シンプラル法律事務所
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論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
不当勧誘事案(現代型民事紛争に関する実証的研究(1)消費者紛争p35〜) | |||||
諸問題 | ■ | ■意思決定プロセス | |||
@前提の理解(情報)⇒A評価・決定(判断) | |||||
消費者契約法4条: @情報型: 誤認類型型(不実告知(1項1号)、故意不告知(2項)、断定的判断の提供(1項2号)) A判断型: 困惑型(不退去(3項1号)、退去困難(3項2号)) |
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■ | ■概観 | ||||
● | ●不当勧誘の構造・・・「3階建て」構造 | ||||
1階:民法(不法行為・公序良俗・錯誤・詐欺・強迫) 2階:消費者契約法(断定的判断・故意不告知・不実告知・不退去等) 3階:特定商取引法等(故意不告知・不実告知・クーリングオフ) |
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● | ●「2階・3階部分」(消費者契約法・特商法等)の概観〜特色と限界 | ||||
2階・3階部分の適用可能性を先に検討 ←要件が比較的具体的で使いやすい but 適用範囲や要件が限定 |
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@特定商取引法は「訪問販売」など一定の類型の取引にのみ適用 A消費者契約法の取消事由としての困惑類型型は「不退去・退去困難」という態様に限定(4条3項) B消費者契約法の取消事由としての不実告知や故意不告知(4条2項)における「重要事項」(同条4項)という要件が適用範囲の限定の機能を果たす。 尚、特定商取引法の取消事由としての不実告知(9条の3第1項1号、6条1項)については、対象が広がっている C消費者契約法の取消事由としての故意不告知における「重要事項又は関連する事項につき消費者の利益となる旨告げた」という要件が適用範囲の限定を機能を果たす。 尚、特定商取引法の取消事由の故意不告知(9条の3第1項2号、6条2項)については、上記要件(先行行為)は不要 |
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◎情報型・・・誤認類型⇒別表 ◎判断型・・・困惑型⇒別表 |
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◎クーリングオフ(3階部分): 特商法(9条等)や割販法(35条の3の10等) ← 軽率に契約を締結した者に再考の機会を与える趣旨 基本的に理由を問わずに解除等ができる。 |
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● | ●「1階部分」(民法)の概観〜「2階・3階部分」(消費者契約法・特商法等)との関係 | ||||
@「2階・3階部分」での救済が難しいか、微妙な事案について、不法行為、公序良俗違反を主張 A「2階・3階部分」の効果とは別の効果を求めて主張 |
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Aは、請求権競合の問題。 ex.消費者契約法4条所定の取消事由があることをもって不法行為と構成して弁護士費用等の損害賠償を請求 〜 故意又は過失により不実告知をして相手方に損害を生じさせた⇒不法行為に基づく損害賠償請求を否定する理由はない。 判例:不当利得制度と不法行為に基づく損害賠償制度は趣旨を異にしており、不当利得返還請求と不法行為に基づく損害賠償請求権が単純な請求権競合関係に立ち、不法行為の各要件を満たす以上は不当利得返還請求の範囲を超える損害賠償も認められ得る |
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● | ●「すきま事案」の存在 | ||||
「2階・3階部分」の取消事由等には当たらないか、当たるかどうか微妙なもの ex.やや判断力の経験の不足した若者や高齢者を相手に、(詐欺・強迫とまではいえないが)誤認を惹起するような紛らわしい、あるいは強引な勧誘によって、(暴利行為とまではいえないが)不相当な対価で、不要不急の商品を売りつけるような場合 〜 @事業者の勧誘に消費者を誤認させるような要素も困惑させるような要素も含み、 A契約内容にも一定の問題がある もの。 |
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■ | ■「すきま事案」の検討(不法行為・公序良俗違反該当性など) | ||||
● | ●「すきま事案」について一定の保護の必要性〜「1階部分」(不法行為構成、公序良俗違反構成)による対応の可能性 | ||||
ex.次々販売、催眠商法、内職商法、霊感商法、利殖商法(投資勧誘)、データ尾商法、マルチ商法等 | |||||
社会心理学的には事業者が各種の心理学的セールス手法を併用する「合わせ技」は契約獲得に有効。 それらが行き過ぎた場合の救済方法 ⇒ @消費者契約法、特定商取引法、更には民法の詐欺・錯誤・強迫といった各取消・無効・解除事由の拡張を解釈論又は立法論として展開していくアプローチ A公序良俗違反(暴利行為)や不法行為といった一般条項の解釈・適用の枠内で対応していくアプローチ |
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● | ●法律構成〜公序良俗違反や不法行為の特色 | ||||
契約締結過程及び契約内容(給付の不均衡、リスクの高さ、購入の必要性・過量)の両面が審理対象に入るという点で共通 一体的(全体的)な判断がされる傾向がある点も共通 一般条項規定として、規範的な総合評価をする際に、実質的な悪性(不相当性・不公正性)を考慮しやすい法律構成 |
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● | ●公序良俗違反(暴利行為)の要件該当性 | ||||
大判昭和9.5.1: 貸金業者が過大な担保を取得した契約条項の効力が問題となった事案で @他人の窮迫軽率や無経験を利用し、A著しく過当な財産的給付をなすべき旨を約させたときは、民法90条により無効 |
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現代型暴利行為論: 上記@Aの要件をいずれもよりゆるやかにとらえた上で、 @契約内容(給付の不均衡、取引のリスク等)と A契約締結過程(事業者の勧誘方法) の両面を相関的に勘案して不当性を判断して法律行為の無効を導くもの。 |
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民法90条の該当性を判断するに当たっての考慮要素(評価根拠事実、評価障害事実)について、裁判例を分析した上で、意思決定プロセスに着目 ⇒次の4つの観点から整理できる。 @情報に関する事業者側の行為態様 A判断に関する事業者側の行為態様 B判断主体たる消費者の属性 〜@ABは「契約締結過程」に関する事実 C契約内容(具体的には、給付の不均衡、取引のリスク等) 〜Cは「契約内容」に関する事実 |
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名古屋高裁H21.12.19: (デート商法による取引について、公序良俗違反であるとされた事案) 上記@: 女性が「外国の職人が手作りで加工しており費用がかかるもので価格としては安いほうである」などと述べて当該宝飾品の購入を勧めた 上記A: 若い女性が、レストランで、原告との交際や結婚をにおわせる話をした後、貴金属等の説明を長時間にわたり行い、女性の仲間の男性が威圧的な態度も交えて購入を迫った。 原告は、怖くなり、帰宅を言いだすことができなかった(困惑・眩惑させる行為) 上記B: 原告は当時22歳の独身の教員で、貴金属の知識に乏しかった 上記C: 100万円で購入した宝飾品は実際には10万円程度の価額であった |
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各評価根拠事実の重みを判断するには、必要に応じて、消費者行動特性を考慮し、社会心理学や行動経済学の知見も参照すべき。 | |||||
さらに、消費者法関連の様々な取締規定(行為規制)も、上記評価根拠事実の拾い出し作業やその重みの評価・判断の際の参考資料となる。 〜 特定商取引法等や条例のレベルで取締規定は、事業者の問題のある商法(勧誘方法等)の代表的なものを、その実態を踏まえて、規律の対象とするもので、その内容はかなり具体的なものとなっている。 ⇒公序良俗違反の評価根拠事実の選別やその評価をする際に一定の参考となる。 |
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● | ●不法行為構成について | ||||
不法行為責任が追及されることが多い ← @弁護士費用(や慰謝料)の請求が可能 A勧誘担当者等の個人責任も含めて共同不法行為責任を追及し得る B過失相殺など事案に即した柔軟な解決も可能 |
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民法709条等(主として、違法性の要件や過失の要件の中で議論される)においても 4つの観点(@情報に関する事業者側の行為態様、A判断に関する事業者我がの行為態様、B判断主体足る消費者の属性、C契約内容)から整理した上で、取締規定なども参考にして具体的事実を拾い上げると便宜 |
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東京高裁H20.11.27: (キャッチセールスでの版画の売買が不法行為に当たるとされた事案。原告の請求を棄却した原判決を変更。) 上記@: 勧誘目的を明らかにせず店舗に同行させた 価格について不実告知をした 上記A: 消費者を退去させなかった 上記B: 原告は当時26歳の会社員で争いごとが苦手で版画に興味・関心がなかった 上記C: 相場に比べて著しく高い値段であった。 |
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■ | ■概観 | ||||
類型と要素(MKA) | ||||
■ | ■@情報に関する事業者側の行為態様 | |||
詐欺 | ||||
不実告知 (商品種類、価格、代金支払時期、引渡し時期、契約を必要とする事情、その他判断に影響を及ぼすこととなる重要なこと) (重要事項について事実と異なる内容の契約書の作成) |
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故意不告知 (商品の内容を告げない) |
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断定的判断の提供 | ||||
訪問目的・販売意図を隠す (当選商法、福祉商法) |
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設置が法令で義務づけられているかのような説明 (点検商法等(消火器の訪問販売)) |
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官公署の職員と誤信させるような言動 (「消防署の方から来た」) |
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書面の不交付 | ||||
■ | ■A判断に関する事業者側の行為態様 | |||
強迫 | ||||
威迫・困惑 (消費者を不安にするような威迫的セールス) |
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退去しない・退去させない | ||||
立ちふさがり、つきまとい(キャッチセールス) | ||||
「拒否者」への勧誘 | ||||
拒絶の意思を表示することを妨げる | ||||
親切行為その他サービス品の供給等を行うことで、心理的負担を利用し、執ように勧誘 (返報性を利用したサービス) |
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主たる販売目的以外の商品を無償で提供 (返報性を利用したセールス) |
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購入資金に関して、要請なく借入れ・信用供与を勧めて、執ように勧誘 | ||||
不幸を予言、健康又は老後の不安を殊更にあおる (霊感商法) |
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情報を利用して過去の不利益が回復できるかのように告げる (損失回避を利用したセールス) |
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過量販売 (正当な理由がないのに日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約の締結についての勧誘) |
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深夜・早朝の勧誘、長時間の勧誘 | ||||
老人、未成年者、知的障害者への勧誘 | ||||
商品の知識経験不足につけ込む勧誘 財産状況に照らして不相応又は不要な支出を強いる契約の勧誘 |
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解除妨害のため、商品を使用させる (クーリング・オフ妨害) |
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契約が成立したかのように誤信させる (ネガティブ・オプション) |
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■ | ■B判断主体たる消費者の属性 | |||
■ | ■C契約内容(具体的には、給付の不均衡、取引のリスク等) |
★情報型・・・誤認類型 | ||
階層 | 制度 | 適用範囲 |
3階 | 不実告知(特商法9条の3等) | 訪問販売等 |
故意不告知(特商法9条の3等) | ||
2階 | 不実告知(消費者契約法4条1項1号) | 消費者契約 |
故意不告知(消費者契約法4条2項) | ||
断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号) | ||
1階 | 錯誤 | すべての契約 |
詐欺 | ||
公序良俗違反(暴利行為) | ||
不法行為 | ||
★判断型・・・困惑型 | ||
3階 | 威迫して困惑させてはならない(特商法6条3項等) | 訪問販売等 |
2階 | 退去しない (消費者契約法4条3項1号) | 消費者契約 |
退去させない(消費者契約法4条3項2号) | ||
1階 | 強迫 | すべての契約 |
公序良俗違反(暴利行為) | ||
不法行為 |
★特定商取引法(訪問販売)の行為規制の概要 | ||
特商法・訪問販売 | 特商法又は省令(施行規則) | 具体例、関連セールス技法 |
3条、氏名等の明示 | 訪問目的を誤ったセールス | |
3条の2第2項 拒否者への勧誘の禁止 |
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4条5条 書面の交付 |
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6条1項・不実告知 | 1〜5号 商品の種類、価格、代金支払時期、引渡し時期等 | |
6号 契約締結を必要とする事情に関する事項 | 点検商法等(住宅リフォーム、消火器等) | |
7号 その他消費者の判断に影響を及ぼすることとなる重要なもの | 「ご近所しゃ皆やっている」といった勧誘 | |
6条2項・故意不告知 | ||
6条3項・威迫・困惑 | ||
7条柱書 | ||
7条2項・故意不告知 | ||
7条3項・過量販売 | ||
7条4号・取引公正を害する | 省令7条 | |
1号 迷惑を覚えさせる勧誘 | 深夜・早朝の勧誘、長時間の勧誘 | |
2号 老人その他の物の判断力不足に便乗 | 老人、未成年者、知的障害者への勧誘 | |
3号 適合性原則違反 | 商品の知識経験不足につけ込む勧誘、財産状況に照らして不相応又は不要な支出を強いる契約の勧誘 | |
6号 立ちふさがり、つきまとい | キャッチセールス | |
7号 解除妨害のため、商品を使用させる | クーリング・オフ妨害 | |
★東京都消費生活条例の行為規制の概要 | ||
25条1項3号 誤認 |
6条 | |
1号 販売意図を隠す | 当選商法、福祉商法 | |
5号 設置が法令で義務付けられているかのような説明 | 点検商法等(消火器の訪問販売) | |
6号 官公署の職員と誤信させるような言動 | 「消防署の方から来た」という勧誘(権威を利用したセールス) | |
25条1項4号 困惑等 |
7条 | |
2号 契約が成立したかのように誤信させる | ネガティブ・オプション(コミットメントと一貫性を利用したセールス) | |
3号 訪問し、消費者が拒絶の意思を表示することを妨げる | ||
4号 重要事項について事実と異なる内容の契約書を作成 | ||
5号 路上で呼び止め、意に反して、執ように説得等 | キャッチセールス | |
6号 親切行為その他サービス品の供給等を行うことで、心理的負担を利用して、執ように勧誘 | 返報性を利用したサービス | |
7号 購入資金に関して、要請なく借りれ・信用供与を勧めて、執ようにj勧誘 | ||
8号 不幸を予言、健康又は老後の不安を殊更にあおる | 霊感商法 | |
9号 情報を利用して過去の不利益が回復できるかのように告げる | 損失回避性を利用したセールス | |
10号 主たる販売目的以外の商品を無償で提供する | 返報性を利用したセールス | |
11号 早朝や深夜に電話したり訪問する |
消費者研修(研修レジュメ参照) | |||
当事者関係(消費者・販売業者・信販会社) | (1)信販会社と消費者:@商品代金の立替払契約、A立替金の支払請求 (2)信販会社と販売業者:物品代金の立替払 (3)消費者と販売業者:物品の売買契約 このような場合、悪徳商法に騙された消費者は、販売業者との売買契約を解消して、信販会社への支払を止めた。 (1)消費者→販売業者:民法・消費者契約法・特定商取引法等 (2)消費者→信販会社:割賦販売法 |
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※信販会社をいかに位置づけるかについては、販売業者とは別の独立の第三者として捉えるのが一般的とも思われるが、その経済的一体性等を考慮して、販売業者を信販会社の代理人的立場と構成する裁判例も複数存在している(東京高判平成12年9月28日判事1735号57貢、岐阜地多治見支判平成19年7月19日裁判所HP等)。 | |||
cf,東京高判平成12年9月28日判事1735号57貢 「信販会社と…販売業者とは、互いに独立した法主体である。しかし、本件のような商品の販売と、これに伴うクレジット契約の締結については、両者は加盟店契約を締結して、販売業者は、信販会社の信用供与により代金の早期支払を得ることができ、他方、信販会社は、自ら営業活動を行わなくても、販売業者が獲得した顧客に対して購入代金の融資に応じ、あるいは金融機関による融資に関して保証の委託を受けるなどの与信業務によって金融上の利益をあげることができるという関係にある。 そして、クレジット契約締結の実際においては、信販会社は、販売業者に対し、売買代金について顧客より与信の申込みを受けることを委託しており、これを受けて、販売業者は、信販会社のために、顧客に与信の勧誘と説明を行い、作成された契約書(申込書)を信販会社に送付し、信販会社から信用調査等の結果に基づく契約の諾否の通知を受けて、これを顧客に連絡するといった与信契約締結のための事務手続の一切を行っている。 販売業者は、信販会社と独立して与信契約締結の決定権(代理権)を有するものではない。しかし、販売業者は、与信契約を締結するのに不適当な事実(例えば本件のような加盟店契約上の地位の他社利用の事実など)を信販会社に伝達せず、結果的に与信契約不適な事案について、与信契約を締結させることが可能である。そして、与信契約の相手方からみると、与信契約の不適な事案を含めて、与信を受けられるか否かの実際の交渉は販売業者との間でするのであり、そのような事案を含めて、契約の諾否の回答も、販売業者を通じて受けるのである。このことは、代理権を有しない販売業者が、ある面では与信契約締結の可否を決するキーマンの地位にあることを示している。 以上検討したところによれば、販売業者にはクレジット契約の締結に関する代理権は認められず、したがって信販会社の代理人(商)とまではいえないとしても、実質的にはこれに準じる立場にあり、民法九三条但書の解釈としては、販売業者が、クレジット契約の相手方に契約締結の意思がないことを知り、又は知るべかりしときには、信販会社が知り、又は知るべかりしときと同様に、信販会社は契約の効力を主張することはできないものと解するのが相当である。 もっとも、このように解するのは、クレジット契約の前記のような構造を悪用して利益を得ようとする者を保護するためではなく、何らの利益も得ずに単に利用されたにすぎない者を保護する趣旨である。したがって、当該契約によって利益を得た者…は、前記の無効を主張することは許されないものと解するべきである。」 |
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検討順序 | @まず販売業者との間の法律関係を検討 A次に販売業者に対する抗弁を信販会社に対しても主張できるかを検討。 販売業者との間の具体的なやりとり状況の聴取は、救済手段を検討する上で重要。 |
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消費者法の活用 | 特定商取引に関する法律(旧訪問販売法)や消費者契約法が活用できれば、民法と比較して、定型的判断になじみやすく、立証負担も軽減される⇒比較的短期に解決できることも多い。 | ||
相談の際の注意点 | @相談者の取引類型を把握する ・「○○商法」「△△商法」がどの法律のどの条文が問題になるかを把握する A信販会社を確認する(割賦販売法の適用あるか) B指定商品に当たるか確認(ほとんど含まれるが・・・) C契約書面等に不備がないかを確認する(クーリングオフは非常に便利) Dクーリングオフ妨害がないかを確認する Eクーリングオフ、解除、支払い停止等の書面は、販売業者と信販会社の両方に送付する F使用利益や損害賠償の予定の適用については、その都度、条文・判例と照らして判断する |
投資者保護法制 |
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2007年9月30日、金融商品取引法の全面施行。 | |||
最近の投資者被害 | @証券被害 従来から、信用取引、ワラント、過当取引等の被害 ア EB、日経平均リンク債等の仕組み債(デリバティブを債券に組み込んだ商品)等、規制緩和による新規の複雑な仕組みのハイリスク商品による被害 イ 社債、投資信託等、以前は比較的安全な商品と考えられていた商品類型に危険性の高い商品が登場し、被害が生じる。 ウ 偽計・風説の流布、有価証券報告書虚偽記載等市場に対する不正行為により大規模な被害が生じている。 エ 無登録業者による未公開株式等明らかに犯罪に該当する事例 |
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A商品先物取引被害 ア 国内公設取引では、手数料自由化による競争の激化等を背景に、被害事例が拡大し、破綻・廃業する業者もでている。 イ 規制が極めて不十分な海外商品先物取引や海外商品先物オプションでの被害 ウ ロコ・ロンドン金取引等、規制の隙間を狙った商法の続出。 |
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B詐欺的な投資商品による被害 平成電電・近未来通信等の事例のように、被害が大規模で、当該業者が破綻し、被害回復が困難な事例。 |
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法律の適用 | 金融商品取引法 | 適用対象は、有価証券の取引とデリバティブ取引(証取法より適用範囲拡大) | |
証券・証書が発行されている有価証券(法2@): 信託の受益証券、抵当証券が新たに加えられ、オプション証券・証書の範囲が拡大。 投資信託については、金商法と投信法が適用される。 |
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証券・証書が発行されていないみなし有価証券(法2A): 投資商品に関する包括規定である集団投資スキーム(ファンド)持分に関する規定の新設をはじめとして、大幅に拡充された。 集団投資スキーム(ファンド)持分は、組合契約・匿名組合契約その他いかなる形式によるかを問わず、 @他者から金銭などの出資・拠出を受け、 Aその財産を用いて事業・投資を行い、 B当該事業・投資から生じる収益等を出資者に分配するような仕組みに関する権利(法2A(5)) ⇒ 従前規制の網がかかっていなかった事業型ファンドを含め、金融分野の投資商品についてほぼ規制の網がかけられた。(財産規制などの要件を満たした上での登録が必要で、行為規制が適用される。) |
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デリバティブ取引: デリバティブ取引の定義を設け(法2S〜23項)、有価証券デリバティブ取引、金融先物取引を統合したほか、通貨・金利スワップ、クレジット・デリバティブ、天候デリバティブ等が新たに規制対象となった。 外国為替証拠金取引も適用対象となった。 |
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預金・保険等 | 預金や保険は金商法に統合されず。 預金については、銀行法等、保険については保険業法が、適用される。 投資性のある商品(仕組み預金、変額年金保険等)には、金商法の行為規制に関する条項が準用され(特定預金に関する銀行法13の14、52の45の2、特定保険に関する保険業法300の2)、規制の横断化が図られた。 |
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商品先物取引等 | 所管が金融庁ではなく経済産業省・農林水産省⇒商品先物取引等に適用される法律は従前どおり。 | ||
国内商品先物取引: 商品取引所法(商取法)が引き続き適用される。 金商法との横並びの行為規制が行われた。(商取法213の2以下) |
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海外の商品デリバティブ: 業法上の手当てはない。 海外商品先物取引には、海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律(海先法)が適用され、海外商品先物オプションやロコ・ロンドン金取引等については、業法上の規制が行われていない。 but 海外商品先物取引と海外商品先物オプションは金融商品販売法(金販法)の適用対象とされ(金販法2@(11)、施行令5(3))、その後、海外商品先物オプションとロコ・ロンドン金取引等は特定商取引法の適用対象とされた(特商法施行令3B別表第3の21項)。 |
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金商法の規制及び改正金販法の概要 | 行政法規違反は、不法行為法等における業者の違法性の重要な要素となる。 | ||
規制の柔構造化 | 金商法では、投資商品の特性、金融商品取引業者の特性、投資者の特性に応じて、規律の内容が定められる。 | ||
開示規制: 流動性の高い上場有価証券の発行者等については、財務報告に関する内部統制報告制度、四半期報告制度及び経営者による確認書制度を義務付ける。 流動性に乏しいみなし有価証券については、原則として公衆縦覧型の開示規制を適用しないこととし、例外的に主として有価証券に投資を行う投資型ファンド等に開示規制を適用する。(法3(3))(事業型ファンド等には開示規制は適用されず、開示規制として不十分。投資型ファンドについても、500名以上の者が所有することとなる場合を適用対象としており(施行令1の7の2、1の8の2)、適用除外が広範。) |
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業規制: 金商法では、金融商品取引業を 第1種金融商品取引業、第2種金融商品取引業、投資助言・代理業、及び投資運用業の4つに区分し(法28)、それぞれに応じた参入規制(登録許否要件)を定める。(法29の4) プロ向けファンドの販売・勧誘または運用を行う者は、適格機関投資家等特例業務として登録制でなく届出制とされる。(法63) (適格機関投資家等特例業務では、行為規制が基本的に適用されないが(金商法63の3B)、49名までの一般投資家に対して販売できる。(施行令2B(3)) |
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行為規制: 投資家を特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)に区分し、一般投資家の取引には投資家保護に十分な行為規制を適用し、特定投資家の取引には緩和された行為規制を適用。(法2条31項、34条〜34条の5、45条) 上場会社・資本金が5億円以上と見込まれる会社等が特定投資家(定義府令23条)、上記以外の法人や個人が一般投資家。 法人や一定の要件を満たす富裕層個人は特定投資家へ移行できる。 |
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行為規制の整備 | 販売・勧誘に関する規制 |
広告規制(金商法37・金商業等府令72〜)、契約締結前交付書面(金商法37の3・金商業等府令82〜、手数料等が記載事項とされた)、禁止行為(金商法38、金商業等府令116〜)、適合性の原則(金商法40)等が規定される。 | |
禁止行為: 訪問・電話勧誘(不招請勧誘)の禁止に関する規定がおかれたが、その適用対象は店頭金融先物取引に限られる。(金商業等府令116) 相対取引である店頭外国為替証拠金取引は、訪問・電話勧誘が禁止されるが、市場外国為替証拠金取引は訪問・電話勧誘が認められることとなった。 契約締結前交付書面の交付等の際に、重要事項に関して「顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引を締結する目的に照らして当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による説明」をしないで契約を締結する行為が定められた。 (金商業等府令117@(1))⇒不法行為法上の説明義務の根拠の1つとなりうる。 説明義務の内容として、「損失が生ずるおそれがある旨」に加えて「その理由」を求めている。 これは、書面交付の際の説明義務として規定されているが、金商法では書面交付義務に関して適用除外の定めをおいているので、要注意。(金商業等府令80) |
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適合性の原則: 考慮要素として、契約締結目的が加えられている。 尚、最高裁H17.7.14判決 |
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顧客資産の分別管理についても規定が整備されているが(法43の2〜)、店頭外国為替証拠金取引等において緩和された区分管理が許容されており(金商法43の3、金商業府令143@)、業者が破綻した際に顧客資産が返還されないなどの問題が生じている。 | |||
運用に関する規制 | 運用を行う投資法人、投資信託の委託業者及び投資顧問業者等(多くは従前許可制であったが、投資運用業は登録制とされた。投資顧問業法は廃止された。)、並びに、主として有価証券に投資する集団投資スキーム(投資型ファンド)の運用者等は、金商法では、投資運用業の規制を受ける。(金商法28C) 投資運用業については、忠実義務、善管注意義務、自己執行義務、分別管理義務等の行為規制が定められている(金商法42以下)。 |
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改正金販法 | 不法行為の特則であるが、金商法の整備に伴う改正により、規定の充実が図られた。 | ||
@説明義務の内容に「取引の仕組みのうちの重要な部分」が加えられ、 A説明義務の程度について、「顧客の知識、経験、財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による」べきことが明らかにされた(金販法3)。 B断定的判断の禁止に関する規定が新設された(金販法4)。 |
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商品取引所法改正 | 2004年改正により、委託者保護の強化が図られ、金商法の整備に伴う2006年改正により、金商法・金販法にならった横並びの規制がなされた。 | ||
2004年改正 | 取引証拠金の商品取引所預託(商取法103等)、分離保管義務の厳格化(商取法210、省令98)、委託者保護基金の制度の整備(商取法269〜327)等による委託者資産の保全制度の拡充。 勧誘規制の強化(商取法214(5)〜(7))、適合性原則の行為規範の明確化(商取法215)、説明義務と損害賠償責任(商取法218)、両建規制(商取法218(8)(9)、省令103(9))、向い玉規制(商取法214(9)、省令103(1))等による委託者保護の強化。 主務省から「商品先物取引の委託者の保護に関するガイドライン」が公表されている。 |
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2006年改正 | 金商法の規制にならい、広告規制(商取法213の2)、虚偽告知の禁止(商取法214(2))、適合性の原則(商取法215)、説明の程度(商取法218A)、断定的判断の提供(214(1)、218B)、金販法の一部準用(商取法220の3)等が整備された。 損失補てんの禁止(商取法214の2、省令103の2)が導入された。 ⇒改正法が施行された2007年9月30日以降、1000万円を超える示談では主務大臣の事故確認を受けなければならず、1000万円以下の示談では委託者側代理人は事故確認書面を業者に交付しなければならない。 被害が多発している商品先物取引については、訪問・電話勧誘(不招請勧誘)の禁止の導入が切望されているが、見送られた。 |
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保険法・保険業法改正 | 2005年改正 | 無認可共済の規制⇒法的根拠を有しない共済は、保険業法の適用が除外されるものを除き、少額短期保険業の登録等が必要。⇒2008年4月施行で、消費者被害をもたらすような共済に実効ある規制が来た際されるが、PTAの安全互助会や知的障害者の入院互助会等の自主共済の存続が困難となる等の副作用。 | |
2007年 | 政省令の改正により、クーリング・オフができる場合が拡大され(保険業法施行令45条)、投資性のある保険商品について特定早期解約制度が設けられた。(保険業法施行規則11(3)の2)) | ||
2008年3月 | 保険法案が国会に提出。 現行商法には規定のない傷害疾病保険に関する規律が整備されており、告知妨害に関する規律、責任保険における被害者の先取特権、保険金受取人の介入権等が盛り込まれる。 |