シンプラル法律事務所
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新注釈民法

新注釈民法1
★総説
☆要件事実総論 
  ◆T 要件事実の定義 
     
  ◆U 証明責任とその分配基準(p51)
  ◇1 要件事実と証明責任(立証えs機人) 
     
  ◇2 証明責任の分配に関する学説 
     
  ◇3 修正法律要件分類説の特徴等 
     
  ◆V 主張責任の分配基準 
     
  ◆W 主張責任についての具体的な考え方 
     
  ◆X 主張責任の分配の在り方 
     
  ◆Y 要件事実論の特徴・・・攻撃防御方法としての要件事実の在り方 
     
☆規範的要件  
     
     
★第2編 総則  
☆第1章 通則  
第1条 基本原則(p107)  
     
     
     
B 信義誠実の原則(p131)  
  ◆T はじめに
  ◆U 信義誠実の原則の展開
     
     
  ◆V 信義誠実の原則をめぐる議論動向 
  ◇1 はhじめに 
     
  ◇2 制定法と一般条項・・・機能的分類論 
     
    信義誠実の原則の機能
    第1:裁判官が制定法によって予定されている枠を超えることなく、法の具体化を図るというもの。
〜職務的機能・法具体化機能

創造的な役割を果たしておらず、制定法を補充する役割を果たしているにすぎない。
    第2:裁判官が信義誠実の原則を通じて制定法の外にある倫理的な命題を持ち込み、正義・衡平の実現を図るというもの。
〜衡平的機能・正義衡平的機能 
    第3:制定法が予定している問題に関して、社会の進展に伴って既存の法の枠組みでは妥当な解決が得られない場合に、裁判官が制定法を修正していく。

社会的機能・法修正的機能。
ex.不動産賃貸借に関する信頼関係破壊法理。
    第4:裁判官がそれぞれの時代の問題に対応すべく、制定法の予定していない法理を信義誠実の原則を通じて想像していくという機能。

権能授権機能・法創造的機能 
ex.事情変更の原則
    第3、第4:裁判官が制定法に反する法形成を行う⇒安易に認められるべきではなく、認められる場面を慎重に画する必要がある。
     
  3 現代契約法と一般条項・・・関係的契約理論(p140) 
     
    内田:1960年代以降、当事者に課せられる「契約責任の拡大」を認めるために同原則を援用するものが多数: 
    (1)契約締結交渉を不当に破棄⇒賠償責任を肯定
(2)契約の締結に際して正確で十分な情報を提供したり助言したりする義務
(3)契約条件を事後的に改訂するために再交渉義務を肯定
(4)相手方の損害の発生・拡大を防ぐための作為義務を課す
(5)契約の更新拒絶や解約・解除に祭祀て、正当な理由なしに契約関係を解消することを認めない
(6)金銭の支払が問題となる事例において、当事者の利害を調整する中間的解決を与える
   
契約当事者に課せられる義務の根拠を、契約当事者の意思ではなく、当事者が形成した「関係」に求めようとする「関係的契約理論」の一環。
     
  ◇4 国家の介入と一般条項・・・「法化」論 
     
     
     
  ◇5 裁判例の整理・分類の視角
     
  ◆W 信義誠実の原則に関する裁判例@:
正義・倫理的要請による制定法の調整・修正(p144)
  ◇1 本類型の意義 
    第1の類型:
制定法を形式的に適用した場合にもたらされる帰結が望ましくないと考えられる場面において、当該帰結を制定法とは異なる正義・倫理的要請に従って調整・修正するために信義誠実の原則が援用されることがある。
〜機能的分類論において衡平的機能と呼ばれてきたものに基本的に対応し、信義誠実の原則の主要な適応領域。
     
  ◇2 矛盾行為禁止の原則(禁反言) 
  制定法によるとある者の主張が認められるはずのところ、その者の先行行為と矛盾することを理由として当該主張が認められないことがある。

先行行為と矛盾する行為をとる事由を保障する必要性と、
先行行為を信頼するなどした相手方の保護の要請
をどのように調整するかが問題。
  ■(1) 無権代理行為の効力の否定 
     
  ■(2) 消滅時効の援用 
     
    最高裁:
約束手形の裏書人の償還義務に関して、
裏書人が手形所持人に対して再三にわたり振出人の債務とは別の自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を示し、所持人に買う実にその履行がされるとの期待を抱かせ、後の手形金請求訴訟においても引き延ばしと見られる抗争をすることによって審理に長時間を費やさせるという事情があった事案:
振出人の手形金支払義務の時効消滅に乗じて裏書人が自らの償還義務の履行を免れようとすることは著しく信義誠実の原則に反し許されない。
     
  ■(3) 法律関係の不存在・無効の主張(p147)
     
  □(ウ) 
    最高裁:
株式会社の代表取締役の一人が共同代表の定めに反する形で会社の不動産を売却した事案において、
本件会社は当該取締役の財産の保全・運用のために設立されたものであり、もっぱら同取締役によって業務が運営されており共同代表の定めは有名無実であったものであり、同取締役が他の取締役の合意があると信じさせるような行動をとったという事実関係の下では、
相手方が他の取締役の合意があると信じたとしてもやむをえない

会社は「共同代表の定めに反していることを奇貨として右契約の無効を主張しているものというべきであって、右のような主張は、信義則に反し、とうてい許されないものといわなければならない。
     
     
  ■(4) 期限の利益の喪失の主張 
     
    最高裁:
貸金業者の担当者・・・・
期限の利益の喪失を主張するこおとは、誤信を招くような貸金業者の対応のために、期限の利益を喪失いしていないものと信じて支払を継続してきた借主の信頼を裏切るものであり、信義誠実の原則に反し許されない。
     
     
  ■(5) 限定承認をした相続人による受贈者としての権利主張 
     
  ■(6) 賃貸借の合意解除の対抗 
     
  ◇3 クリーンハンズの原則 
    法律または契約に基づく義務に違反する行為によって権利・法的地位を取得した者が当該権利・法的地位を主張すること、あるいは、他人が権利・法的地位を取得することを妨げた者が当該権利・法的地位の不存在を主張することは認められない。 
     
     
     
  ◇4 形式的・外形的な権利の主張 
  ◇5 権利失効の原則 
     
     
     
  ◆X 信義誠実の原則に関する裁判例A:
契約プロセスにおける当事者の義務
     
  ◆Y 信義誠実の原則に関する裁判例B:
裁判所における政策的目的の実現
   
     
     
☆第2章 人  
     
     
     
     



新注釈民法6
★第2編 物権
 
第7章 留置権 
     
295条 留置権の内容(p44)  
    民法 第二九五条(留置権の内容)
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
  ◆T 本条の趣旨 
  ◆U 成立要件 
     
     
     
     
  ◇(5) 占有 
  ◇(6) 不法行為によらない占有 
    本条2項は、留置権が成立しない要件として「占有が不法行為によって始まった場合」と規定

不法行為によって占有を取得した者も留置権によって保護すべき必要はなく、この場合に留置権の成立を認めるのは公平に反する。
  ■(ア) 占有開始時における「不法行為」の意義
    占有の開始にあたって不法行為が用いられた場合に留置権が成立しないことは明らか。
    占有権原がない場合に、本条2項によって留置権は成立しないことになるのか?
占有取得行為以外についても本条2項は拡張されるのか?
A:本条2項における「不法行為」を709条に規定する不法行為概念と同じものとする見解
⇒無権限である場合に、そのことについて善意無過失であるときは、むしろ留置権の成立を認めて保護を与えるべき。
B:本条2項の「不法行為」は無権限であることを知りながら占有を開始した場合にも適用がある。

295条2項の解釈において、709条における不法行為の概念に引きずられるべきではなく、占有の形態を問題にすべきであって、196条の趣旨をも考慮すべき⇒善意占有と悪意占有を区別しようとする。
民法 民法 第一九六条(占有者による費用の償還請求)
占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
C:占有開始時における権原の有無に加えて、必要費や有益費を念頭にその出費時点での権原の有無と占有の態様とを組み合わせて、検討を加え、占有開始時点で権原がなく、かつ、出費時点で無権限であることに悪意であった場合にのみ、295条2項の適用があるとする立場。
D:占有の態様によって保護の程度が変わるべきであるとの見解。
E:故意不法行為に限定する剣かい
←占有が単なる過失不法行為によって開始された場合に、留置権の成立を認めないのは妥当性に欠ける。
   
  ■(イ) 権原喪失型への本条2項の類推適用 
    当初の占有開始の時点では、占有権原を占有者が有していたが、後になって、占有権原を失った場合、留置権は成立するか?
196条は、必要費については善意悪意を問わずにその償還請求を承認しており、また悪意の場合であっても償還が認められないわけではなく、債務者である占有の回復を求める者からの請求により裁判所による期限の許与が与えられることになっているにすぎない。
⇒295条2項をこの場合に類推適用することは、留置権による保護をまったく与えないことを意味するので、両社の間に体型的な矛盾が生じる。
A:権原喪失型について、196条を適用し、295条2項の適用を排除する見解。

本条2項の「不法行為」概念を709条のそれから切り離した上で、196条の趣旨を考慮して、善意占有と悪意占有を区別し、
権原喪失の場合で、悪意になったときは、期限許与により留置権を失うが、善意のときは、過失がある場合も含めて、留置権が行使できる。
B:196条は、留置権の成立とは無関係に、悪意占有の場合に期限許与を裁判所が決定することを定めた規定であって、留置権の成否については295条2項が類推適用されるとの見解。
C:賃借人の債務不履行による契約解除などの不信行為がある場合にのみ類推適用を限定する見解。
D:権原喪失型の場合でも、占有が故意の不法行為で開始された場合に匹敵する不法性がある場合に295条2項が類推適用されるとする見解。
     
  ■(ウ) 裁判例の状況
  「占有取得時における不法行為」
  「権原喪失型」 
建物賃貸借において、蹴薬解除後に賃借人が支出した建物修繕費用を被担保債権とする留置権の主張に対して、権限のないことを知りながらされた他人の物の占有を不法な占有として、本条2項の類推適用により、留置権の成立を否定(大判大10.12.23)
売買契約の合意解除の場合における買主の費用支出に関して、同様に、「権原のないことを知りながら不法にこれを占有中に支出した」⇒本条2項の類推適用によって留置権の主張が否定。(最高裁昭和41.3.3)
解除後の有益費の支出についても、「権原のないことを知りながらこれを不法に占有」していた場合に本条2項が類推適用。(最高裁昭和46.7.16)
権原のないことを知っている場合に該当しない事件:
最高裁昭和51.6.17:
自作農創設特別措置法による買収が、その根拠である買収計画の取消しによって遡及的に無効とされた場合において、買主が有益費を支出した当時、買収・売渡しが無効に帰す可能性を疑わなかったことに過失あり⇒本条2項が類推適用される

本条2項の類推適用を拡大したもの。
     
  ■(エ) 不法行為の相手方 
  ■(オ) 証明責任 
    本条2項による不法行為による占有でないことの証明責任:
@占有についての推定規定(186条1項)の存在
A本条2項が本条1項の例外規定

物の返還を請求する側にある。
   
  ◇(8) 具体的な問題