シンプラル法律事務所
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特別清算についての論点整理です(随時増やしていく予定です。)
概要 | 清算中の株式会社について、@清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があるか、A債務超過の疑いがある場合に、裁判所の監督の下で行われる清算手続。 | |
法的清算手続という点では破産手続と共通。 but 原則として、 @破産管財人といった第三者が選任されることなく、従来の清算人が手続を進める点、 A債権者の同意が必要となる点 B否認の制度がない点 などで相違。 |
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特別清算手続の適正な運用⇒債権者の利益保護の観点から、否認対象行為の有無など会社法514条各号、569条2項各号該当性について慎重に検討。 | ||
@協定型:会社法563条以下に規定する協定によるもの A和解型:全債権者との和解によるもの(明文規定はないが、協定が集団的和解と考えられることから、適法とされている。) 和解型は、債権者数が少ない場合に利用されることが多く、手続も簡易。 大口債権者が親会社のみである場合において、親会社が税金対策上、経営不振の子会社の清算に際し、小口債権者に対しては全額弁済を認めつつ、自らはこ子会社に対する債権放棄等により損金を計上する手段として利用されることが多い。 |
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会社法に定める株式会社の清算手続(法475条以下)の特別手続として位置づけられる。 ⇒まず株主総会で解散決議(法471条3号、309条2項11号)を行う必要。 |
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利用 | @簡易な清算型の倒産手続としての利用 | |
A親会社が子会社を清算する場合に、課税上の利益(債権免除の損金算入)を得るために利用(対税型) | ||
規定 | 会社法第2編第9章第2節(510条以下) 訴訟に関する規定(会社法857条、858条) 非訟に関する規定(会社法879条以下) 会社法の委任(876条)に基づき、会社非訟事件等手続規則に規定。 |
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申立・開始決定 | 申立人 | 債権者、清算人、監査役及び株主(法511条1項) |
清算人は、債務超過の疑いがある場合には、申立義務を負う。(同条2項) | ||
債権者や株主が特別清算開始の申立をするときは、その開始原因を疎明する必要。(法888条1項) 債権者が申立てる場合、自己の債権の存在も疎明。(同条2項) 手続費用の予納(同条3項) |
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管轄裁判所 | 原則として、 会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所。(法868条1項) 親子会社の場合や連結親子会社の場合の特例により、関連会社の特別清算事件を円滑に進められるようにしている。(法879条) |
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保全措置 | 会社財産の処分禁止仮処分等の保全処分。(法540条2項) | |
取締役等の責任に基づく損害賠償請求権に係る取締役等の財産に対する保全処分。(法542条) | ||
強制執行等の中止命令や破産手続の中止命令。(法512条) 破産手続の中止命令は破産手続開始前の場合に限られ、強制執行等の中止は手続申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限られる。 |
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開始原因(法510条) | @清算の追行に著しい支障をきたすべき事情のあること、又は A債務超過の疑いがあること |
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@開始原因の証明がない場合、 A特別清算による清算結了の見込みがないことが明らかである場合、 B特別清算によることが債権者一般の利益に反することが明らかである場合 などは、申立を棄却。(法514条) Bの例:破産手続によれば否認権の行使などにより特別清算の協定による弁済よりも債権者に対する配当が多くなると見込まれる場合。 |
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効力 | 全ての一般債権者は手続に参加することが強制され、手続中で平等な弁済を受ける。 | |
個別 | 債権者側からの強制的な権利実行である個別執行は禁止・中止(法515条1項) | |
債権者は公告・催告に従い債権申出の手続に従って、特別清算手続きに参加。(法499条) | ||
債権者に対する弁済は、弁済禁止の保全処分がない限り許されるが、債権申出期間内の弁済は、原則としてできない。(法500条1項) 例外的に、裁判所の許可に基づく少額債権等のの弁済の手続あり。(同条2項 |
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一般債権に対する弁済がなされる場合には、弁済は債権額に応じて平等にされる必要がある。(法537条1項) | ||
特別清算のために生じた債権、特別清算手続の費用の請求権、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権は手続の効力を受けることはない。 (破産などでは財団債権に当たる手続費用や優先債権は手続の外に出してて、優先債権者の実体的地位を保護するとともに、決議の組分け等を不要にして、手続を簡略化。) |
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否認権など倒産実体法による特則は認められていない。 (否認が必要な場合は、破産手続によるべき。) |
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相殺禁止の規定のみ存在。(法517条、518条) ← 清算会社に対する債務者が清算債権を買い集めて相殺するようなことを認めると、倒産手続として成り立たないl。 |
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担保権について、原則として実行は自由。 担保権実行手続の中止命令が認められている。(法516条) ← 清算型の手続なので、原則的に担保権者の換価に委ねておけば足りるが、事業譲渡・任意売却等によって特に余剰価値の実現が期待できるような場合には、個別担保の実行を中止して清算人による換価の余地を認めた。 |
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特別清算開始の命令があれば、破産手続開始申立てや強制執行等は禁止され、すでに行われている手続も中止される。(法515条1項) 開始命令が確定すると、中止していた手続は失効する。(同条2項) |
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裁判所は、清算の監督上必要があると認めるときは、処分禁止等の仮処分(法540条)、株主名簿の記載の禁止処分(法541条)、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の処分(法545条。異義訴訟につき、法858条)などすることができる。 債権者は清算人などは、査定処分等を申し立てる前提として、役員等の責任の免除の禁止を申し立てることができる。(法543条) 株主総会や取締役会が既にしていた責任の免除(法424条、425条)について、それが清算開始申立てから1根にないのものであれば無条件に、1年より前のものであればそれが不正の目的によるものである場合には、訴えまたは抗弁により、その免除を取り消して、なお責任を追及することが認められる。(法544条) |
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機関 | 清算人 | 清算手続における会社の機関である清算人(法477条1項)が一定の義務を課された上で、特別清算手続き上の職務を遂行する。 |
債権者、会社および株主に対する公平誠実義務を負う。(法523条) | ||
清算事務の不適切な遂行などの事由があるときは、裁判所により解任され(法524条、893条)、裁判所の監督(法519条)を受ける。 裁判所は、清算人に、清算事務および財産状況の報告を命じることができ(法520条)、清算人が財産の処分・借財等の行為をするときは、裁判所の許可が必要。(法535条1項) 裁判所は監督委員を選任し(法527条)、そのような許可に代えて、監督委員の同意を得なければならない旨の監督命令を発することができる。(法535条1項但書) 事業譲渡については、必ず裁判所の許可が必要(法536条1項)だが、許可を受ければ株主総会の承認は必要ない。(同条3項) 事業譲渡の許可に際しては、破産と同様に、債権者の意見聴取は必要ない(労働組合の意見聴取は必要。(法896条2項))、清算人が予め債権者の意見を聴取し、裁判所に内容を報告する必要。(同条1項) |
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調査委員 | 裁判所は、特別清算の開始に至った事情、会社の業務・財産の状況、保全処分の必要性、取締役等に対する査定処分の必要性など特別生産に必要な事項を調査するために、調査委員を選任できる。(法522条) | |
調査委員は、調査をするために、会社の清算人・元取締役等から報告を徴収することができ、また会社の帳簿等を検査することがdけいる。(法534条、530条j) | ||
債権者集会 | 業務財産状況の報告のための債権者集会は、財産状況等の調査結果や財産目録、清算人の生産実行方針などを別個の方法で債権者に周知させることが適当であると認められるときには、招集しないことが可能。(法562条) | |
協定案の決議のための集会については、書面等決議は認められておらず、必ず集会を開始する必要がある。(法554条) 債権者は書面等投票によって集会に参加することができる。(法556条、557条) |
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債権者集会は、清算会社により招集されるのが原則(法546条2項)だが、協定総額の10分の1以上の債権額をゆする債権者の請求があったときは、集会を招集する必要がある。(法547条) | ||
協定 | 特色 | 債権者に対する弁済が、破産配当とは異なり、債権者集会の決議および裁判所の認可を経た協定によって行われる。 ⇒事案に応じた柔軟な換価・分配が可能となり、破産と比較した特別清算の大きなメリット。 |
清算会社は、債権者集会に対して、協定の申出をすることができる。(法563条) 協定条件は債権者平等を原則とするが、少額債権など債権者間に差を設けても衡平を害しない場合には、別段の定めが認められ(法565条)、実質的平等の原則がとられる。 担保権者や一般優先債権者にも協定への参加を求めることができる。(法566条) |
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可決要件と効力 | 協定の可決には、出席議決権者の過半数(頭数要件)と総債権額の3分の2以上(債権額要件)の債権者の同意が必要。(法567条) | |
裁判所の認可決定の確定により発行し(法570条)、全ての協定債権者を拘束。(法571条) | ||
協定の不認可事由としては、@特別清算の手続・協定が法律に違反すること、A協定が遂行される見込みがないこと、B協定が不正の方法によって成立したこと、C協定が債権者の一般の利益に反することがあげられる。(法569条2項) Cは、清算価値保障原則を表したもので、否認等によって破産手続によるほうが債権者の配当額が多くなるような場合には協定を不認可とする。 |
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その後 | 協定が遂行され、特別清算が結了したときは、裁判所は特別清算終結の決定をする。(法573条) | |
協定の見込みがない場合、協定の実行のみこみがない場合、さらに特別清算によることが債権者一般の利益に反する場合において、裁判所は、会社に破産手続開始原因があると認めるときは、職権で破産手続開始の決定をする。(法574条1項) 協定が否決された場合はや協定不認可の決定が確定した場合も、裁判所は裁量によっ破産手続会社の決定をする。(同条2項) |
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破産手続が開始されると、特別清算の手続は終了する。 牽連破産手続では、特別清算手続に関する費用等の請求権は財団債権となる。(法574条4項) |