シンプラル法律事務所
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論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
権利取得の手続 | ||||||
出願 | 規定 | 第36条(特許出願) 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 二 発明者の氏名及び住所又は居所 2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。 3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 発明の名称 二 図面の簡単な説明 三 発明の詳細な説明 4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二 特許を受けようとする発明が明確であること。 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。 7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。 |
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第70条(特許発明の技術的範囲) 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。 |
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「特許請求の範囲」 | 意義 | 特許発明の技術的範囲を確定し、権利範囲を示す機能。 | ||||
記載要件 | @請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要な事項のすべてを記載すること(法36条5項) | |||||
A特許請求の範囲の記載は特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること(いわゆるサポート要件)(法36条6項1号) | ||||||
B発明が明確であること(明確性の要件)(同2号) | ||||||
C記載が簡潔であること(同3号) | ||||||
Dその他経済産業省令で定めるところにより記載されていること | ||||||
●Aサポート要件 | ●Aサポート要件 | |||||
特許請求の範囲と発明の詳細な説眼との形式的な対応関係だけではなく、実質的な対応関係も必要とされた。 | ||||||
具体的には、 @請求項と対応する事項が発明の詳細な説明に記載あるいは示唆がない場合、 A請求項に係る発明が発明の詳細な説明に記載された内容を超えている場合、 B用語の統一が不明確で請求項と発明の詳細な説明の対応関係が不明瞭な場合、 「サポート要件」違反とされる。 ⇒拒絶される。 〜 特許請求の範囲に記載されている発明が、単に形式的に詳細な説明に記載されているだけでは足らず、詳細な説明の紀伊債で実質的に開示されており、当業者が当該発明の課題を解決できるものでなければならない。 |
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裏から見れば、明細書に開示されていないものを、特許請求の範囲に記載することは許されないという意味。 ← サポート要件を満たしていない出願に特許を付与するということは、実質的には公開していない技術についての独占を認めることに等しいことになる。 |
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サポート要件は、特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明の記載と比較して広すぎるものを排除する機能を果たすものであり、本来は実施可能要件とは異なった判断が要求される。 | ||||||
明細書 | 当該発明の技術的内容を示す文書であり、具体的には、 @発明の名称 A図面の簡単な説明 B発明の詳細な説明を記載しなければならない。 (法36条3項) |
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発明の詳細な説明 〜 権利関係を確定するものではないが、技術の内容を開示するという重要な意味を有する。 その記載は、経済産業省令に定めるところにより、明細書および特許請求の範囲に記載した事項と出願時の技術常識に基づき、容易に実施することができる程度に明確かつ十分に記載されなければならない(「実施可能要件」)(法36条4項1号、特許施行規則24条の2)。 |
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必要な図面 | 必要のある場合にのみ、発明の説明の補助として記載。 | |||||
要約書 | 要約書(法36条2項) ⇒発明の概略が容易に理解でき、公開公報の利用が容易になった。 |
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利用者の利便性のために発明の概略を示すだけの作用しかなく、技術的範囲に影響を与えるものではない⇒登録後は無効理由とはされていない。 | ||||||
出願の単一性 | 規定 | 特許法 第37条 二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。 |
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特許法 第36条(特許出願) 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 |
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説明 | 従来:一発明一出願主義の採用。例外的に一定の密接な関係尾ある発明を一出願に含めることができた。 ⇒ 昭和62年改正 一発明一出願の制度は廃止され、多項性が採用され、各請求項が重複した内容でも登録されるようになり(法36条5項)、特許請求の範囲の記載が容易になるとともに、請求項ごとの重複審査の必要もなくなった(法37条)。 〜 出願の単位は欧米並みに広がった。 ⇒ 平成15年改正 単一性の要件をPCTにあわせるとともに、従来37条で規定されていた同一性の要件を経済産業省令に委ねることとした。 〜 複数の発明を1つの願書で出願できるようになるとともに、無関係な発明が一出願でなされることを防ぎ、出願人・第三者・特許庁の便宜を図る。 |
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2発明以上の場合は、経済産業省令(特施規25条の8)で定める技術的関係を有することにより発明の単位通生の要件を充たす一群の発明(関連発明)についてのみ1の癌所で出願できる。 単一性違反で拒絶⇒多くは分割によって拒絶理由は消滅。 |
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特許請求の範囲 | 単項制(昭和50年改正前) | 明細書の特許請求の範囲には特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載した項を1項だけ記載できる。 | ||||
1つの明細書で出願・権利取得できる発明の数は原則として1個であり、一定の関連性のある複数の発明の場合は、同一の明細書で出願できる | ||||||
多項制(昭和50年改正) | 「・・・・の特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならない。ただし、その発明の実施態様を併せて記載することを妨げない。」 1発明を複数項で記載することを許容する「多項制」を採用。 |
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実施態様項は、必須要件項で確定される技術的範囲を明確にするための請求項で「発明の実施態様は、特許請求の範囲に記載された発明の構成に欠くことができない事項またはその発明の他の実施態様を引用し、かつ、これを技術的に限定して具体化することにより記載しなければならない。」とされた請求項。 | ||||||
一発明に対する必須要件項はあくまで一項であり、公報上も「発明の数」が記載されていた。 | ||||||
改善多項制(昭和62年改正) | @一の発明について独立形式、従属形式にかかわりなく、多面的で自由な表現によって複数の請求項を記載できることにし、新規性、進歩性等の判断については、個々の請求項ごとに独立して判断。 | |||||
A一定の技術開発の流れのもとにある相互に密接な関係のある発明について、同一の願書で出願できることとし、独立形式に限るという記載形式の制限も撤廃。 | ||||||
B複数の請求項を記載する場合に単一性を満たす限りにおいて(法37条)、それらの請求項が相互に別発明を表現しているか、同一発明を表現しているかは問わない。 |
特許を受ける権利 | ||||
規定 | 特許法 第66条(特許権の設定の登録) 特許権は、設定の登録により発生する。 |
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特許法 第33条(特許を受ける権利) 特許を受ける権利は、移転することができる。 2 特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。 3 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。 4 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定し、又は他人に仮通常実施権を許諾することができない。 |
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性質 | 特許法は、特許を受ける権利については、移転・質権設定・対抗要件・仮専用実施権・仮通常実施権について定めているのみであり、発明者が原始的に取得する権利(発明者権ないし発明権)の全体像は、学説や判例に委ねられている。 | |||
内容 | ■発生 | ■1 発生 | ||
発明の完成と同時に発明者に原始的に帰属する。 実体からすれば発明者権と称する方が妥当。 |
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■実施 | ■2 実施 | |||
特許を受ける権利を有していても、その対象である発明を自ら実施することはできるものの、独占的実施権が保証されているわけではなく、また第三者の行為を差し止めることもできないし、その実施が第三者の権利を侵害するような場合は発明者自らも実施できない。 〜 実施に関して特別な権利が発生するものではない。 |
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■ | ■3 仮専用実施権・仮通常実施権 | |||
■ | ■4 特許出願権(特許を受ける権利) | |||
● | ●(1)譲渡可能性 | |||
特許出現権は発明者権の一内容であり、譲渡できる(33条1項)。 | ||||
当事者の合意のみで移転。 第三者に移転を対抗するためには出願が必要(34条1項)。 出願後の特許を受ける権利の譲渡については、特許庁への届出が効力発生要件(34条4項)。 |
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譲渡しうるのは財産権のみ: 発明者名誉権は人格権であるため、譲渡できない。 出願人が誰であろうと、発明者は出願書類等に発明者として氏名を記載される権利を有している(36条1項2号)。 |
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共有となる場合 | 特許法 第29条(特許の要件) 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。 |
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共同発明⇒1つの特許を受ける権利を複数の発明者が原始的に共有する(29条1項柱書)。 共同発明者となるには、2人以上の者が実質的に発明の創作に関係しなければならず、単なる管理者や補助者、或いは後援者は共同発明者とはならない。 |
特許権 | ||||||
特許要件 | 規定(法29条) | 第29条(特許の要件) 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。 一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明 二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明 三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明 |
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2 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。 | ||||||
新規性 | 新規性を喪失する事由として@公知、A公用、B刊行物記載を規定。(法29@各号) | |||||
公知の擬制 | 先願である特許出願あるいは実用新案登録出願が公開されたときは、その願書に最初に添付した明細書または図面に記載されている発明または考案と同一である場合においては、後願の特許出願に係る発明は特許を受けることができない。 | |||||
進歩性(法29A) | 発明を属する技術分野の常識の知識を有する者(当業者)が容易に思いつく発明に対して排他的権利を与えることは、社会の技術の進歩に役立たないばかりでなく、かえって妨げとなる→このような発明には特許を付与しない。 | |||||
職務発明 | 種類 | 職務発明 | 従業員等が行った発明であって、発明の性質上、その使用者等の業務範囲に属し、かつその発明をするに至った行為が、その使用者等における従業員等の現在又は過去の職務に属する発明。(法35条1項) | |||
業務発明 | 使用者等の業務範囲に属する発明であるが従業員等の職務には属さない発明。 | |||||
自由発明 | 従業員等が行った発明であって、使用者等の業務範囲及び従業員等の職務のいずれにも属さない発明。 | |||||
「職務発明」の要件(法35条1項) | @従業員が行った発明であること。 A発明の性質上、使用者等の業務範囲に属すること。 Bその発明をするに至った行為が、その使用者等における従業員等の現在又は過去の職務に属すること。 |
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取扱い | 非職務発明 | 特許を受ける権利は、 当然に発明者である従業員等に帰属する。(法29条1項柱書) | ||||
予め使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のために専用実施権を設定すること(「予約承継等」)を定めた契約・勤務規則などは無効。(法35条2項) | ||||||
職務発明 | @従業員等の原始的特許を受ける権利の取得: 特許を受ける権利は原始的に従業員等に帰属する。(法29条1項柱書) |
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A使用者等の無償の通常実施権の取得: 従業員等が特許を受けた場合、使用者等は無償の通常実施権を取得する。(法35条1項) |
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B使用者等の予約承継等: 使用者等は、予約承継等を定めることができる。(法35条2項反対解釈) |
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C従業員等の対価請求権: 使用者等が特許を受ける権利の予約承継等をした場合、従業員等は相当の対価を受ける権利を有する。(法35条3項) ←通常実施権を取得する場合と比較して権利価値に大差があり、無償とすると両者の均衡を失して従業員等の保護に欠ける。 |
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D外国の特許を受ける権利についての対価請求権: 使用者等が外国の特許を受ける権利を従業員等から承継した場合についても、最高裁判決により、所定要件下、従業員等に旧特許法35条3項、4項に基づく対価請求権が認められる。 |
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対価請求権 | A:使用者等が契約、勤務規則その他の定めにおいて対価について定める場合: 対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業員等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定について行われる従業員等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理とを認められるものであってはならない。(法35条4項) |
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B:対価の定めが不合理である場合や契約・勤務規則等において対価の定めがない場合: 対価は、使用者等の受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業員等の処遇その他の事情を考慮して定められる。(法35条5項) |
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発明 | 規定 | 特許法 第2条(定義) この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。 2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。 3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為 二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為 三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 |
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種類 | (1)物の発明 (2)方法の発明 @物を生産する方法の発明 Aその他の方法の発明(「単純方法の発明」) |
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● | ●物の発明 | |||||
機械・化学物質・微生物・食品・遺伝子・動植物等の有体物の発明。 | ||||||
平成14年改正により、プログラムその他電子計算機による処理のように供する情報であってプログラムに準ずるものを含む(法2条3項1号、4項) | ||||||
● | ●単純方法の発明 | |||||
自動車エンジンの燃費向上方法・映像送信の伝達方法・不安定な化学物質の貯蔵保法・化学物質を用いた殺菌方法・通信方法や測量方法・電気や熱エネルギーの発生方法等 | ||||||
● | ●物を生産する方法の発明 | |||||
化学物質の効率的な生産方法・微生物を培養することによる抗生物質の製法・合金を一体成形することによる眼鏡枠の製法等 | ||||||
先願主義(法39条) | 客観的基準 | 先願及び後願の特許請求の範囲に記載された発明に基づいて発明の同一性が判断される。 | ||||
時間的基準 | 異日出願 | 再先の特許出願人のみが特許権を取得できる。(法39@) | ||||
同日出願 | 協議により定めた一の出願人のみが特許権を取得できる。(法39A) 協議が合意に至らない場合や、一方の出願人の行方が知れないなどの理由で協議ができない場合は、いずれの出願人も特許権を取得できない。(法39C) |
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先願範囲の拡大(法29条の2) | ||||||
存続期間 | 原則 | 設定の登録により発生し(法66@)、特許出願の日から20年をもって終了する。(法67@) | ||||
延長(法67A) | 農薬取締法に基づく登録および薬事法に基づく承認(施行令3条)を受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができなかった期間ぼ存在が必要。。 | |||||
特許権の存続期間の延長登録の出願が必要であり、出願により存続期間は延長されたものとみなされる。 | ||||||
国内優先権制度 | 規定 | 第41条(特許出願等に基づく優先権主張) 特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権又は登録した仮通常実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、これらの者の承諾を得ている場合に限る。 一 その特許出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合 二 先の出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第十一条第一項において準用するこの法律第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合 三 先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合 四 先の出願について、その特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合 五 先の出願について、その特許出願の際に、実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合 |
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内容 | 特許を受けようとする者は、その特許出願に係る発明について、その者が特許を受ける権利を有する特許出願であって先になされたもの(「先の出願」)の願書に添付した明細書、請求の範囲、図面(「明細書等」)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。(特許法41条) | |||||
利点 | 先の出願により基本的な発明の出願を行った後に、後になした改良発明を補充して包括的に特許出願することにより、技術開発の成果を遺漏なく特許権と保護することが可能となった。 優先権の主張を伴う後の特許出願にかかる発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付された明細書等に記載された発明について、その新規性、進歩性(29条)等の特許要件の判断の時期を先の出願の時にされたものとみなすことにより、先の出願の時にされたものとみなすことにより、先の出願後、優先権の主張を伴う後の出願の日までに生じた事由(他人の出願等)により特許性を失わないという取扱いがなされる。 |
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主張者 | 特許を受けようとする者であって先の出願の出願人である者。 | |||||
主張できない場合 | 後の特許出願が先の出願の日から1年以内にされたものでない場合(法41@(1)) | |||||
先の出願が分割もしくは変更出願である場合(同項(2)) | ||||||
先の出願が後の出願の際に放棄、取下げもしくは却下されている場合(同項(3)) | ||||||
先の出願について後の特許出願の際に査定または審決が確定している場合(同項(4)) | ||||||
先の出願について後の特許出願の際に実用新案権の設定登録がされている場合(同項(5)) | ||||||
訂正審判(法126条) | 特許権の設定登録後に特許権者が明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の訂正を請求する審判。 | |||||
審判請求人 | 特許権者 | |||||
審判請求の時期 | 特許権設定登録後であるが、特許権が消滅した場合においても認められる。(法126E) | |||||
訂正審判請求が認められない場合 @無効認容審決が確定した場合(法126E但書) A特許無効審判が特許庁に係属した時からその審決の確定まで(法126A) 但し、特許無効審判の審決(認容及び棄却審決を含む)に対する審決取消訴訟の提起日から90日以内であれば訂正審判請求が認められる。(法126A) |
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訂正要件 | @新規事項追加の禁止(法126B) | |||||
A訂正の目的 | (イ)特許請求の範囲の減縮(法126@但書1号) | |||||
(ロ)誤記、誤訳の訂正(法126@但書2号) | ||||||
(ハ)明瞭でない記載の釈明(法126@但書3号) | ||||||
B実施上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと。(法126C) | ||||||
C特許請求の範囲の減縮又は誤記、誤訳の訂正後の発明が独立して特許を受けることができるものであること(法126D) | ||||||
一部訂正否定説 | 「願書に添付した明細書又は図面の記載を複数箇所にわたって訂正することを求める訂正審判の請求において、右訂正が実用新案登録請求の範囲に実質的影響を及ぼすものである場合には、複数の訂正箇所の全部につき一体として訂正を許すか許さないかの審決をしなければならず、たとえ客観的には複数の訂正箇所のうちの一部が他の部分と技術的にみて一体不可分の関係になく、かつ、右の一部の訂正を許すことが請求人にとって実益のあるときであっても、その箇所についてのみ訂正を許す審決をすることはできない。」(最高裁(昭和55.5.1)) | |||||
均等論 | 規定 | 第70条(特許発明の技術的範囲) 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。 2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。 3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。 |
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考え方 | 特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる(法70条1項) ⇒特許請求の範囲の文言が最も重要。 |
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「特許請求の範囲」の存在理由は、第三者に対してその範囲を明確にするという公示機能⇒技術的範囲は特許請求の範囲の文言に限定すべき。 | ||||||
but @発明と言う無体の技術的思想を文言で現すこと自体が難しい。 A出願時にあらゆる侵害形態を想定して特許請求の範囲を記載することも困難であり、特に出願時に存在していなかった同効材への置換について記載することは不可能に近い場合も多い。 ⇒ 特許請求の範囲の厳格な文言解釈をすると、特許は容易に迂回されてしまうことが多くなり、特許取得へのインセンティブ、技術開発へのインセンティブが減少し、発明を公開させて社会の技術的範囲を高め、産業発展を目指すという特許法本来の目的(1条)に反する。 |
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技術的範囲の特許請求の範囲と同一の範囲とうことが特許法の原則であるが、その場合の同一とは、純技術的あるいは文言的意味での同一だけではなく、法的観点から同一とみることができる範囲まで拡張することは、法解釈上可能。 そのような法的意味における同一性を判断するための道具概念を「均等論」と呼び、その下位概念として、設計上の微差、均等物、材料変換、迂回方法、不完全利用等の語が用いられる。 |
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実施権 | 意味 | 特許権者以外の者が特許発明を業として実施できる権利。 法目的(1条)の達成手段である |
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種類 | ● | ●許諾による実施権 | ||||
(1)専用実施権 | ||||||
(2)通常実施権 @独占的通常実施権(特許権者自身の自己実施も認めない完全独占通常実施権と非完全独占通常実施権がある) A非独占的通常実施権 |
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● | ●許諾によらない実施権 | |||||
(1)法定実施権 @職務発明に関する使用者等の実施権(法35条) A先使用による通常実施権(法79条) B無効審判の請求登録前の実施による通常実施権(法80条) C意匠権の存続期間満了後の通常実施権(法81条、82条) |
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(2)裁定実施権 @自己の特許発明の実施をするための設定の裁定による通常実施権(法92条) A不実施の場合の設定の最低による通常実施権(法83条) B公共の利益のための設定の裁定による通常実施権(法93条) C自己の登録実用新案の実施をするための設定の裁定による通常実施権(新案22条) D登録意匠等が他人の特許権等を利用するものである場合における設定の裁定による通常実施権(意匠33条) |
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■専用実施権 | ■専用実施権 | |||||
設定された範囲内で特許発明を独占排他的に実施できる権利(法77条2項) 専用実施権を設定した場合、その設定範囲においては、特許権者であっても業として自己の特許発明を実施できない(法68条但書)。 |
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特許権者が自ら特許発明の実施を行わない場合に、高額な実施料を得られる点で、特許権の財産的活用を行うために有意義な手段。 | ||||||
規定 | 特許法 第68条(特許権の効力) 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。 |
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特許法 第77条(専用実施権) 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。 2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。 3 専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。 4 専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。 5 第七十三条の規定は、専用実施権に準用する。 |
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特許法 第98条(登録の効果) 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。 一 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限 二 専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限 三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限 2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。 |
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特許法 第73条(共有に係る特許権) 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。 2 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。 3 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない。 |
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性質 | 独占排他的効力を有する物権的権利。 | |||||
発生 | 特許権者と専用実施権の設定を行うとともに(法77@)、専用実施権の設定登録をした場合に発生(法98@(2))。 | |||||
設定者 | 特許権者(法77@) | |||||
共有⇒各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定することがでいない(法73B)。 ←共有持分の占有実施権者が誰であるかについては、共有者にとって重大な利害関係がある。 |
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登録 | 登録は、専用実施権の設定、移転等の効力要件。 but 専用実施権として未登録であっても、判例上、債権的な独占通常実施権としての効果が認められていた。 |
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登録は、特許庁に備える特許原簿についてなされる(法27条)。 | ||||||
相続や合併などの一般承継については、登録は効力要件ではない。 but 遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出る必要(法98A)。 |
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効力 | 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内(時間的制限、場所的制限、内容的制限など)において、業として特許発明を実施する権利を専有する。(法77A) | |||||
「設定行為で定めた範囲」とは、契約で定めた専用実施権の時期的、地域的、内容的範囲。 ・2007年1月から5年間 ・西日本のみの販売に専用実施権を設定 ・画像処理に関する医療機器の特許権について、超音波診断装置のみに用途を限定して専用実施権を設定 |
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正当理由、権原なく第三者が当該範囲内で業として特許発明を実施した場合は専用実施権の侵害となり(法77A)、特許権者でも業として当該範囲において特許発明を実施することはできない(法68但書) | ||||||
専用実施権者は、物権的権利であり、侵害者に対して差止請求(法100)や損害賠償請求(民法709)ができ、また、間接侵害(法101条)、損害額の推定等(法102)、過失の推定(法103条)、刑事罰(法196条)などの諸規定において、特許権者と同列に扱われている。 |
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特許権者は、その特許権について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求(法100)を行使できる。 ← @法100条1項の文言上、差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。 A実施料収入の確保という観点から、特許権の侵害を除去すべき現実的な利益がある。 B特許権の侵害を放置していると、専用実施権が何らかの理由により消滅し、特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性がある。 |
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処分等 | @実施の事業ととのにする場合、 A特許権者の承諾を得た場合、 B相続その他の一般承継の場合 に限り、移転することができる。(法77B) |
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特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、また他人に津城実施権を承諾することができる(法77条4項)。 | ||||||
その他 | 特許権者は、専用実施権があるときは、その承諾を得た場合にかぎり、その特許権を放棄することができる(法97@)。 | |||||
専用実施権者は、質権者または専用実施権い関する通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる(法97A)。 | ||||||
特許無効審判の請求があったときは、当該特許権についての専用実施権者にその旨が通知される(法123C)。 | ||||||
■許諾による通常実施権 | ■許諾による通常実施権 | |||||
設定された範囲内で特許発明を実施できる権利(法78A) | ||||||
規定 | 特許法 第78条(通常実施権) 特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。 2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。 |
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特許法 第77条(専用実施権) 4 専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。 5 第七十三条の規定は、専用実施権に準用する。 |
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特許法 第73条(共有に係る特許権) 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。 2 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。 3 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない。 |
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特許法 第94条(通常実施権の移転等) 通常実施権は、第八十三条第二項、第九十二条第三項若しくは第四項若しくは前条第二項、実用新案法第二十二条第三項又は意匠法第三十三条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。 2 通常実施権者は、第八十三条第二項、第九十二条第三項若しくは第四項若しくは前条第二項、実用新案法第二十二条第三項又は意匠法第三十三条第三項の裁定による通常実施権を除き、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。 3 第八十三条第二項又は前条第二項の裁定による通常実施権は、実施の事業とともにする場合に限り、移転することができる。 4 第九十二条第三項、実用新案法第二十二条第三項又は意匠法第三十三条第三項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。 5 第九十二条第四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権に従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が消滅したときは消滅する。 6 第七十三条第一項の規定は、通常実施権に準用する。 |
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特許法 第99条(通常実施権の対抗力) 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。 |
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性質 | 独占排他的効力を有さず、特許権者に対して、特許発明の実施に対する権利不行使を要求できるにとまる債権的権利 | |||||
設定者 | 特許権者、専用実施権者(法78、77C) | |||||
専用実施権者が通常実施権を設定する場合は、特許権者の承諾を要する(法77C)。 | ||||||
特許権や専用実施権が共有⇒各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権、専用実施権について通常実施権を許諾することができない(法73B、法77D)。 | ||||||
登録 | 通常実施権の場合の登録は効力要件ではない。 登録するかどうかは、ライセンス契約で定められる。 設定登録をする旨の約定が存しない限り、実施権者は、特許権者に対し、設定登録手続を請求することはできない(最高裁昭和48.4.20)。 |
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登録⇒ その発生後に特許権もしくは専用実施権のまたあhその特許権についての専用実施権をその後に取得したものについても、その効力を生ずる(法99@)。 |
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通常実施権の移転、変更、消滅もしくは処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない(法99B)。 | ||||||
効力 | 特許権者と通常実施権の許諾契約を締結することにより発生する。(法78@) 専用実施権者も通常実施権を許諾できるため、専用実施権者と通常実施権の許諾契約を締結することによっても発生する。(法77C) |
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特許権の規定によりまたは設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明を実施する権利を有する(法78A)。 | ||||||
範囲や再実施権の有無などは、ライセンス契約で決められる。 | ||||||
独占的実施権を設定するという合意がない場合は、特許権者・専用実施権者は、他の者に重畳的に通常実施権を設定することもできる。 | ||||||
ライセンス契約に特別の規定がない場合には、特許権者・専用実施権者の実施権は奪われない。 | ||||||
通常実施権は、債権的権利(実施許諾者に対する、差止・損害賠償請求の不作為請求権)であって、第三者による特許権侵害行為が行われても、実施許諾者に対し侵害排除を請求する権利はないし、通常実施権者自身も、侵害行為に対する差止請求権を有しない。 | ||||||
損害賠償請求権については、独占的通常実施権の場合はこれを認めるのが判例であり、その場合には特許法103条(過失の推定)や損害額の推定規定も適用される。 | ||||||
処分等 | 許諾による通常実施権は、 @実施の事業とともにする場合、 A特許権者(専用実施権についての通常実施権の場合は、特許権者および専用実施権者)の承諾を得た場合 B相続その他の一般承継の場合 に限り、移転することができる(特許法94@)。 |
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許諾による通常実施権者は、特許権者(専用実施権についての通常実施権の場合は、特許権者および専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる(法94A)。 | ||||||
その他 | 特許権・専用実施権を放棄する場合は、通常実施権者の承諾を要する(法97)。 | |||||
通常実施権が登録されていれば、無効審判が請求されたときに、審判庁からその旨が通知される(法123C)。 | ||||||
法定実施権 | 特許権者の意思とは無関係に、法律上の要件を具備することにより成立する通常実施権。(法79〜82条) | |||||
裁定実施権 | 経済産業大臣又は特許庁長官の裁定により強制的に設定される通常実施権。 実施促進、及び公益担保の観点から規定される。 |
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秘密保持命令等 | 制度 | 特許権侵害訴訟の当事者は、自ら保有する営業秘密(不正競争防止法2条4項)が、自らの提出する準備書面に記載され、または証拠(105条3項または105条の7第4項の規定により開示された書類を含む)の内容に含まれること、およびその営業秘密が訴訟追行の目的外の目的で使用されまたは開示されることにより、当該営業秘密に基づく営業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用または開示を制限する必要があることを疎明して、当事者等、訴訟代理人または補佐人に対し秘密保持命令を発することを、裁判所に対し申し立てることができる。(法105条の4第1項) | ||||
違反については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(法200条の2) | ||||||
秘密保持命令の要件を欠く場合には、秘密保持命令の取消を求めることができ、秘密保持命令の取消しが確定すると秘密保持命令は効力を失いう。(法105条の5) | ||||||
秘密保持命令が発せられた訴訟について、秘密保持のため閲覧制限の決定があった場合には、訴訟記録の閲覧請求について、秘密保持命令を受けていない者に対しては、秘密記載部分の閲覧をさせてはならない。(法105条の6) | ||||||
当事者等の陳述によって、営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生じることが明らかである時は、尋問を公開しないことができる。(法105条の7) | ||||||
損害論 | 規定 | 特許法 第102条(損害の額の推定等) 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。 2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。 3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。 4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。 |
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102条1項 | 「侵害者の譲渡数量」に「権利者の製品の単位数量当たりの利益額」を乗じた額を、実施能力に応じた額の限度において、損害額とするもの。 ← 特許権はその技術を独占的に実施する権利であり、その技術を使った製品は特許権者しか販売できないから、特許権者の実施能力の限度では新会社の譲渡数量と権利者の喪失した販売数量が一致する。 |
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102条2項 | 法律上の事実推定を定めるもの。 ⇒侵害者の利益の額が立証されても、侵害者は推定を覆滅させる事実の立証をすることが可能。 |
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102条3項 | 特許権侵害の際に特許権者が請求し得る最低限度の損害額を法定。 |