シンプラル法律事務所
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論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
手形小切手 | |||||
原因関係と手形 | 原因関係 | 原因関係:当事者間で手形・小切手を振り出すあるいは裏書する原因となった法律関係。 手形関係:手形上の法律関係(手形の所持人が振出人や裏書人などに対して手形金を請求できるという法律関係) |
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設権証券性 | 手形上の権利が、原因関係上の権利とは別個の、手形の作成そのものによってはじめて発生する権利であると解されていること。 | ||||
原因関係上の債務の利払いに関連して約束手形が振り出される場合、当事者間には、手形関係と原因関係という2つの法律関係が存在し、手形に基づく権利(手形債権)と原因関係に基づく権利(原因債権)の2つの権利が存在すること。 | |||||
無因性 | 手形行為(それに基づいて発生する手形上の権利も)、それをなすにいたった原因関係とは切り離された独立のものであり、原因関係の無効あるいはその取消・解除によって影響を受けることはない(=手形の無因性)。 | ||||
文言性 | 手形行為は手形に記載された文言を内容とする⇒手形上の権利関係が手形上の記載によって決まる(=手形の文言性)。 | ||||
機能 | @債務者が手形行為を行ったことを主張・立証すれば足り、その原因関係について主張・立証する必要はない。 A無因性⇒第三者は原因関係を気にかけるこてょなく、安心して手形を取得することができる。 |
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直接の当事者間 | 売主から手形によって請求を受けても、原因関係である売買契約を解除したこと、従って手形振出しの原因が消滅したことを主張・立証して、その支払を拒むことができる。 but 手形上の権利そのものはなお存在していて、ただその行使が原因関係の解除という抗弁によって阻止されるだけ。 人的抗弁にすぎず、手形が善意の第三者に譲渡されれば、原則として主張できなくなってしまう。 |
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手形割引 | 定義 | 商取引によって取得した手形を銀行に裏書譲渡し、手形金額から金利相当額を差し引いた金銭の交付を受ける取引 | |||
機能 | @手形の譲渡による資金調達。 A受取手形の管理・取立に要する手数やわずらわしさを銀行に転嫁できる。 B銀行にとっては割引料収入は大きな収入源。 |
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法的性格 | 売買説: 手形を銀行に売って対価を得る取引。 割引料は値引き相当額。 |
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不渡時 | 割引手形が不渡⇒ 銀行は、取引先(割引依頼人)に買戻しを要請。(契約上の義務) (手形の主たる債務者が期日に支払わなかったとき、買戻請求権が発生。) |
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買戻請求権と遡求権 | @契約に基づく債権と手形法に基づく債権 | ||||
A買戻請求権の発生事由は広く、発生時期も早い。行使方法も簡単。 遡求権は、手形法の厳格な規定の適用を受ける⇒使いこなすことは容易ではない。 |
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B買戻請求権の行使には手形の呈示を必要とせず、手形の同時返還を必要としない。 遡求権では、原則としてすべて手形とともにする必要。 |
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C買戻請求権の時効期間は5年。 遡求権の時効期間は1年。 |
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白地手形と補充権 | 記載事項 | 手形の必要的記載事項が法定⇒そのうちどれ1つを欠いても手形は無効 | |||
規定 | 第75条〔手形要件〕 約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ 一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字 二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束 三 満期ノ表示 四 支払ヲ為スベキ地ノ表示 五 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称 六 手形ヲ振出ス日及地ノ表示 七 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名 |
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第76条〔手形要件の欠缺〕 前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ約束手形タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ A満期ノ記載ナキ約束手形ハ之ヲ一覧払ノモノト看做ス B振出地ハ特別ノ表示ナキ限リ之ヲ支払地ニシテ且振出人ノ住所地タルモノト看做ス C振出地ノ記載ナキ約束手形ハ振出人ノ名称ニ附記シタル地ニ於テ之ヲ振出シタルモノト看做ス |
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白地手形 | 規定 | 第77条〔準用〕 A第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条〔手形行為独立の原則〕ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス |
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第10条〔白地手形〕 未完成ニテ振出シタル為替手形ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ為替手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ |
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@白地の補充を停止条件とする手形金債権と Aこの条件を成就させる補充権 の2つの権利が表象 |
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未完成で無効な手形: 手形の必要的記載事項が欠けており、かつその欠けている部分につき補充する権利の与えられていないもの。 |
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回収 | 手形金の支払 | 手形債務は取立債務。 | |||
支払呈示が基本型。 | |||||
銀行と当座取引をして統一手形用紙をもらう。⇒支払地のほか、支払場所として甲銀行A支店という記載。 〜 甲銀行A支店が支払場所 甲銀行が支払担当者 |
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自分の当座取引のある銀行に振り込んで取立てを依頼。 受け入れた銀行は加盟している手形交換所に他の手形や小切手と一緒にまとめて持込み、そこで呈示。 |
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取立を回すのを忘れた | 取立にまわす=支払いのために呈示 | ||||
一覧払手形:原則として振出日から1年以内。振出日の翌日でも可能。 | |||||
それが以外の手形(確定日払い、日付後定期払い、一覧後定期払い): 支払いをなすべき日およびこれに次ぐ2取引日内、つまり3日間。 支払いをなすべき日が日曜・祭日・振替休日⇒次の日。連休⇒連休あけの日。 これに次ぐ2取引日も休日は含まない。 呈示する時間:相手方の取引時間内。呈示先が銀行⇒銀行の営業時間内。 |
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● | ●支払提示期間内に呈示されなかった場合: | ||||
@主たる債務者(約束手形の振出人、為替手形の引受人)⇒支払呈示期間の適法な支払呈示がなくても、時効(満期から3年)にかからない限り、手形金の支払いを免れることはできない。 but 満期日からの法定利息はとれず、取引停止処分等の制裁は発動されない。 |
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A遡求義務者(裏書人)の責任: 支払い呈示期間内に適法な呈示をしないと、裏書人には請求できない。 ⇒不渡りになることがわかっていても、期間内の呈示が必要。 |
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裏書人に対する請求に関して、支払い呈示が有効に働くには、完全な手形を提示する必要。 (振出日、受取人欄等、必ず白地部分を補充) |
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満期前請求 | 約束手形の振出人の信用がゼロ(破産・支払停止・強制執行をしたが効果がない)⇒満期前でも裏書人に遡求権を行使できる。 | ||||
約束手形17通の所持人が、そのうち7通が不渡りになったので、まだ満期がきていない10通分も含めて、振出人に対し、手形金および損害金の支払命令を申し立てた⇒満期前の手形についても、振出人は支払停止の状態にあったと認めて請求を認容(東京地裁昭和53.7.21)。 | |||||
白地手形 | 必ず白地部分を補充する。 | ||||
振出日白地 | |||||
不渡 | 不渡処分とは | 手形交換所規則に定められている取引停止処分のこと。 | |||
6カ月に2回不渡をだすと、銀行取引が停止される。 (不渡にしても6カ月間経過すれば、その後さらに不渡を出しても銀行取引停止とはならない。) |
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手続 | 呈示 | 平成4年8月4日の手形(確定日払手形) 〜8月4日、5日、6日の3日間のうちに手形交換呈示。 この3日間の前後に交換呈示⇒期日未到来または呈示期間経過後の不渡として不渡処分から除外。 |
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手形返還 | 当座預金残高が不足 あらかじめ振出人から手形事故の申出 ⇒不渡手形として手形持出銀行へ返還。 (交換呈示日の夕方には支払銀行の手を離れる。) |
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不渡届 | |||||
回避方法 | ● | ●交換呈示を避ける方法 | |||
手形の流通経路をたどって所持人を確かめたうえ、手形の支払期日変更なり書替の交渉。 1両日余裕があれば金策が可能⇒手形交換呈示を呈示期間の最終日にしてもらう。 |
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所持人は裏書人に対する遡及権を保全しておくために呈示だけはしておきたい⇒直接店頭呈示してもらって銀行(当座取引先)に不渡付箋をつけてもらうようにしたらいい。 事情をしっている銀行は、不渡届の提出におよばない。 |
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● | ●不渡返還を避ける方法 | ||||
取引銀行の裁量によって一時的に支払資金をこえて支払をしてもらう(いわゆる過振り)方法。 | |||||
所持人と交渉して依頼返却をかけてもらう。 | |||||
事由と対応 | 0号 | 0号不渡事由: 適法な支払呈示でないかこれと同視される不渡事由で不渡届の提出を必要としない不渡事由 |
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「期日未到来」 「裏書不備」⇒自分の裏書きをやり直し、再取立。 呈示期間を過ぎても、主債務者である相手方への権利は、3年の事項にかかるまで影響を受けず、単に遅延利息が期日の翌日から請求できるか否かだけの違い。 「法的整理」⇒法的整理の枠内で回収を図る。 |
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第1号 | 第1号不渡事由: 資金不足と取引なしの不渡事由で、その人の信用が良くないことを明白に示すもの |
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「資金不足」「取引なし」 ⇒ お互いに売り買いが存在⇒相殺適状 相殺適状でなくても、すぐに交渉して合意相殺を承諾させ「相互に期限の利益を放棄して金500万円の相殺を合意します」と書目にして相手の署名捺印をもらう。 保証人や担保をとる。 |
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第2号 | 第2号不渡事由: 0号、1号以外の契約不履行、偽造、詐取などすべての不渡事由で、支払義務者(振出人または引受人)側になんらかの抗弁事由がある事由 |
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契約不履行、詐取、紛失、盗難、印鑑(署名鑑)相違、偽造、変造、取締役会承認等不存在、金額欄記載方法相違、約定用紙相違等 | |||||
物的抗弁:偽造、変造⇒あらゆる所持人に対抗できるものbut外見上その真偽は判別できない⇒0号ではなく2号に。 | |||||
人的抗弁:契約不履行、詐取、紛失、盗難等 〜善意の所持人には対抗できない(手形法17条、小切手法22条)が、支払銀行は手形所持人の善意・悪意を判断できない⇒第2号不渡事由に |
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「印鑑相違」「偽造」では、使用人等の表見代理が絡む事案等になると、通常訴訟にならざるをえない。 | |||||
ほとんど支払銀行に異議申立預託金がある⇒仮差押えをして支払銀行の相殺は覚悟の上、手形訴訟により転付をかける。 | |||||
異議申立 | 1号と2号の場合、支払銀行、持出銀行の双方から手形交換所あてに不渡届を提出。 ⇒手形交換所は交換日から起算してい営業日4日目に当該振出人等を不渡報告に掲載して参加銀行に通知。6か月以内の日を交換日とする手形等について2回目の不渡届の提出⇒原則として取引停止処分に付するものとして、取引停止報告に掲載して参加銀行へ通知。 このような不渡報告や取引停止報告を阻止する制度が異議申立。 |
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0号 | 0号不渡事由〜手形等の交換呈示が適法な呈示でない場合。 〜支払銀行、持出銀行ともに手形交換所への不渡届を提出しない⇒異議申立の必要なし。 |
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1号 | 「資金不足」「取引なし」 〜弁解の余地なし⇒異議申立は認められない。 (←異議申立は手形等の支払義務者が手形等を不渡りにしたことについて一応無理からぬ事由がある場合にこれを救済するための制度。) |
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2号 | 異議申立てが認められる(東京手形交換所規則66条)。 | ||||
手続 | 申立人:支払銀行(手形等の支払義務者からの申出(準委任)をうけて手続をとるのが普通) 被申立人:手形交換所 |
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支払銀行は、「契約不履行」で手形等を不渡にした場合、交換日の翌々営業日の営業時間(平日午後3時)までに、交換所に異議申立書と不渡り手形金相当額(異議申立提供金)を提供し、異議申立を行う⇒不渡報告は行われない。 | |||||
預託金 | 支払銀行は手形等の支払義務者から異議申立の依頼をうけ、異議申立提供金と同額の資金(異議申立預託金)を受領してはじめて異議申立手続をとる。 | ||||
機能 | @手形等支払義務者が支払義務異議申し申立手続を依頼するに際し、銀行が手形交換所に提供する異議申立提供金に見合う資金を提供。 (委任事務処理費用の前払い(民法649条)) |
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A不渡り事由が手形等支払義務者の信用に関しないものであることを疎明するための保証金。 | |||||
法的性質 | @不渡手形を担保するものではない。 「預託金は手形債務者に支払の資力があることを明らかにし、異議申立が濫用されることを防止するものであって、特定の手形債権の担保するにあるのではない」(最高裁昭和45.10.23) 「異議申立提供金は手形支払銀行が「手形の支払を拒絶した手形支払義務者にそれを支払う資力がないのではなく、正当の抗弁事由があるので支払拒絶をするのであること」を疎明し、不渡り処分を阻止するために手形交換所に預託する金銭であって、不渡手形の担保ではなく・・・特定の手形の信用を維持し、その手形権利者に対する手形金の支払担保の作用を営ませるためのものではないと解するのが相当である」と明言(東京高裁昭和44.12.17)。 ⇒ 不渡手形の所持人が預託金から手形金を回収しようと思うときは、一般債権者と同様、債務名義を取得して預託金返還請求権に強制執行をするしかない。 |
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A預託金の返還時期: 委任関係の存在を前提としながらこれと結合した消費寄託⇒提供金が返還されたときに預託金返還請求権の期限が到来(不確定期限付債権) 提供金は一定の事由があったときは交換所から支払銀行に必ず返還され(東京手形交換所規則67条)、その時に預託金の返還期も到来する。 |
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B預託金の譲渡可能性: 債権の性質上、譲渡性あり(通説・判例)。 現在では、各銀行とも当座取引先から預託金を受け入れる場合には、譲渡・質入金しの特約をすることにしている。 「貸金業の登録をうけて金銭を貸付けていたいたが、副業としてこれを行っていたにすぎない者が、善意で譲渡禁止特約ある不渡異議申立預託金返還請求権の譲渡を受けた場合、金融機関に譲渡の可否を問い合わせなかったとしても、重大な過失があったとはいえず、右譲渡は有効である」(最高裁昭和62.11.24) |
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転付命令 | 預託金返還請求権は譲渡可能⇒差押可能。 | ||||
停止条件付債権⇒被転付適格が問題 不覚的期限付債権⇒被転付適格がある |
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異議申立提供金が返還される場合(東京手形交換所規則67条1項 7号:「持出銀行から交換所に支払義務確定届または差押命令送達届が提出された場合」 ⇒ @不渡手形について振出人等に支払義務のあることが裁判により確定した場合(細則80条の2)および A預託金返還請求権に対する差押命令が支払銀行に送達された場合(細則80条の3) には持出銀行はその旨交換所に届出ることができ、届出が受理されると提供金が返還される。 |
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右届出が受理されてから2カ月を経過しても当該手形が支払われない場合は持出銀行は交換所に対し不渡処分の請求をすることができ(細則82条の2)、交換所では不渡手形審査専門委員会の審議をへて不渡処分を実行することになる(規則67条の2)。 | |||||
相殺 | 差押命令あるいは転付命令が執行された後に、支払銀行が手形等支払義務者に対して有する債権を自働債権として預託金返還債務jと相殺するのは有効(判例)。 | ||||
手形交換規則では、預託金が差押えられると提供金は返還されるが、支払銀行による相殺等により振出人の支払資金(預託金)がなくなり手形を支払わないまま2か月を経過すると不渡処分をうけることになる。 | |||||
中間裏書人への遡及 | 遡求権を行使するには、要件の整った手形を呈示期間内に支払呈示して、支払を拒絶されたことが要件。 ⇒振出日や受取人を白地のままで呈示しても、遡求できない。 後から補充しても、遡って有効になるものではなく、再呈示もできない建前。 再呈示しても、「支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日」(手形法44条3項)に間に合いかねる。 手形の支払場所の記載は、支払提示期間内(3営業日)だけ有効で、前後は自宅か営業所となる。 訴訟になると裁判所の証拠提出命令により、持出銀行のフィルムが提出され、それに白地の手形が写っていると敗訴する。 |