シンプラル法律事務所
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論点整理(年金分割関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

年金分割
基礎知識 離婚から2年以内に、夫又は妻の厚生年金又は共済年金を分割することを、社会保険庁長官、共済組合長等に請求することができる。
イメージとしては、婚姻中に納付していた部分に相当する夫婦双方の厚生(又は共済)年金額を合算し、それを2人で山わけするというもの。
審判では、特段の事情がない限り、半分ずつ(分割割合0.5)とされる。
国民年金は、対象外。
この請求⇒社会保険庁長官は、標準報酬等()年金額の算定のきそとなるもの)を改定する。
当事者が恒例となり年金受給資格を得た後、改定された標準報酬等に基づいて年金が支給される。
請求に先だって、分割割合(請求すべき按分割合)を定めなければならない。
分割割合について協議が整えば、公正証書を作成するが、協議が整わない場合、調停、審判又は人事訴訟の附帯処分によって、分割割合を定めることができる。
年金分割の審判等が確定した後、社会保険庁長官等に、標準報酬等の改定を請求する。
これは、離婚から2年以内にする必要。
平成20年4月以降の、妻が専業主婦(第3号被保険者)であった期間に相当する年金部分については、分割割合を定めずとも、自動的に分割割合が0.5となる(いわゆる3号分割)。
申立て @離婚前に、離婚調停等と共に申し立てられる場合と、
A離婚後に、年金分割の調停・審判が申し立てられる場合
がある。
Aの場合、調停ではなく、審判を申し立てるべき。
←簡易な審理がなされ、結論は原則として0.5となる。
いずれも、社会保険事務所等において交付される「年金分割の情報通知書」を添付して申立てをしなければならない。
(情報提供日から1年が経過していない情報通知書を添付。)
年金制度 3階建ての構造 @1階部分 日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入し「基礎年金」を支給する国民年金
A2階部分 会社員が加入する厚生年金保険公務員等が加入する共済年金
厚生年金や共済年金(「被用者年金」と総称)の加入者は、国民年金にも同時に加入し、国民年金から基礎年金を受けるとともに、2階部分の厚生年金や共済年金から、給与と賞与(平成15年4月以降のみ対象)に比例する報酬比例の年金を受給。
公務員には、共済年金の一部として職域加算部分もある。
各制度から、老齢(退職)、障害、遺族となった場合に年金が支給。
B3階部分 企業が任意に設ける企業年金
厚生年金基金(特別法人)は、厚生年金の老齢厚生年金の一部(代行部分)を国に代わって支給し、これに加えて基金独自の年金給付を上積みして支給する制度。
国民年金の被保険者 @ @第1号被保険者:
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者及び第3号被保険者ではない人。
厚生年金や共済年金から、老齢または退職を事由とする年金を受けることのできる人を除く。
第1号被保険者は、定額の保険料(平成20年度14,410円)を個人で納める。
A A第2号被保険者:
厚生年金及び共済年金の加入者。
国民年金の保険料は個人で納めるのではなく、厚生年金や共済年金の保険料を納め、各被用者年金制度から保険料の一部が基礎年金拠出金として国民年金に収められる。
B B第3号被保険者:
第2号被保険者(厚生年金、共済年金の加入者)の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の人。
国民年金保険料の個人負担はない。
第3号被保険者の国民年金保険料は、配偶者である第2号被保険者が加入している厚生年金・共済年金から基礎年金拠出金としてまとめて納められる。
被扶養配偶者の認定基準は、健康保険法の被扶養者の認定基準(収入要件)を勘案して決められる。被扶養配偶者となる人の年間収入が130万円未満かつ第2号被保険者である配偶者の年間収入の1/2未満の場合、第3号被保険者となる。
年金分割(共通) 対象となる年金 年金制度の2階部分に位置づけられる@厚生年金、A国家公務員共済年金、B地方公務員の共済年金、C私立学校教職員共済年金。
厚生年金基金の代行部分と共済年金の職域加算部分も分割される。
1階部分の国民年金や、3階部分の厚生年金基金の上乗せ部分、確定給付企業年金、確定拠出年金、適格退職年金等は分割できない。
年金分割は各被用者年金制度ごとに行われるため、
厚生年金については社会保険事務所、
共済年金については所属する共済組合(国家公務員であった人又はその配偶者は国家公務員共済組合連合会)へ請求が必要。
合意分割  離婚時みなし被保険者期間 離婚時みなし被保険者間
対象期間のうちで第1号改定者(夫)の厚生年金の被保険者期間であって、第2号改定者(妻)の厚生年金の被保険者期間でない期間のことをいい、その期間は第2号改定者(妻)の被保険者期間であったものとみなされる
厚生年金の年金額を計算する際、その計算の基礎となる期間に算入されるが、「厚生年金の被保険者であった者」とみなされるわけではない⇒受給権が発生しない場合がある。
受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間等が25年以上)には算入されず、自分自身の保険料納付済期間等が、25年以上ないと受給権が発生せず、離婚時に分割をしても年金はもらえない。
特例支給の老齢厚生年金の受給資格期間(保険料納付済期間等をあわせて25年以上で老齢年金の被保険者期間が1年以上あること)の計算の基礎となる期間には、離婚時みなし被保険者期間は算入されない。
 合意方法 @協議離婚⇒離婚当事者の公正証書による合意文書
A調停・裁判離婚 
 3号分割   趣旨 第2号被保険者(厚生年金及び共済年金の加入者)が負担した保険料については、その被扶養配偶者である第3号被保険者が共同して負担したものであるという基本認識が明文化。
⇒3号分割については、同意を必要とせず分割請求が可能。
 分割対象 塀絵師20年4月以降の第3者被保険期間 
 分割方法 特定期間中の特定被保険者の保険料納付記録の標準報酬を、被扶養配偶者である第3号被保険者に対して分割を行うもの。 
 分割割合 特定被保険者の標準報酬の2分の1 
 被扶養配偶者みなし期間 3号分割により、特定被保険者から移し換えられた厚生年金の被保険者期間 
3号分割によって得た厚生年金の期間で、実際に本人が加入した期間ではない⇒老齢基礎年金の受給資格要件の特例などの厚生年金期間などには含めない(受給資格のない人が分割を受けたとしても、受給資格を満たすことはないし、分割を受けた分を含め、年金を受給することはない)。
 合意分割との関係 平成20年4月以降の合意分割では、その対象期間内に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割の請求があった時点で同時に3号分割の請求があったものとみなされる。 
 当事者への情報提供もこの内容となる。
 第2号被保険者である特定被保険者が特定期間の額を計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者である場合には、3号分割は行わない。


年金分割(比較表)
合意分割 3号分割
条文 厚生年金保険法第78条の2〜 厚生年金保険法第78条の13〜
施行日 平成19年4月1日 平成20年4月1日
離婚成立日の要件 平成19年4月1日以降に成立した離婚 平成20年4月1日以降に成立した離婚
対象となる離婚等 @離婚した場合
A婚姻の取消をした場合
B事実婚の解消をしたと認められた場合
@離婚した場合
A婚姻の取消をした場合
B事実婚の解消をしたと認められた場合
C離婚の届出をしていないが、特定被保険者(第2号被保険者)が行方不明になって3年が経過している場合
D離婚の届出をしていないが、事実上離婚したと同様の事情にあると認められた場合
当事者 @第1号改定者:
厚生年金の被保険者又は被保険者であった人で分割される側

A第2号改定者:
第1号改定者の配偶者であった人で分割を受ける側
@特定被保険者:
厚生年金の被保険者又は被保険者であった人で分割される側

A被扶養配偶者:
特定被保険者の配偶者として第3号被保険者に該当していた人で分割を受ける側
対象期間 結婚から離婚までの厚生年金・共済年金期間(平成19年3月以前の期間を含む) 平成20年4月1日から離婚するまでの期間のうち第3号被保険者であった期間に対応する配偶者の厚生年金・共済年金期間
当事者間の合意 @離婚当事者で按分割合について合意するか、
A裁判所で按分割合を決定してもらうことが必要
合意は不要
当事者間の合意・裁判所の決定がなくても50%に分割。
分割方法 婚姻期間中の保険料納付記録が多い人から少ない人に対して保険料納付記録を分割 第3号保険者期間中に厚生年金・共済年金の加入者であった人から第3号被保険者であった人に保険料納付記録を分割
分割割合 按分割合:
対象期間標準報酬総額(双方の標準報酬を再評価した合計)のうち分割後における第2号改定者の持ち分。上限は2分の1、下限は分割前の第2号改定者の持ち分。

改定割合:
分割の結果、第2号改定者の対象期間標準報酬総額の持ち分が指定された按分割合のとおりとなる値として、厚生労働省で定められる値。なお、その際、双方の再評価率の違いを変換率により調整する。
分割割合は、特定被保険者の標準報酬の2分の1
原則2分の1と定められるものと考えられる。
分割手続 標準報酬の改定請求:
当事者間で按分割合に合意した上で社会保険事務所に手続きを行う。
合意できないときは、裁判所の決定により手続きを行う。
標準報酬の改定請求:
第3号被保険者または第3号被保険者であった人から社会保険事務所へ手続きを行う。
当事者の合意は不要。
手続き期限 原則、離婚成立後2年以内(特例あり) 離婚成立後いつでも可能(一部制約あり)
分割効果 年金受給前の分割請求:本人の年金受給権の発生以後に、受給が可能
年季受給者の分割請求:分割請求日の属する翌月分から年金額が改定