シンプラル法律事務所
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論点整理(インサイダー取引関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

内部者取引
規制の趣旨

会社関係者・情報受領者は、投資判断に影響を及ぼす情報を容易に知りうる特別の立場にあり、当該事実を知って公表前に有価証券の取引を行えば、一般投資家との間で不公平を生じ、証券市場の公正性・信頼を損なうため。

概要 A:会社関係者・情報受領者の内部者取引(法166条)
上場会社等の会社関係者・情報受領者が、上場会社等の未公表の重要事実をその職務などに関して知ったうえで、当該上場会社等の株券その他の有価証券の売買その他の取引を行う行為。
@会社関係者の内部取引(法1661項前段)
A元会社関係者の内部取引(法1661項後段)
B情報受領者の内部取引(法1663項)
C情報受領者の所属法人の役員等の内部者取引(法1663項)
B:公開買付者等関係者・情報受領者の内部者取引(法167条)
公開買付等の関係者・情報受領者が、未公表の公開買付けまたは上場株券等の買集めの実施または中止の決定の事実をその職務等に関して知ったうえで、当該株券等の買付け等(実施の場合)または売付け等(中止の場合)を行う行為。
事例 会社従業員

金融庁、味の素社員によるインサイダー取引で公開審判手続。
勧告否認による初の公開審判手続き(平成2193日)
味の素社員が、味の素とカルピスが株式交換契約をする事実をその職務に関し知り、公表前にカルピス株式2000株を買い付けたもの。

会社役員

証券取引委員会、原弘産役員のインサイダー取引で課徴金納付命令を勧告。
課徴金額は、284万円(平成21915日)
原弘産の役員は、同社が転換社債型新株予約権付社債の発行を行うことを決定した事実をその職務に関して知り、この事実が公表された平成1921日より前の平成18118日から平成19130日までの間に、同社株式の売買を行った。

契約締結者

証券取引委員会、PwCアドバイザリー元従業員によるファーストリテイリングの公開買付実施に係るインサイダー取引で課徴金納付命令を勧告。課徴金額129万円(平成211023日)
PwCアドバイザリーの元従業員は、同社がファーストリテイリングとのアドバイザリーサービス業務の提携に関する業務委託益約の締結先であったことから、ファーストリテイリングがリンク・セオリー・ホールディングス株券の公開買付けを行うことを決定した事実を、同契約の履行に関して知り、この事実が公表された平成21129日より前の28日にリンク・セオリー・ホールディングス株式合計20株を総額2099000円で買い付けた。

情報受領者

証券取引委監視委員会、ウィーブ株券の公開買付者従事者からの情報受領者のインサイダー取引で課徴金納付命令を勧告。課徴金82万円。(平成211023日)
税理士は、公開買付者であるMCPシナジー1号投資事業有限責任組合の業務に従事していた者から、同組合がウィーブ株券の公開買付けを行うことを決定した事実を知り、この事実が公表された平成21114日より前の同月9日及び同月13日に、同株式100株を総額777000円で買い付けた。

会社関係者・情報受領者の内部者取引 内部者取引とは

@上場会社等における役職員等の会社関係者等が、
Aその上場会社等に関する重要事実の発生後、
Bその重要事実の公表前に、
Cその重要事実を知りながら、その上場会社等の特定有価証券等売買等をすることを原則として禁止するもの(金商法166@)。

会社関係者から業務等に関する重要事実の伝達を受けた情報受領者、または情報受領者が所属する法人等の役員等であって、その者の業務等に関しその業務等に関する重要事実を知ったときには、それが公表された後でなければ、その上場会社等の特定有価証券等を売買等することが禁止されている(金商法166B)。

上場会社等

内部者取引規制が適用されるのは、上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券の発行者に関する重要事実が問題となる場合に限定される。

以下の有価証券のうち、
上場有価証券
(金融商品取引所に上場されている有価証券。平成
20年金商法改正により創設された特定上場有価証券を含む)、
店頭売買有価証券
2810号ハ。店頭有価証券市場を開設する認可金融商品取引業協会が店頭売買有価証券登録原簿に登録した有価証券)または
取扱有価証券
67条の184号、協会府令11条。認可金融商品取引業協会がその規制において、売買その他の取引の勧誘を行うことを禁じていない株券、新株予約権付社債券、新株予約権証券、出資証券、資産流動化法に規定する優先出資証券、投信法に規定する投資証券(上場有価証券および店頭売買有価証券を除く)をいう。グリーンシート銘柄は、これに含まれる)
の発行者
をいう。(法
1631項、金商法施行令27条の2

@ 社債券(社債券の性質を有する資産流動化証券(金商法施行令27条、取引規制府令25条)を除く)、優先出資証券、株券または新株予約権証券(金商法施行令27条の21号)
A @を受託有価証券とする有価証券信託受益証券(同条2号)
B 外国の者の発行する証券・証書のうち、@の性質を有するもの(同条3号)
C B(Bで、上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券に該当するものを除く)を受託有価証券とする有価証券信託受益証券(いわゆるJDR(日本版預託証券)を含む)(同条4号)
D B(B・Cで、上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券に該当するものを除く)に係る権利を表示する預託証券(同条5号)

会社関係者 まとめ
会社関係者 規制の対象となる場合
@上場会社等の役員等 その職務に関して重要事実を知ったとき
A上場会社等の帳簿閲覧権を有する者 帳簿閲覧権の行使に関して重要事実を知ったとき
B上場会社等に対して法令に基づく権限を有する者 その権限に行使に関して重要事実を知ったとき
C上場会社等と契約を締結している者または締結の交渉をしている者 その契約の締結・交渉または履行に関して重要事実を知ったとき
D上記ACが法人の場合で、その法人の他の役員等 その職務に関して重要事実を知ったとき
E上記@〜Dの元会社関係者 その職務に関して重要事実を知ったとき
個別 @:
その上場会社等(上場会社と親会社および子会社)の役員(会計参与が法人であるときはその社員)、代理人、使用者その他の従業者
子会社の役職員が親会社の重要事実を知った場合は、情報受領者として規制の対象となる。
情報受領者

@会社関係者から、未公表の重要事実の伝達を受けた者

A職務上伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等で、職務に関して未公表の重要事実を知った者

上場会社等の重要事実

@決定事実:会社の意思決定に係るもので、会社の業務、運営または財産に関するもの
A発生事実:会社の意思にかかわりなく発生するもので、会社の業務、運営または財産に関するもの
B決算情報:会社の決算情報または業績予想に関するもの
Cバスケット条項:包括的な項目

@決定事実

別表(上場会社の重要事実(@決定事実))へ

上場会社等の業務執行を決定する機関が、金商法16621号および金商法施行令28条に列挙する事項を行うことについての決定をしたこと、または当該機関が当該決定を行い公表された事項を行わない(中止する)ことを決定したこと

日本織物加工事件の最高裁判決(最高裁H11.6.10

事案:
日本織物加工のM&Aに伴う新株の第三者割当発行の決定の公表前に、割当て先の監査役兼顧問弁護士が同社の株券を買い付けた事件。

争点:
@第三者割当発行に関する同社取締役会の正式機関決定がなされる以前の同社社長による決定が「上場会社等の業務執行を決定する機関」による決定に該当するか。
A同社社長の決定において第三者割当発行が確実に実行されるという予測が成り立つことが「行うことについての決定」の要件において必要か

判断:
@について、商法所定の決定権限のある機関には限られず、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関であれば足りると判断。
Aについて、株式の発行を行うことについての決定とは、株式の発行それ自体や株式の発行に向けた作業等を会社の業務として行う旨の決定をいい、この決定というためには株式の発行の実現を意図して行ったことを要するが、株式の発行が確実に実行されるとの予測が成り立つことは要しないと判断。

A発生事実

上場会社等に、法16622号および金商法施行令28条の2に列挙する、次に掲げる事実が発生したこと。

別表(上場会社の重要事実(A発生事実))へ
B決算情報

上場会社等の売上高、経常利益もしくは純利益(売上高等。16623号)もしくは剰余金の配当または上場会社等の属する企業集団の売上高等(すなわち、連結ベースの売上高等)について、公表された直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表された前事業年度の実績値)に比較して、当該上場会社等が新たに算出した予想値または当該事業年度の決算における数値につき、重要基準を満たす程度の差異が生じたこと(同号)。

上記の「予想値」とはいずれも当該事業年度の通期の予想値を意味する。

(翌事業年度以降の予想値が当該事業年度の予想値との間で次の重要基準を満たす差異が生じたとしても、本号の重要事実には該当しない。)

←未だ開始されていない事業年度に関しては、一般に不確定要素が多く、責任をもって対外公表するに値する予想値の算出が極めて困難。

別表(上場会社の重要事実(B決算情報))へ

マクロス事件の東京地裁判決(H4.9.25):
@「当該上場会社等が新たに算出した予想値」に関して、その算出主体である「会社」の意義について、各会社の業務運営の実態に即して判断すべきであるとしたうえで、当該事件においては、売上高などの予想値の公表数値は公表直前に取締役会により承認されていることから、算出主体は取締役会であると判断。
A「算出した」ことになる時期について、「取締役会が算出主体である場合においては、・・・取締役会において予想値の修正公表が避けられない事態に立ち至っていることについての報告がなされてそれが承認されたことをもって、同号にいう数値の「算出」がなされたもと解するのが相当である。」として、取締役会決議での最終確定より早い段階で「算出」と解すべきとした。

Cバスケット条項

限定列挙は困難であることから、上場会社等の決定事実、発生事実および決算情報以外の事実で、「上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」を重要事実として包括的に規定。(金商法16624号)

「投資者の投資判断に著しい影響を及ばすもの」とは、投資者であれば当然に売りまたは買いの投資判断をすると考えられるものと解されている。

日本商事事件の最高裁判決(H11.2.16):

事案:
日本商事株式会社が開発し販売していた新薬を投与された患者につき副作用とみられる死亡例が発生したところ、会社関係者からこの事実を知った医師が、当該事実の公表前に信用取引を利用して同社の株式を売りつけた事件。

争点:
新薬の副作用症例の発生が、発生事実としての「災害または業務に起因する損害」に該当しながら軽微基準により、結局重要事実には該当しないと判断される場合に、改めてバスケット条項を適用することができるか。

判断:
@ある事実が、発生事実としての損害の発生に包括・評価される面とは異なる別の面を有している場合で、決定事実、発生事実、決算情報に該当しない場合には、これについてバスケット条項を適用することができるとの一般論を示した。A本件について、前記新薬が同社が多額の資金を投じて実質上初めて開発したものであり、同社の株価の高値維持に寄与していたという事情や、同社の規模、当該新薬の売上目標の大きさなどにも照らすと、前記副作用症例の発生は、当該新薬の今後の販売に支障を来たし、同社の製薬業者としての信用を低下させ、今後の業務展開および財産状態等に重要な影響を及ばすことを予測させ、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼしうる面があるとし、よって、これについては発生事実としての損害の発生として包摂・評価されえない性質の事実であり、バスケット条項を適用することができると判断した。

子会社の重要事実

子会社の情報をインサイダー取引の重要事実とし、子会社に係る未公表の重要事実を知って親会社株式等を取引することもインサイダー取引として規制することとした。
←子会社情報の重要性。

@決定事実、A発生事実、B決算情報、Cバスケット条項

@決定事実

上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関が16625号および金商法施行令29条に列挙する事項を行うことについての決定をしたこと、または当該機関が当該決定を行い公表された事項を行わない(中止する)ことを決定したこと

別表(子会社の重要事実(@決定事項))へ
A発生事実

上場会社等の子会社に、法16626号および金商法施行令29条の2に列挙する、次に掲げる事実が発生したこと。

別表(子会社の重要事実(A発生事実))へ
B決算情報

その上場会社等の上場または店頭登録会社の子会社および連動子会社の売上高、営業利益、純利益について、公表された直近の業績予想(その予想値がない場合には、既に公表された前事業年度の実績値)に比較して、その条項会社等が新たに算出した業績予想値またはその事業年度の決算において差異が生じる次の情報。(法16627号、取引規制府令552項)

別表(子会社の重要事実(B決算情報))へ
Cバスケット情報

上場会社等の子会社の決定事実、発生事実および決算情報以外の事実で、「条項会社等の子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」(法16628号)

重要事実の公表

重要事実の公表がなされれば、当該重要事実に係る内部者取引規制は解除される。

重要事実の公表方法(金商法1664項、施行令301項):
@法定開示書類の提出
A日刊新聞紙での公表
B金融商品取引所または認可金融商品取引業協会への通知

@法定開示書類の提出

重要事実を記載した次の法定開示書類が内閣総理大臣に提出され、それが公衆の縦覧に供されたときに、重要事実が公表されたことになる。

@有価証券届出書、その添付書類、これらの訂正届出書
A発行登録書、発行登録追補書類、これらの添付書類、これらの訂正発行登録書
B有価証券報告書、その添付書類、これらの訂正報告書
C四半期報告書、半期報告書、これらの訂正報告書
D臨時報告書、その訂正報告書

A報道機関への公表

重要事実を公開する権限を有する者が、その重要事実を、次の2以上の報道機関に公開し、公開後12時間が経過した時点をもって、重要事実が公表されたことになる(施行令3011号・2項)

@国内において時事に関する事項を総合して報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社およびその新聞社に時事に関する事項を総合して伝達することを業とする通信社
A国内において産業および経済に関する事項を全般的に報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社
B日本放送協会(NHK)および一般放送事業者

B取引所等への通知

上場会社等が、その発行する有価証券を上場する各金融商品取引所の規則で定めるところにより、重要事実を当該金融商品取引所に通知し、これが当該金融商品取引所において電磁的方法によって日本語で公衆の縦覧に供されたこと(施行令3012号、取引規制府令56条)

規制対象の有価証券

取引

規制対象となる行為は、上場会社等の「特定有価証券等」に係る「売買等」(法1661項前段)

特定有価証券等

「特定有価証券等」とは、「特定有価証券」および「関連有価証券」の総称。(法1631項)

「特定有価証券」とは、上場会社等が発行する次のもの(金商法施行令27条の3

@ 社債券(社債券の性質を有する資産流動化証券(金商法施行令27条、取引規制府令25条)を除く)、優先出資証券、株券または新株予約権証券(金商法施行令27条の31号)
A 外国の者の発行する@の性質を有する証券または証書で、上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券に該当するもの(同条2号)
B 外国の者の発行する@の性質を有する証券または証書(Aを除く)で、当該有価証券を受託有価証券とする有価証券信託受益証券(いわゆるJDR)が上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券に該当するもの(同条3号)
C 外国の者の発行する@の性質を有する証券または証書(A・Bを除く)で、当該有価証券に係る権利を表示する預託証券が、上場有価証券、店頭売買有価証券または取扱有価証券に該当するもの(同条4号)

上場会社等が発行するものであれば、未上場の社債や優先株券なども含まれる。

「関連有価証券」とは、

@ 当該上場会社等の特定有価証券のみで運用する投資信託・外国投資信託の受益証券(金商法施行令27条の41号)または投資法人・外国投資法人の投資証券・投資法人債券・外国投資証券(同条2号)
A 当該上場会社等の特定有価証券に係るオプション(同条3号)
B 当該上場会社等の特定有価証券に係る預託証券(同条4号)
C 当該上場会社等の特定有価証券を受託有価証券とする有価証券信託受益証券(同条5号)
D 当該上場会社等以外の会社の発行する社債券(新株予約権付社債券を除く)で、社債権者による当該上場会社等の特定有価証券による償還請求権が付されているもの(いわゆる他社株券償還特約付社債券を含む)(同条6号)
E 外国の者が発行する証券・証書でDの性質を有するもの(同条7号)

売買等

「売買等」とは、売買その他の有償の譲渡もしくや譲受けまたはデリバティブ取引をいう(法1661項前段)

「売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け」には、有償の所有権の移転を広く含み、交換、代物弁済、現物出資、金融商品取引所外での相対取引を含む。
しかし、担保権の設定は含まない。

適用除外

以下の場合は、例外的に規制の対象とされない。(金商法1666項各号)

(1)    新株の割当てを受ける権利(会社法20211号)を有する者がその権利を行使することにより株券を取得する場合(法16661号)
(2)    新株予約権を有する者が当該新株予約権を行使することにより株券を取得する場合(法16662号)
(3)    特定有価証券等に係るオプションを取得している者が当該オプションを行使することにより特定有価証券等に係る売買等をする場合(法16662号の2
(4)    会社法上の株式の買取請求権(会社法116条1項、469条1項、785条1項、797条1項、806条1項)又は法令上の義務に基づき売買等をする場合(法16663号)
(5)    当該上場会社等の株券等(第27条の2第1項に規定する株券等をいう。)に係る公開買付け(同項本文により公開買付届出書の提出が必要な場合に限る)またはこれに準ずる行為(買集め行為。金商法施行令31条)に対抗するため当該上場会社等の取締役会が決定した要請に基づいて、当該上場会社等の特定有価証券等・特定有価証券等の売買に係るオプションの買付けその他の有償の譲受けをする場合(いわゆる防戦買いをする場合)(法16664号)
(6)    自己の株式の取得について株主総会・取締役会の決議(委員会設置会社では、執行役の決定を含む。)またはこれらに相当する外国の法令の規定に基づいて行う決議等について公表がされた後、当該株主総会決議等に基づいて当該自己の株式に係る株券等または株券等の売買に係るオプションの買付けをする場合(法16664号の2

ただし、当該自己株式の取得についての機関決定以外の重要事実について公表がされていない場合には、適用除外とならない。

上記の「株券等」とは、@株券および外国の者の発行する株券の性質を有する証券または証書、A@に係る権利を表示する預託証券、B@を受託有価証券とする有価証券信託受託証券をいう(金商法施行令32条各号)
(7)    安定操作(159条第3項、金商法施行令20条)のために売買等をする場合(法16665号)
(8)    社債券(新株予約権付社債券を除く。)その他の政令で定める有価証券に係る売買等をする場合(内閣府令で定める場合を除く。)(法16666号)
(9)    重要事実を知っている会社関係者または情報受領者同士で売買等を取引所金融商品市場・店頭売買有価証券市場によらないでする場合(法16667号)(知る者同士)
(10)  @知る前契約の履行として売買等をする場合、A知る前計画の実行として売買等をする場合、またはBその他これに準ずる特別の事情に基づく売買等であることが明らかな売買等をする場合として内閣府令に定める場合(法16668号)
@またはAについては、内閣府令で規定がある。(取引規制府令591項各号)
刑事責任

懲役5年以下、罰金500万円以下、またはこれらの併科(法197条の213号)
法人の代表者や代理人、使用人その他の従業員が、法人の業務または財産に関して、内部者取引違反を犯した場合には、当該法人に対しても5億円以下の罰金刑を科す。(両罰規定)
行為者が得た財産については没収され(法198条の211号)、没収できないときは、その価額を追徴。(同条2項)

課徴金

金銭的負担を科す行政処分としての課徴金。
インサイダー取引として行われた有価証券売買等の価格と、重要事実公表後2週間における最高値(最安値)との差額が課徴金の額となる。


上場会社の重要事実(@決定事実)
事項 軽微基準(法第166条第2項に規定する投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして内閣府令で定める基準)
株式(優先出資を含む)・新株予約権を引き受ける者の募集(法166条2項1号イ) @払込金額の総額が1億円未満と見込まれること(取引規制府令49条1号イ)
A優先出資を株券額で優先出資の有する口数に応じで発行する場合は、割当比率が0.1未満であること(同号ロ)
資本金の額の減少(同号ロ) なし
資本準備金又は利益準備金の額の現象(同号ハ) なし
自己の株式の取得(同号ニ) なし
株式無償割当て(同号ホ) 割当比率が0.1未満であること(同条2号)
株式の分割(同号ヘ) 割当比率が0.1未満であること(同条3号)
剰余金の配当(同号ト) 1株当たりの配当額が、前事業年度の対応する期間に係る額からの増減額が20%未満であること(同条4号)
株式交換(同号チ) ・完全親会社となる場合
@完全子会社となる会社の最近事業年度末の総資産の帳簿価額が完全親会社の最近事業年度末の純資産額の30%未満であり、かつ、完全子会社となる会社の最近事業年度の売上高が完全親会社の最近事業年度の売上高の10%未満である場合(同条5号イ)
A子会社との間で行う株式交換(同号ロ)
・完全子会社となる場合
なし
株式移転(同号リ) なし
合併(同号ヌ) ・吸収合併で存続会社となる場合
@合併による資産の増加額が最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、合併予定日の属する事業年度および翌事業年度のいずれも合併による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条6号イ)
A完全子会社との合併(同号ロ)
・吸収合併で消滅会社となる場合
・新設合併
なし
会社分割(同号ル) ・分割会社となる場合

最近事業年度末の会社分割に係る資産の帳簿価額が同日の純資産額の30%未満であり、かつ、分割予定日の属する事業年度および翌事業年度のいずれも会社分割による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条7号イ)
・分割承継会社となる場合

会社分割による資産の増加額が最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、分割予定日の属する事業年度および翌事業年度のいずれも会社分割による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
事業の譲渡又は譲受け(同号ヲ) ・譲渡する者となる場合

最近事業年度末の譲渡に係る資産の帳簿価額が同日の純資産額の30%未満であり、かつ、譲渡予定日の属する事業年度および翌事業年度においていずれも譲渡による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条8号ロ)
・譲り受ける者となる場合

@譲受けによる資産の増加額が最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、譲受予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも譲受けによる売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
A完全子会社からの事業の全部又は一部の譲受け(同号ハ)
解散(合併による解散を除く。)(同号ワ) なし
新製品又は新技術の企業化(同号カ) 新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始予定日の属する事業年度を含みその後3事業年度においていずれも当該企業化による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、当該企業化のために特別に支出する額の合計額が最近事業年度末の固定資産の帳簿価額の10%未満であると見込まれること(同条9号)
業務上の提携・業務上の提携の解消(施行令28条1号) ・業務上の提携

業務上の提携の予定日の属する事業年度を含みその後3事業年度においていずれも当該業務上の提携による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、
@ 相手方の会社の株式などを新たに取得する場合は、新たに取得する相手方の株式などの取得価額が会社の最近事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの10%未満であると見込まれること
A 相手方に新たに株式を取得される場合 新たに当該株式数が最近事業年末の発行済株式総数の5%以下であると見込まれること
B 共同して新会社を設立する場合(子会社の設立に該当する場合を除く。)は、新会社の設立予定日から3年以内に開始する当該新会社の各事業年度末の総資産の帳簿価額に新会社設立時の出資比率を乗じた額がいずれも会社の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度の売上高に出資比率を乗じた額がいずれも会社の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条10号イ)
・業務上の提携の解消

業務上の提携の解消の予定日の属する事業年度を含みその後3事業年度においていずれも、当該業務上の提携の解消による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、
@ 相手方の会社の株式などを取得している場合は、取得している相手方の株式などの帳簿価額が最近事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの10%未満であること
A 相手方に株式を取得されている場合は、当該株式数が最近事業年度末の発行済株式総数の5%以下であること
B 共同して新会社を設立している場合は、新会社の最近事業年度末の総資産の帳簿価額に出資比率を乗じた額が会社の最近事業年度の末の純資産額の30%未満であり、かつ、当該新会社の最近事業年度の売上高に出資比率を乗じて得た額が会社の最近事業年度の売上高の10%未満であること(同号ロ)
子会社の異動を伴う株式・持分の譲渡・取得(同条2号) 次の子会社の異動を伴う場合

@ 子会社または新たに子会社となる会社の最近事業年度末の総資産の帳簿価額が会社の最近事業年度末の純資産額の30%未満であり、かつ、当該子会社または新たに子会社となる会社の最近事業年度の売上高が会社の最近事業年度の売上高の10%未満である場合の当該子会社(同条11号イ)
A 新たに設立する子会社の設立予定日から3年以内に開始する当該子会社の各事業年度末の総資産の帳簿価額がいずれも会社の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度の売上高がいずれも会社の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれる場合の当該子会社(同号ロ)
固定資産の譲渡・取得(同条3号) ・譲渡の場合

最近事業年度末の当該固定資産の帳簿価額が同日の純資産額の30%未満であること(同条12号イ)
・取得の場合

当該固定資産の取得価額が最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれること(同号ロ)
事業の休止・廃止(同条4号) 休止又は廃止予定日の属する事業年度を含みその後3事業年度においていずれも当該休止・廃止による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条13号)
上場廃止申請(同条5号) なし
店頭登録取消申請(同条6号) なし
取扱有価証券としての指定取消申請(同条7号) なし
破産手続開始、再生手続開始または更生手続開始の申立て(同条8号) なし
新たな事業の開始(新商品の販売又は新たな役務の提供の企業化を含む。)(同条9号) 新事業の開始予定日の属する事業年度を含みその後3事業年度においていずれも当該新事業の開始による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、当該新事業の開始のために特別に支出する額の合計額が最近事業年度末の固定資産の帳簿価額の10%未満であると見込まれること(同条14号)
防戦買い(金商法166条6項4号、167条5項5号)の要請(施行令10号) なし
預金保険法第74条第5項の規定による申出(預金払戻停止などの申出)(同条11号) なし

上場会社の重要事実(A発生事実)
事実 軽微基準
災害に起因する損害・業務遂行の過程で生じた損害(金商法166条2項2号イ) 損害額が最近事業年度末の純資産額3%未満であると見込まれること(取引規制府令50条1号)
主要株主(総株主等の議決権の10%以上の議決権を保有している株主)の異動(同号ロ) なし
特定有価証券又は特定有価証券に係るオプションの上場廃止・登録取消しの原因となる事実(同号ハ) 社債券・優先株に係る上場の廃止・登録の取消しの原因となる事実(優先株以外の株券及び優先出資証券の上場廃止の原因となる事実を除く。)(同条2号)
財産権上の請求に係る訴えが提起・判決・裁判によらない完結(施行令28条の2第1号) ・訴えの提起の場合

訴額が最近事業年度末の純資産額の15%未満であり、かつ、当該訴えが提起後直ちにそのとおり認められたとした場合、訴えの提起日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該敗訴による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条3号イ)
・判決または裁判によらない完結(「判決等」)の場合

@上記軽微基準に該当する訴えの提起に係る判決等の場合、またはA上記軽微基準に該当しない訴えの提起に係る訴訟の一部が裁判によらず完結した場合で、当該判決等により会社の給付する財産の額が最近事業年度末の純資産額の3%未満であると見込まれ、かつ、当該判決等の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該判決等による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
事業差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立て・裁判・裁判によらない完結(同条2号) ・仮処分命令の申立ての場合

仮処分命令申立て後直ちにそのとおり発せられたとした場合、当該申立日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該仮処分命令による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条4号イ)
・裁判または裁判によらない完結(「裁判等」)の場合

当該裁判等の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該裁判等による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
免許取消し・事業停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分(同条3号) 処分を受けた日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該処分による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条5号)
親会社の異動(同条4号) なし
上場会社等以外の者による破産手続開始・再生手続開始・更生手続開始・企業担保権の実行の申立て・通告(「破産手続開始の申立て等」)(同条5号) なし
手形・小切手の不渡り・手形交換所による取引停止処分(「不渡り等」)(同条6号) なし
親会社に係る破産手続開始の申立て等(同条7号) なし
債務者に対する債権、保証債務に係る主債務者求償権について債務不履行のおそれが生じたこと(同条8号) 債務不履行のおそれのある額が最近事業年度末の純資産額の3%未満であると見込まれること(同条6号)
主要取引先(前事業年度における売上高又は仕入高が売上高の総額又は仕入高の総額の10%以上である取引先)との取引停止(同条9号) 主要取引先との取引停止の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該取引停止による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条7号)
債権者による債務免除・第三者による債務の引受け・弁済(同条10号) 債務免除・債務引受け・弁済の額が最近事業年度末における債務の総額の10%未満であること(同条8号)
資源の発見(同条11号) 発見された資源の採掘・採取を開始する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該資源を利用する事業による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条9号)
特定有価証券・特定有価証券に係るオプションの取扱有価証券としての指定の取消しの原因となる事実(同条12号) 優先株に係る取扱有価証券としての指定の取消しの原因となる事実(優先株以外の株券の取扱有価証券としての指定の取消しの原因となる事実を除く。)が生じたこと(同条10号)

上場会社の重要事実(B決算情報)
決算情報 重要基準(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準)
売上高 10%以上の増減(取引規制府令51条1号)
経常利益 30%以上の増減であり、かつ、増減額が前事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの5%以上であること(同条2号)
純利益 30%以上の増減であり、かつ、増減額が前事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの2.5%以上であること(同条3号)
剰余金の配当 20%以上の増減(同条4号)
企業集団の売上高 売上高の重要基準と同じ
企業集団の経常利益 経常利益の重要基準と同じ
企業集団の純利益 純利益の重要基準と同じ

子会社の重要事実(@決定事実)
事項 軽微基準
株式交換(法166条2項5号イ) @ 株式交換による当該上場会社等の企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。(取引規制府令52条1項1号イ)
A 株式交換による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。(同号ロ)
株式移転(同号ロ) @ 株式移転による当該上場会社等の企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同項2号イ)
A 株式移転による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
合併(同号ハ) ・吸収合併で存続会社となる場合

@ 合併による当該上場会社等の企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度においていずれも合併による当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同項3号イ)
A 合併による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、合併予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度の各事業年度においていずれも合併による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。(同号ロ)
・吸収合併で消滅会社となる場合
・新設合併
なし
会社分割(同号ニ) ・分割承継会社となる場合

会社分割による当該上場会社等の企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、分割予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度においていずれも会社分割による当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同項4号イ)
・分割会社となる場合

会社分割による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、分割予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度においていずれも会社分割による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
事業の譲渡又は譲受け(同号ホ) ・譲り受ける者となる場合

譲受けによる当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該譲受予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度の各事業年度においていずれも譲受けによる当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同項5号イ)
・譲渡する者となる場合

譲渡による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、譲渡予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度においていずれも当該譲渡による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
解散(合併による解散を除く。)(同号ヘ) 解散による当該上場会社等の企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、解散予定日の属する当該企業集団の事業年度および翌事業年度においていずれも解散による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。
新製品又は新技術の企業化(同号ト) 新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始予定日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該企業化による売上高の増加額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、当該企業化のために特別に支出する額の合計額が当該企業集団の最近事業年度末の固定資産の帳簿価額の10%未満であると見込まれること(同項6号)
業務上の提携・業務上の提携の解消(施行令29条1号) ・業務上の提携の場合

当該業務上の提携の予定日の属する当該上場会社等の属する企業集団の事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該業務上の提携による当該企業集団の売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、@ 相手方の株式などを新たに取得する場合 は、新たに取得する相手方の株式などの取得価額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの10%未満であると見込まれること、A 相手方に株式を取得される場合は、当該株式数が当該子会社の最近事業年度末の発行済株式総数の5%以下であると見込まれること、B 共同して新会社を設立する場合(孫会社の設立に該当する場合は除く)は、新会社の設立予定日から3年以内に開始する当該新会社の各事業年度末の総資産の帳簿価額に新会社設立時の出資比率乗じた額がいずれも当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度の売上高に新会社設立時の出資比率を乗じた額がいずれも当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(52条1項7号ロ)
・業務上の提携の解消の場合

業務上の提携の解消の予定日の属する当該上場会社等の企業集団の事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも、当該業務上の提携の解消による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、@ 相手方の株式などを取得している場合は、取得している相手方の株式などの帳簿価額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの10%未満であることA 相手方に株式を取得されている場合は、当該株式数が当該子会社の最近事業年度末の発行済株式総数の5%以下であることB 共同して新会社を設立している場合は、新会社の最近事業年度末の総資産の帳簿価額に出資比率を乗じた額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であり、かつ、当該新会社の最近事業年度の売上高に出資比率を乗じた額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であること(同号ロ)
孫会社(取引規制府令54条)の異動を伴う株式・持分の譲渡・取得(金商法施行令29条2号) 次の孫会社の異動を伴う場合

@ 孫会社または新たに孫会社となる会社の最近事業年度末の総資産の帳簿価額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であり、かつ、当該孫会社または新たに孫会社となる会社の最近事業年度の売上高が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%に未満であると見込まれる孫会社(52条1項8号イ)
A 新たに設立する孫会社の設立予定日から3年以内に開始する当該孫会社の各事業年度末の総資産の帳簿価額がいずれも当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度の売上高がいずれも当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれる孫会社(同号ロ)
固定資産の譲渡・取得(同条3号) 当該固定資産の譲渡・取得による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額または増加額が当該企業集団の最近事業年度末の純資産額の30%未満であると見込まれること(同項9号)
事業の休止・廃止(同条4号) 休止・廃止予定日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該休止・廃止による売上高の減少額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同項10号)
破産手続開始、再生手続開始または更生手続開始の申立て(同条5号) なし
新たな事業の開始(同条6号) 新事業の開始予定日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該新事業の開始による売上高の増加額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれ、かつ、当該新事業の開始のために特別に支出する額の合計額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の固定資産の帳簿価額の10%未満であると見込まれること(同条11号)
預金保険法第74条第5項による申出(同条7号) なし
子会社連動株式(いわゆるトラッキング・ストック)の対象である連動子会社の剰余金の配当(同条8号) 子会社連動株式以外の特定有価証券等の売買等を行う場合における連動子会社の剰余金の配当についての決定(同項12号)

子会社の重要事実(A発生事実)
事実 軽微基準
災害に起因する損害・業務遂行の過程で生じた損害(金商法166条2項6号イ) 損害額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額3%未満であると見込まれること(取引規制府令53条1項1号)
財産権上の請求に係る訴えが提起・判決・裁判によらない完結(施行令29条の2第1号) ・訴えの提起の場合

訴額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額の15%未満であり、かつ、当該訴えが提起後直ちにそのとおり認められたとした場合、訴えの提起日の属する事業年度を含むその後3事業年度においていずれも当該敗訴による売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条2号イ)
・判決または裁判によらない完結(「判決等」)の場合

@53条1項2号イに掲げる基準に該当する訴えの提起に係る判決等の場合、または、A53条1項2号イに掲げる上記軽微基準に該当しない訴えの提起に係る訴訟の一部が裁判によらずに完結した場合で、当該判決等により子会社の給付する財産の額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額の3%未満であると見込まれ、かつ、当該判決等の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該判決等による売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
事業差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立て・裁判・裁判によらない完結(同条2号) ・仮処分命令の申立ての場合

仮処分命令が申立後直ちにそのとおり発せられたとした場合、当該申立日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該仮処分命令による売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条3号イ)
・裁判または裁判によらない完結(「裁判等」)の場合

当該裁判等の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該裁判等による売上高の減少額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同号ロ)
免許取消し・事業停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分(同条3号) 処分を受けた日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該処分による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条4号)
子会社以外の者による破産手続開始・再生手続開始・更生手続開始・企業担保権の実行の申立て・通告(「破産手続開始の申立て等」)(同条4号) なし
手形・小切手の不渡り・手形交換所による取引停止処分(「不渡り等」)(同条5号) なし
孫会社に係る破産手続開始の申立て等(同条6号) なし
債務者に対する債権、保証債務に係る主債務者求償権について債務不履行のおそれが生じたこと(同条7号) 債務不履行のおそれのある額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末の純資産額の3%未満であると見込まれること(同条5号)
主要取引先との取引停止(同条8号) 主要取引先との取引停止の日の属する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該取引停止による売上高の減少額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条6号)
債権者による債務免除・第三者による債務の引受け・弁済(同条9号) 債務免除・債務引受け・弁済の額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度末における債務の総額の10%未満であること(同条7号)
資源の発見(同条10号) 発見された資源の採掘・採取を開始する事業年度を含めその後3事業年度においていずれも当該資源を利用する事業による売上高の増加額が当該上場会社等の企業集団の最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること(同条9号)

子会社の重要事実(B決算情報)
決算情報 重要基準
売上高 10%以上の増減(取引規制府令55条2項1号)
経常利益 30%以上の増減であり、かつ、増減額が前事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの5%以上であること(同項2号)
純利益 30%以上の増減であり、かつ、増減額が前事業年度末の純資産額と資本金の額の少なくないほうの2.5%以上であること(同項3号)

予防規定
内部者取引の予防規定
(法163)
内部者取引を把握するための規定。
第163条(上場会社等の役員等による特定有価証券等の売買等の報告の提出)
第二条第一項第五号、第七号又は第九号に掲げる有価証券(政令で定めるものを除く。)で金融商品取引所に上場されているもの、店頭売買有価証券又は取扱有価証券に該当するものその他の政令で定める有価証券の発行者(以下この条から第百六十六条までにおいて「上場会社等」という。)の役員及び主要株主(自己又は他人(仮設人を含む。)の名義をもつて総株主等の議決権の百分の十以上の議決権(取得又は保有の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものを除く。)を保有している株主をいう。以下この条から第百六十六条までにおいて同じ。)は、
自己の計算において当該上場会社等の同項第五号、第七号若しくは第九号に掲げる有価証券(政令で定めるものを除く。)その他の政令で定める有価証券(以下この条から第百六十六条までにおいて「特定有価証券」という。)又は当該上場会社等の特定有価証券に係るオプションを表示する同項第十九号に掲げる有価証券その他の政令で定める有価証券(以下この項において「関連有価証券」という。)に係る買付け等(特定有価証券又は関連有価証券(以下この条から第百六十六条までにおいて「特定有価証券等」という。)の買付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条、次条及び第百六十五条の二において同じ。)又は売付け等(特定有価証券等の売付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条から第百六十五条の二までにおいて同じ。)をした場合(当該役員又は主要株主が委託者又は受益者である信託の受託者が当該上場会社等の特定有価証券等に係る買付け等又は売付け等をする場合であつて内閣府令で定める場合を含む。以下この条及び次条において同じ。)には、
内閣府令で定めるところにより、その売買その他の取引(以下この項、次条及び第百六十五条の二において「売買等」という。)に関する報告書を売買等があつた日の属する月の翌月十五日までに、内閣総理大臣に提出しなければならない。
ただし、買付け等又は売付け等の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合は、この限りでない。
6月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、又は併科。(法205(19))
法人は罰金刑(法207@(6))
役員又は主要株主の短期売買差益の返還義務(法164) 職務又は地位により取得した秘密を不当に利用することを防止する。
第164条(上場会社等の役員等の短期売買利益の返還)
上場会社等の役員又は主要株主がその職務又は地位により取得した秘密を不当に利用することを防止するため、その者が当該上場会社等の特定有価証券等について、自己の計算においてそれに係る買付け等をした後六月以内に売付け等をし、又は売付け等をした後六月以内に買付け等をして利益を得た場合においては、当該上場会社等は、その利益を上場会社等に提供すべきことを請求することができる。
2 当該上場会社等の株主(保険契約者である社員又は出資者を含む。以下この項において同じ。)が上場会社等に対し前項の規定による請求を行うべき旨を要求した日の後六十日以内に上場会社等が同項の規定による請求を行わない場合においては、当該株主は、上場会社等に代位して、その請求を行うことができる。
3 前二項の規定により上場会社等の役員又は主要株主に対して請求する権利は、利益の取得があつた日から二年間行わないときは、消滅する。
役員又は主要株主による自社株の空売り等の禁止
(法165)
自社株が下落すればするほど利益の出る取引を役員等に禁止することで、会社に対する忠実義務を履行させようとする。
第165条(上場会社等の役員等の禁止行為)
上場会社等の役員又は主要株主は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該上場会社等の特定有価証券等の売付けその他の取引で政令で定めるもの(以下この条及び次条第十五項において「特定取引」という。)であつて、当該特定取引に係る特定有価証券の額(特定有価証券の売付けについてはその売付けに係る特定有価証券の額を、その他の取引については内閣府令で定める額をいう。)が、その者が有する当該上場会社等の同種の特定有価証券の額として内閣府令で定める額を超えるもの
二 当該上場会社等の特定有価証券等に係る売付け等(特定取引を除く。)であつて、その売付け等において授受される金銭の額を算出する基礎となる特定有価証券の数量として内閣府令で定める数量が、その者が有する当該上場会社等の同種の特定有価証券の数量として内閣府令で定める数量を超えるもの
ファンド(組合)による短期売買に対する規制  報告義務 主要株主に該当するかどうかにつて、各出資者ではなく、ファンド(組合)としての保有割合で判断。
第165条の2(特定組合等の財産に属する特定有価証券等の取扱い)
組合等(民法第六百六十七条第一項に規定する組合契約によつて成立する組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合(以下この条において「投資事業有限責任組合」という。)若しくは有限責任事業組合契約に関する法律第二条に規定する有限責任事業組合(以下この条において「有限責任事業組合」という。)又はこれらの組合に類似する団体で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)のうち当該組合等の財産に属する株式に係る議決権が上場会社等の総株主等の議決権に占める割合が百分の十以上であるもの(以下この条において「特定組合等」という。)については、
当該特定組合等の組合員(これに類するものとして内閣府令で定める者を含む。以下この条において同じ。)が当該特定組合等の財産に関して当該上場会社等の特定有価証券等に係る買付け等又は売付け等をした場合(当該特定組合等の組合員の全員が委託者又は受益者である信託の受託者が、当該上場会社等の特定有価証券等に係る買付け等又は売付け等をする場合であつて内閣府令で定める場合を含む。以下この条において同じ。)には、
当該買付け等又は売付け等を執行した組合員(これに準ずるものとして内閣府令で定める組合員を含む。以下この条において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、その売買等に関する報告書を売買等があつた日の属する月の翌月十五日までに、内閣総理大臣に提出しなければならない。
ただし、買付け等又は売付け等の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合は、この限りでない。
6月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、又は併科。(法205(19))
法人は罰金刑(法207@(6))
短期売買差益の返還義務 第165条の2(特定組合等の財産に属する特定有価証券等の取扱い)
 3 特定組合等の組合員がその地位により取得した秘密を不当に利用することを防止するため、当該特定組合等の財産に関し、その者が当該上場会社等の特定有価証券等について、それに係る買付け等をした後六月以内に売付け等をし、又は売付け等をした後六月以内に買付け等をして当該特定組合等の財産について利益を生じた場合においては、当該上場会社等は、当該特定組合等の組合員に対し、当該特定組合等の財産をもつてその利益を当該上場会社等に提供すべきことを請求することができる。