%。
A修正要素該当性の検討:
歩行者が「高齢者」に該当⇒減算率10%
時速20キロの速度違反⇒「車両の著しい過失」⇒減算率10%
⇒合計20%の減算。
B計算
基本過失相殺率70%−減算率合計20%=50%
四輪車×四輪車 特徴 当事者双方にほぼ同質の注意義務が課されている。
双方に厳格な安全運転義務が課されている。
⇒被害者側も何らかの過失がある場合がほとんど。
■交差点における事故 ■直進車同士の事故 ●信号機のある交差点での事故
赤信号車(100%)と青信号車(0%)
赤信号車(50%)と赤信号車(50%)
●信号機のない交差点での事故
@ @ ほぼ同幅員の交差点
A→
   ↑
   B

の場合、
A(交差道路を左方から進行してくる車両)が優先(道交法36条1項1号)
道交法 第36条(交差点における他の車両等との関係等)
車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
一 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
交差点においては、交差点に入ろうとしている車の速度がポイントになる。
AB同程度の速度:A40対B60
A減速せず、B減速:A60対B40
A減速、B減速せず:A20対B80
A A一方(A)が明らかに広い道路の場合
AB同程度の速度:A30対B70
A減速せずB減速:A40対B60
A減速B減速せず:A20対B80
B B一方(A)が優先道路の場合
A10対B90
C C一方(B)に一時停止標識がある場合
AB同速度:A20対B80
A減速せずB減速:A30対B70
A減速B減速せず:A10対B90
A徐行B減速せず:A0対B100
B一時停止後侵入:A40対B60
■右折車と直進車 ●同一道路を対向方向から進入
@ @信号機の設置されている交差点
右折車は、直進車の進行を妨害してはならず、妨害のおそれがなくなってからはじめて右折が可能
⇒直進車20%対右折車80%
A A信号機の設置されていない交差点
ほぼ同幅員の生活道路であれば、
直進車30%対右折車70%
●交差道路から進入した場合
右折車がほぼ同幅員の道路と交差している道路から進行してくる場合:
右折車(B)が左方車の場合:A40%対B60%
右折車(B)が右方車の場合:A30%対B70%
■交差点におけるその他の態様 ●左折車と直進車
同幅員の交差点での衝突の場合、直進車(右方車)50%対左折車(左方車)50%。
●右折車同士
同幅員の道路が交わる交差点の場合、
左方車優先⇒右方車60%、左方車40%
●右折車と追越直進車との事故
右折車があらかじめ中央に寄って、右折の合図をした場合には、後続車両は右折車の進行を妨げてはならない⇒後続の直進車が、あらかじめ右によって右折の合図をしている右折車を追い越すために、センターラインまたは道路中央を超えて進行⇒追越直進車90%、右折車10%
右折車が道交法の義務を完全に履行している場合、右折車には原則として過失なし。。
●T字型交差点(同幅員の道路)における事故
直線道路直進車(A)と突き当り路右左折車(B)とが衝突した場合、直線道路直進車が優先⇒A30%対B70%。
■その他の事故 路外から道路に入る場合 路外出入車:
駐車場やガソリンスタンド、コンビニ等に出入りする車
路外車が道路に進入して直進車と衝突:直進車20%対路外からの車両80%
道路を右折して路外に出る場合:直進車10%対右折車90%
センターラインオーバー 中央線がある道路において、中央線を越えたため、対向車と衝突:
中央線を越えた車両が100%
道交法 第17条(通行区分)
4 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。.
追突事故 被追突車が不用意な急ブレーキをかけたため、後続車が追突した場合:
被追突車30%対追突車70%
道交法 第26条(車間距離の保持)
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
道交法 第24条(急ブレーキの禁止)
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
具体例 信号機のある交差点において、青信号で直進した直進車Aと、同一道路を対面方向から走行してきた右折車Bが交差点で衝突。
直進車Aは、制限速度を時速15キロオーバー。
右折車Bが、合図もせず、徐行せず右折。
@事故類型の選択
本件事故は、算定基準表のうち「四輪車と四輪車」、「交差点における事故」「右折車と直進車」、「同一道路を対抗方向から進入」「信号機が設置されている」「直進車A、右折車Bともに青で進入」の類型に該当。

A20%対B80%
A修正要素該当性の検討
直進車Aは、制限速度を時速15キロ超過⇒「著しい過失」⇒加算率10%
右折車Bについては、修正要素のうち「徐行せず」と「合図せず」に該当⇒合計20%加算

修正要素については、20%(B)ー10%(A)=10%が右折車Bに加算
B計算
直進車Aが10%、右折車Bが90%
単車×四輪車 特徴 単車:大型自動二輪車、普通自動二輪車及び原動付自転車。
一部の事故形態を除き、四輪車同士の事故の場合に比べて基本過失相殺率が単車側に10〜20%程度有利に修正。(単車修正)
ヘルメットの着用が義務付け⇒ヘルメット着用義務違反が損害の拡大に寄与している場合、過失相殺率を加算。
基本的過失相殺率 基本的には四輪車同士の事故類型に準じつつ、単車修正がされている。
修正要素 修正要素は、四輪車対四輪車の場合とほぼ同じ。
自転車×四輪車 特徴 自転車については、歩行者に近いものとして、単車と歩行者のほぼ中間に過失相殺率が設定
基本過失相殺率 交差点における自転車の右折は、道交法上はいわゆる二段階右折の方法による。
二段階右折に従って右折している際の事故については、直進車同士の事故類型に該当するものとして判断。
修正要素 ⇒別表。
自転車において加算要素に複数該当し、加算率合計が自転車の重過失における加算率を超えるときは、自転車の重過失の加算率に5%を足した率を限度とする。
加算率が15%の場合、15%に5%を加えた20%が上限となる。
高速道路上の事故 特徴 円滑な運航確保 本線車道上の円滑な運航を確保するため、
@最低速度を維持する義務
A横断・転回・後退の禁止
B本線車道通行車の優先
C本線車道の出入時の加減速車線通行義務
本線車道における円滑な自動車運行を阻害する行為は、一般道路におけるよりも大きく過失相殺の対象とされる。
停止・駐車の禁止 停車、駐車は原則として禁止されている。
⇒禁止に違反して、停止、駐車した場合、相当程度の過失として考慮。l
後続車両への安全配慮 停止した場合の停止表示義務や、停止した場合の本線車道などからの退避義務。
適用範囲 高速道路には、高速自動車道のほか、自動車専用道路も含まれる。
時速40〜60キロの低速度規制がされている自動車専用道路
〜基本的には高速道路上の事故に関する算定基準を適用しつつも、低速度規制の点については、修正用として考慮。
渋滞や濃霧、降雪などにより低速走行しかできない場合、一般道路における基準を適用。
基本過失相殺率 進入路や合流地点での衝突事故;
本線車両に優先権⇒本線車両30%対進入車両70%。
単車修正 単車側に重大な損害が生じる
⇒四輪車同士の事故の場合に比べ単車に10%有利に修正。
単車はブレーキにより不安定となり、結果回避措置が困難になる
⇒急ブレーキ事故の場合、単車に20%有利に修正。
過失割合の基本知識 好意同乗 単に運転者の好意で乗車したにすぎない(単なる便乗、同乗型)⇒減額されない。l
@事故発生の危険性が高いような客観的事情(運転者の無免許、飲酒など)が存在することを知りながらあえて同乗した場合(危険承知型)、
A同乗者が事故発生の危険性を増大するような状況を現出させた場合(到着を急がせるためにスピード違反をあおった場合など)
⇒過失相殺の類推適用により減額が認められる場合がある。
損益相殺 意味 当該交通事故により損害を被った者が損害を被った原因と同一の原因によって利益を受けた場合に、その利益の額を損害額から控除すること。
減額されるものの例 ●死亡後の生活費相当額
●受領済みの自賠責損害賠償額、政府保障事業による填補j金
●各種社会保険給付金
給付の確定した労災保険法、健康保険法、国民健康保険法、厚生年金保険法または国民年金法などに元づく各種社会保険給付金の相当額は損害賠償金から控除。
判例:
すでに支給済みの給付金と支給を受けることが確定した年金給付金の範囲で損害賠償金からの控除が認められている。
控除が行われる場合、あくまでも同一の損害項目から控除。
ex.労災補償において休業補償として給付された金額については、慰謝料から控除することはできない。
●所得補償保険契約に基づいて支払われた保険金
所得補償保険に加入している者が第三者の過失により障害を受けて就業不能になったため、当該所得補償契約に基づく保険金を受け取った場合、保険金相当額を休業損害の賠償額から控除。
減額されないものの例 ●加害者の支払った香典や見舞金
社会儀礼上関係者の被害感情を軽減するためのもの⇒社会通念上の金額の範囲内であれば、損害額から控除しない。
金額が大きい場合⇒損害賠償金の一部の弁済と評価される場合がある。
●生命保険契約に基づく生命保険金
生命保険金は控除されない。

払込みをした保険料の対価たる性質を有するものであって、交通事故と関係なく、被保険者の死亡という事実に基づいて支払われるもの。
●税金
税法上、交通事故による損害賠償金の受領は非課税所得とされているが、損害賠償額から租税相当額を控除しないのが判例。
高額所得者の死亡の場合における逸失利益の算定において、生活費控除率を上げることによって租税相当額を控除しないこととの調整を図っている。
●労災保険上の特別支給金など

特別支給金等は、災害補償を目的とする保険給付とは異なり、労働者福祉事業の一環として行われるもの。
●搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険
〜被保険者量に搭乗中の者が交通事故を原因として、けがしたり死亡したりしたときに、当該搭乗者に対し、定額の保険金が支払われる保険。
最高裁:
保険金の額が実損害額にかかわりなく定額とされている

加害者の締結していた搭乗者傷害保険に基づく保険金が被害者に対して支払われても、その保険金は被害者の損害額から控除されない。
but
下級審で、加害者が保険料を負担している搭乗者傷害保険の保険料の支払いは、実質的には加害者からの見舞金であり被害者の精神的苦痛を軽減させるとして、その支払いを慰謝料の算定において考慮したものがある。
社会保険金等がある場合の過失相殺 ●事例:
交通事故による休業損害は100万円
労災保険から休業補償給付金として、30万円の労災保険給付を受領。
過失割合3割。
この場合、加害者に休業損害としていくら請求できるか?
A:過失相殺後控除説:(最高裁H1.4.11)
損額額につき過失相殺を行い、その残額から労災保険給付額の控除を行う方法

相殺後の70万円から30万円を控除した残額40万円を請求できる。
B:控除後過失相殺説(被害者に有利):
損害から保険金給付額を控除した後の残額につき過失相殺をする方法

100万円から30万円を控除した残金70万円につき過失相殺⇒49万円の請求が可能。
健康保険法や国民健康保険法に基づく療養給付の場合、前述の最高裁の判決後においても、控除後過失相殺説に従った裁判例があり、保険実務も控除後過失相殺説によって処理される。
身体的特徴 自動車を運転中追突され頸椎捻挫などの傷害を負い、後遺症も残った。
Aさんは、首が平均的体格に比べて長いという身体的特徴があり、これに伴う多少の頸椎不安症があった。
原審:
Aさんの首が長いという特徴と心因的要素を考慮して、Aさんの損害のうち4割を減額すべきと判断。(過失相殺の規定(民法722条2項)の類推適用)
最高裁(H8.10.29):
「加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合、疾患の態様などから加害者に損害の全部を賠償させるのが公平でないときは被害者の疾患を考慮することができる。
しかし、被害者が平均的な体格または通常の体質と異なる身体的特徴を有していても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情がない限り、損害賠償額を定めるにあたり考慮することはできない
なぜなら、人の体格や体質は、すべての人が均一同質なものとはいえず、極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた特徴を有する者が日常生活において通常人に比べてより慎重な行動をとることが求められるような場合は格別、その程度に至らない身体的特徴は、個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されているからである」

Aさんの身体的特徴を減額要素として考慮するのは相当ではない。

歩行者の過失相殺率の修正要素例(修正事由に応じて5〜20%の加算・減算)
修正事由 説明
加算 夜間 夜間においては、車両から歩行者の発見が必ずしも容易でないのに対し、歩行者からは、車両のライトにより、車両を容易に発見できる。
横断禁止場所 道交法 第13条(横断の禁止の場所)
2 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。
幹線道路 幹線道路:
車両の通行が頻繁な国道や一部の県道のような道路
直前直後横断 第13条(横断の禁止の場所)
歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
佇立 特段の事情がないにもかかわらず、立ち止まったり、後退したり、ふらつきながら歩いたり
⇒加算事由
後退
ふらふら歩き
減算 幼児・児童・高齢者 幼児:6歳未満
児童:6歳以上13歳未満
高齢者:65歳以上
身体障害者等 身障用車いすに乗っている者、
目の見えない者その他身体に障害がある者が一定の杖を携えている場合や盲導犬を連れて通行している場合等
集団横断(通行) 集団登校や横断者が多数いて車からの発見が容易
⇒歩行者側の減算事由
車両の著しい過失 脇見運転など前方不注視が著しい場合、
酒酔い運転に至らない酒気帯び運転、
速度違反のうち時速15キロ以上30キロ未満の速度違反、
著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス等
車両の重過失 居眠り運転、
無免許運転、
時速30キロ以上の速度違反、
道交法上の酒酔い運転等
歩車道の区別なし 歩車道の区別のない道路においては、道路としては幅員が狭く、より危険な道路であることを運転者において認識できる
⇒歩行者側の減算事由

四輪車同士の事故における修正要素の例(修正事由に応じて5〜20%の加算・減算)
修正事由 説明
著しい過失 脇見運転など前方不注視が著しい場合、
酒酔い運転に至らない酒気帯び運転、
速度違反のうち時速15キロ以上30キロ未満の速度違反、
著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス等
重過失 居眠り運転、
無免許運転、
時速30キロ以上の速度違反、
道交法上の酒酔い運転等
大型車 大型車は危険が大きく交差点を大きく閉塞する形になる⇒運転手の注意義務が高い⇒修正要素(加算要素)となる。
道交法50条違反の交差点進入 交差点などへの進入が禁止されている状況であるにもかかわらず、交差点へ進行した場合。
道交法 第50条(交差点等への進入禁止)
交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。
2 車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によつて区画された部分に入つた場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入つてはならない。
直近右折 交差点において直進車の至近距離で右折する場合。
直進車が通常の速度で停止線を超えて交差点に入る附近まで来ている場合に右折を開始した場合には「直近」。
早回り右折 道交法34条2項に定められている「交差点の中心の直近の内側を進行するとの右折の方法」によらない右折。
道交法 第34条(左折又は右折)
2 自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
大回り右折 道交法34条2項の規定に反し、中央に寄らない右折。
既右折 右折しようとする車が、既に対向直進車線に入っている場合で、対向直進車が少しスピードを落とせば事故が避けられたであろう場合。

自転車と四輪車との事故における自転車の過失相殺率の修正要素例(修正に応じて5〜20%の加算・減算)
加算 高速度進入 「高速度」とは、おおむね時速20キロメートルを超過している速度をいう。
夜間 夜間では、自転車から前照灯をつけた自動車を発見することは容易であっても、自動車から自転車を発見することは必ずしも容易ではないことから、修正要素(加算要素)とされている。
自転車の著しい過失 酒酔い運転、脇見運転、2人乗り、制動装置不良、無灯火(ただし、事故態様からみて、無灯火が事故と関連がある場合に限られる)
自転車の重過失 手放し運転など
減算 横断歩道通行 横断歩道を通過する場合。
児童・高齢者
四輪車の著しい過失 時速15キロ以上の制限速度違反、酒気帯び運転、脇見運転などの著しい前方不注視等
四輪車の重過失 時速30キロ以上の制限速度違反、酒酔い運転、居眠り運転など

各種書類の取得の仕方、書き方、見方
交通事故証明書 発行 自動車安全運転センターが発行。
自動車安全運転センターは、交通事故があったことを証明するために、警察からの資料に基づいて交通事故証明書を作成し、当事者からの申込みに応じて、当事者に交付。
入手方法 自動車安全運転センターの各都道府県事務所に対して申請。
@郵送による申請
警察署、派出所または駐在所などで交通事故証明書申込用紙をもらう。
交付手数料600円を添えて、郵便局から申請。
A自動車安全運転センター事務所の窓口にいく場合
窓口で申請受領。
B自動車安全運転センターのインターネットサイトから申請
注意点 事故を取り扱った警察からの資料に基づいて交通事故証明書を作成
⇒急いで取得する必要がある場合には、事故を取り扱った警察署にいつ頃であれば資料が送付され、交通事故証明書の取得が可能となるかを確認。
確認 ●事故の発生日時・発生場所などの確認
申請書に発生日時、発生場所などを記載する必要⇒わからない場合は、事故を担当した警察に確認する必要。
申請人 ●申請できる人
交通事故の加害者、被害者および交通事故証明書の交付を受けることについて正当な利益のある者(ex.被害者が死亡した場合の相続人等)。
見方 内容 ●証明書の内容
@事故の発生日時
A発生場所
B当事者の氏名
C住所
D生年月日
E自動車の車両番号
F自賠責保険会社名
G自賠責保険の証明書番号
H事故類型(人対車両か車両相互か)
I事故の種別(人身事故か物件事故か)
など
●自賠責保険の証明書番号
この番号が判明すれば、自賠責保険の支払請求手続が可能となる。
●事故の種別
自賠責保険は、人身事故によって生じた損害についてのみ。
人身事故であるにもかかわらず「物件事故」と記載されている場合、自動車安全運転センターに連絡。
自賠責保険の請求には、原則として、「人身事故」の事故証明書の添付が必要。
正当な理由があれば、「物件事故」の交通事故証明書に人身事故証明書入手不能理由書を添付して請求することも可能。
「正当な理由」の例としては、事故現場では、けががないと判断したが、その後けがを負っていることが判明したため、人身事故に切り替えようとしたが、切り替えられなかった場合など。
「事故の発生」についての証明であって、事故の原因、損害の程度または過失の有無などを証明するものではない。
診断書・診療報酬明細書 診断書 医師により、傷病の内容とそれに対する治療の内容、治療の経過などが記載された文書。
(診断書を受領したときには、診断書の記載内容が正しいかを確認する必要。)
⇒別表
診療報酬明細書 医師により、治療のために行われた施術や使用された医薬品の明細および診療点数と請求金額が記載されている文書。
これにより、治療費が計算される。
また、具体的にどのような医療行為が行われているかがわかる。
診療期間などが実際の内容と異なっていないか、診療の種類について記載する欄がある明細書においては、健保関係か、労災か、自由診療かの記載が正しいかを確認する必要。
⇒別表
後遺症診断書 医師により、後遺障害の内容および程度について記載された文書。
これに基づき、後遺障害の等級認定がなされる。
後遺障害の等級〜
@逸失利益の金額
A後遺症慰謝料の金額
B自賠責保険においては保険金の支払限度額
が決まる。
⇒非常に重要な意味がある。
記載内容⇒別表

診断書の記載内容
項目 説明
傷病者の住所・氏名 間違いないか確認。
傷病名
治療開始日
治癒または治癒見込日 すでに治癒した傷病⇒治癒日
治療継続中の傷病⇒治癒見込日
が記載
症状の経過・治療内容・今後の見通し 手術をした場合、手術内容と手術日が記載
後遺障害の有無 症状が固定⇒後遺障害診断書を作成してもらう。
入院治療期間 これにより、傷害(入通院)慰謝料額が変わる
⇒期間や実日数が正確に記載されているかについて要確認。
通院治療期間
(通院実日数)
ギブス固定期間
付添看護を要した期間 医師において付添看護が必要であると判断した期間が記入。
付添看護の要否については原則として医師の判断に委ねられる。
こちらの認識より短い場合には、医師に掛け合ってみる
診断日とその結果 診断書を書くために診断を行った日とその診断結果に○印を付する。
「中止」は、まだ治療が必要な状態ではあるが、患者側の意向により治療を中止する場合を指す。

診療報酬明細書の記載内容
項目 説明
傷病名 診療の対象となった傷病が記載。
診療期間 今回の報酬計算の対象となった期間が記載。
診療の内容 傷病に対して行われた施術や投与された薬剤などについての明細が記載。
点数 行われた施術または投薬された薬の内容に応じて決められている点数が記載。
診断書料
明細書料
文書作成のための費用も記載。
請求額の計算 それぞれの点数に所定の単価を掛けて計算される。

後遺障害診断書の記載内容
項目 説明
症状固定日 医師がこれ以上治療を継続しても症状が改善しないと判断した日
入院期間
通院期間
記載に誤りがないか確認
傷病名
自覚症状 患者による申告内容が記載。
できるだけ詳細に申告して具体的に記載してもらう。
各部位の後遺障害の内容 他覚症状および検査結果などによって後遺症の等級が認定される。

各部位毎の後遺障害の内容、障害の程度、検査による測定値などが具体的に記載されるようにする。


自賠責保険金の請求に必要な書類
必要書類 取り付け先 加害者請求 被害者請求
死亡 傷害 傷害 死亡 傷害
本請求 内払金 本請求 仮渡金 本請求 仮渡金 内払金
保険金・損害賠償額・仮渡金
の支払請求書
交通事故証明書 自動車安全運転センター
事故発生状況報告書 自己当事者など事故状況に詳しい人
医師の診断書
または
死体検案書(死亡診断書)
診断書は、治療を受けた医師または病院
診療報酬明細書 治療を受けた医師または病院
通院交通費明細書
休業損害、看護料などの立証書類
(給与所得者→事業主の休業損害証明書(源泉徴収票添付)
自由業者、自営業者、農林漁業者→納税証明書、課税証明書(所得額の記載されたもの)または確定申告書(控)など)
休業損害証明書:事業主
納税証明書、課税証明書等:税務署・市区町村
被害者の領収書など加害者の支払を証する書類および示談書
(示談書は示談成立の場合のみ提出)
保険金などの受領者が請求者本人であることの証明(印鑑登録証明書)
(被害者が未成年でその親権者が請求の場合には、上記のほか、当該未成年者の住民票または戸籍謄本が必要。)
10 委任状および委任者の印鑑登録証明書
(第三者に委任する場合)
在り
11 戸籍謄本
◎必要
○請求内容に応じて必要

手続き
示談 交通事故の多くが最終的には示談で解決。
交通事故紛争処理機関 ●財団法人日弁連交通事故相談センター
日弁連が設立した財団法人。
弁護士が運営を行い、現在、全国150か所で相談を、そのうち約40か所で示談斡旋および審査を弁護士が無料で行う。
主な相談内容は、損害賠償額の算定、過失の割合、損害の請求方法など。
●財団法人交通事故紛争処理センター
嘱託弁護士が常駐し、相談を受けて公正中立の立場で当事者双方の主張を聴取して、和解のあっ旋をする。
和解が難しい場合、法律専門家により構成される審査会が双方から事情を聞き、判例などを参考にして公正妥当な判断を提示。
保険が付されている場合、保険会社は審査会の判断に従うこととなっている
⇒早期解決が可能。
相談料などは無料。
民事調停 内容 簡易裁判所において民事調停委員を交えた話し合いにより交通事故などの民事の紛争を解決することを目的とする制度。
裁判官のほかに一般市民などから選ばれた調停委員2人以上が加わって組織した調停員会が当事者の言い分を聴き、当事者に歩み寄りを促し、当事者の合意によって紛争を解決。
管轄 原則:相手の住所、居所または営業所の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てる。
人身事故の被害者から申し立てる場合:申立人の住所、居所を管轄する簡易裁判所にも申立て可。
民事調停法 第3条(管轄)
調停事件は、特別の定がある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

民事調停法 第33条の2(交通調停事件・管轄)
自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件は、第三条に規定する裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所又は居所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。
申立 簡易裁判所の受付けに対して、必要事項を記載した申立書を提出。
定型の申立書が窓口に備え付けられている。
民事訴訟 管轄 原告または被告の住所地や交通事故が発生した場所を管轄する裁判所のいずれに対しても提起できる。
140万円以下→簡易裁判所
140万円超→地方裁判所