シンプラル法律事務所
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★ | ★第1 はじめに | |
◆ | ◆1 養育費、婚姻費用の算定の実務の原状 | |
生活保持義務(=自己と同程度の生活を保障) | ||
養育費: 子が義務者と同居していると仮定すれば、子のために費消していたはずの生活費がいくらであるかを計算して算定。 |
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@総収入ー認定した公租公課等の経費的なもの=義務者と権利者の基礎収入 A義務者、権利者、子の最低生活費を認定 B子に充てられるべき生活費を認定 C義務者、生活費の分担能力を認定 D子の生活費を義務者、権利者双方の基礎収入の割合で按分 |
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婚姻費用: @Aのとおり認定、 E権利者世帯に充てられるべき生活費を認定 F権利者世帯の基礎収入の不足分を義務者世帯に負担させる |
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◆ | ◆2 標準算定方式・算定表の検証の必要性 | |
★ | ★第2 標準算定方式・算定表についての具体的な検証 | |
◆ | ◆1 算定方法の基本的な枠組み | |
◇ | ◇(1) はじめに | |
◇ | ◇(2) 標準算定方式・算定表における養育費等の算定方式の基本的な枠組み | |
■ | ■ア 養育費等の意義 | |
■ | ■イ 標準算定方式・算定表の提案以前の家裁実務における養育費等の算定方法 | |
■ | ■ウ 標準算定方式・算定表における算定方法(p13) | |
● | 標準算定方式・算定表における養育費の算定方法・・三段階の計算式 | |
@義務者・権利者の基礎収入を認定: 基礎収入= 総収入×0.34〜0.42(給与所得者) 総収入×0.47〜0.52(自営業者) いずれも高額所得者の方が割合が小さい |
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A子の生活費を認定: 子の生活費= 義務者の基礎収入×55or90/100+55or90 |
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B権利者と義務者に按分 子の生活費×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入) |
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例外的に、権利者の方が高収入である場合、子が権利者と同居している場合には、子が権利者と同居している場合の子の生活費を基準とすべき。 but この場合、権利者の収入が高くなればなるほど、義務者の養育費分担義務が増加していることになって、義務者にとって極めて酷な場合が生じてしまう ⇒権利者の方が高収入である場合については、権利者の収入額が義務者の収入額と同一の場合に義務者が支払うべき費用を養育費の限度額とした。 |
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● | 標準算定方式による婚姻費用分担金の算定: | |
義務者・権利者が別居し、権利者が15歳未満の子2人と同居し、義務者が単身で生活しており、義務者の基礎収入(X)の方が権利者の基礎収入(Y)よりも大きい場合: @権利者世帯に割り振られる婚姻費用(Z) =(X+Y)×(100+50+50)/(100+100+55+55) A義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額=ZーY |
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■ | ■エ 本研究における養育費等の算定方法及び具体的な検証課題 | |
◆ | ◆2 基礎収入 | |
◇ | ◇(1) 給与所得者 | |
■ | ■ア 標準算定方式・算定表における基礎収入の認定 | |
標準算定方式・算定表: 公租公課:理論的に算出された標準的な割合(12〜31%) 職業費:事務津城それに当たることが広く認められている項目について、統計上の数値を基に推計した総収入に占める割合(20〜19%) 特別経費:実務上一般的に特別経費と認められている項目に限り、統計資料に基づいて推計された標準的な割合(26〜16%) を算出。 この標準的な基礎収入率を総収入に乗じて、基礎収入を認定。 総収入:給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」又は課税証明書の「給与の収入金額」により認定することが多い。 |
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■ | ■イ 公租公課 | |
□ | □(ア) 公租公課の範囲及び標準算定方式・算定表における扱い | |
□ | □(イ) 本研究における基本的な考え方 | |
公租公課について、実額ではなく理論値で算出。 | ||
□ | □(ウ) 本研究における結論 | |
平成30年7月時点のものを使用し、 租税については、所得税及び住民税のほか、復興等特別税を加算し、 社会保険料については、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料及び雇用保険料を加算 ⇒ 総収入に占める公租公課の割合は、おおむね8〜35%(高額所得者の方が割合が大きい)となる。 |
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※ | 総収入に占める公租公課の割合: | |
1 所得税: 総収入から、給与所得控除(所得税法28条)と所得控除として社会保険料(健康保険料【介護保険料を含む】、厚生年金保険料、雇用保険料)控除(同法74条)及び基礎控除38万円(同法86条)を行った上で、所得税率(5%〜45%)を乗じる。 復興等特別所得税の税率は2.1% 所得税={(総収入ー給与所得控除)ー所得控除}×所得税率 |
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(1) 健康保険料(介護保険料を含む): 健康保険料=標準報酬月額(≒総収入)×11.59%×0.5 |
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(2) 厚生年金保険料: 厚生年金保険料=標準報酬月額(≒総収入)×18.3%×0.5 |
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(3) 雇用保険料: 雇用保険料=賃金額(≒総収入)×0.3% |
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2 住民税(都道府県民税、市町村税): 住民税={(総収入ー給与所得控除)ー所得控除}×10% |
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3 計算結果: おおむね8%〜35%(高額所得者の方が割合が大きい) |
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■ | ■ウ 職業費(p22) | |
□ | □(ア) 職業費の意義及び標準算定方式・算定表における扱い | |
職業費:給与所得者として就労するために必要な経費 | ||
□ | □(イ) 本研究における基本的な考え方 | |
所得税法上、給与所得者の特定支出の控除の特例(同法57条の2、「特定支出控除」)が規定されており、 一定の要件の下、 @通勤費、 A転勤に伴う転居費、 B職務の遂行に直接必要な技術又は知識を得ることを目的とする研修費、 C資格取得費、 D単身赴任等の場合の帰宅旅費、 E書籍・定期刊行物(図書費)、制服・事務費(衣服日)及び交際費等 の勤務必要費を、 給与所得から控除することができるとする。 |
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□ | □(ウ) 本研究における結論(p27) | |
総収入に占める職業費の割合を推計すると、おおむね18%〜13%となる。 (高額所得者の方が割合が小さい。) |
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■ | ■エ 特別経費(p29) | |
□ | □(ア) 特別経費の意義及び標準算定方式・算定表における扱い | |
□ | □(イ) 本研究における基本的な考え方 | |
標準算定方式・算定表における算定方法と同様に、総収入から基礎収入を認定するに際し、 「住居関係費」 「保険医療」 「保険掛金」 の各費目を特別経費として控除。 |
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□ | □(ウ) 本研究における結論 | |
総収入に占める特別経費の割合は、おおむね20%〜14%となる。 (高額所得者の方が割合が小さい) |
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■ | ■オ 本研究における基礎収入割合 | |
総収入に占める公租公課の割合、職業費の割合及び特別経費の割合から基礎収入割合を算出すると、給与所得者の基礎収入割合は、おおむね54%〜38%となる。 (高額所得者の方が割合が小さい) |
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◇ | ◇(2) 自営業者 | |
■ | ■ア はじめに(総収入の認定) | |
確定申告書の「課税される所得金額」に基づいて認定。 but 税法上控除されているものの現実には支出されていない費用が含まれている ⇒これを加算して総収入を認定。 |
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「所得から差し引かれる金額」のうち @「雑損控除」 A「寡婦、寡夫控除」 B「勤労学生、障害者控除」 C「配偶者控除」 D「配偶者特別控除」 E「扶養控除」 F「基礎控除」 〜 税法上の控除項目であり、現実に支出されていない⇒「課税される所得金額」に加算する必要。 |
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「青色申告特別控除額」も加算。 現実に支出されていない場合には、「専従者給与額の合計額」も加算。 「医療費控除」、「生命保険料控除」及び「損害保険料控除」 については、標準的な額については特別経費として既に考慮されている ⇒加算する必要。 「小規模企業共済等掛金控除」 「寄附金控除」 〜 性質上、養育費や婚姻費用の支出に優先されるものではない ⇒加算するのが相当。 |
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■ | ■イ 標準算定方式・算定表における基礎収入の認定 | |
自営業者の基礎収入: 前記アの手順で算出された総収入から、所得税、住民税及び特別経費を控除した金額。 |
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社会保険料及び職業費が控除されていない ← 「課税される所得金額」においては、既に給与所得者の職業費bに相当する費用及び社会保険料が控除されている。 |
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標準算定方式・算定表: @給与所得者と自営業者の基礎収入が同一⇒負担すべき養育費等も同一 A給与所得者と自営業者の基礎収入が同一⇒生活水準も同程度⇒支出される特別経費も同一 ⇒ 給与所得者の総収入から基礎収入が一致する自営業者の総収入を算定した上で、標準算定表に併記。 |
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給与所得者の総収入Aに対応する自営業者の総収入a = 給与所得者総収入Aから導かれる給与所得者の基礎収入 +自営業者の総収入aに課される所得税 +自営業者の総収入aに課される住民税 +給与所得者の総収入Aに対応する給与所得者の特別経費 |
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■ | ■ウ 本研究における基礎収入の認定 | |
基礎収入が同一となる給与所得者の総収入と自営業者の総収入の対応関係を求め、自営業者の総収入に対する所得税及び住民税の割合、特別経費の割合を求める。 | ||
◆ | ◆3 生活費指数 | |
◇ | ◇(1) 標準算定方式・算定表における生活費指数の算出の基本的な枠組み | |
◇ | ◇(2) 子の年齢区分の定め方 | |
■ | ■ア 標準算定方式・算定表における扱い | |
標準算定方式・算定表: 子の年齢区分を @0歳から14歳 A15歳から19歳 の2区分 ← 公立中学校と公立高等学校とで学校教育費の額に差があるから、高等学校に進学する頃である15歳を規準として2区分とした。 |
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■ | ■イ 本研究における基本的な考え方及び結論 | |
◇ | ◇(3) 生活保護基準の用い方の詳細(関連して、生活区分を考慮するか。) | |
■ | ■ア 標準算定方式・算定表における扱い | |
● | 生活扶助基準のうち基準生活費: 衣食等の日常的な消費生活のために必要な経常的な費用の1か月当たりの最低必要水準を定めたもので、 居宅の場合、主に第1類費と第2類費とから構成。 |
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居宅第1類費:飲食物費、被服費等、個人単位で消費する費用に相当するもので、年齢別に金額が定められている。 居宅第2類費:光熱費(電気・ガス・水道等)、家具什器購入費等、世帯全体として消費する費用に充当するもので、世帯構成人員別に金額が定められている。 基準生活費:対象世帯の構成人員各人の居宅第1類費の合計にその世帯の居宅第2類費を加算して決められる。 |
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● | 標準算定方式・算定表: 親を「100」とした場合の子に充てられるべき生活費の割合を、世帯人数にかかわらず、親1人世帯の基準生活費の額(居宅第1類費と居宅第2類費を加えたもの)に対する子のみの基準生活費の額(親1人、子1人世帯の基準生活費の額から親1人世帯の基準生活費の額を控除した残額)の割合から算出。 |
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■ | ■イ 本研究における基本的な考え方 | |
◇ | ◇(4) 本研究における結論 | |
■ | ■ア 最低生活費 | |
最低生活費については、標準算定方式・算定表と同様に、厚労省の生活扶助基準の基準生活費を用いるのが相当。 親については、居住第1類費の20歳〜59歳までの基準生活費の平均額 子については、 0歳から14歳までの基準生活費の平均額、 15際から19歳までの基準生活費 の平均額をそれぞれ採用。 親1人世帯の基準生活費の額(居宅第1類費に居宅第2類費を加えたもの)に対する 子のみの基準生活費の額(親1人子1人世帯の基準生活費の額から親1人世帯の基準生活費の額を控除した残額)の割合で求める。 |
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⇒ 親の指数を100とすると、 0歳から14歳までは51 15歳以上は60 |
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■ | ■イ 学校教育費(p43) | |
0歳から14歳まで:公立中学校の子がいる世帯の年間平均収入の基礎収入に対する公立中学校の学校教育費相当額 15歳以上:公立高等学校の子がいる世帯の年間平均収入に対する公立高等学校の学校教育費相当額 をそれぞれ考慮することにより、 子に充てられるべき生活費の割合を求める。 |
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子が高等学校就学支援金を受領している場合であっても、修正すべきではない。 ← 高等学校等就学支援金の趣旨は、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することにある。 |
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■ | ■ウ 算出結果 | |
考慮すべき平均的な学校教育費(年額): 0歳から14歳:13万1379円(公立中学校の学校教育費相当額) 15歳以上:25万9342円(公立高等学校の学校教育費相当額)。 前者については世帯平均年収は732万9628円 後者についての世帯平均年収は761万7556円 それぞれの年収に応じた基礎収入割合である40%をそれぞれ乗じ、 学校教育費考慮前の生活費指数を算出したときと同様に親1人子1人の世帯を想定して、学校教育費考慮後の子の生活費指数を算出 ⇒ 0歳から14歳まで:62 15歳以上:85 |
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標準算定方式・算定表において、 0歳から14歳まで:55 15歳から19歳まで:90 〜 0歳から14歳までは上昇し 15歳以上は低下 ← 学校教育費考慮前の生活費の割合が上昇 15歳以上については国公立高等学校の学費が下がった |
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★ | ★第3 義務者が低所得の場合 | |
◆ | ◇1 標準算定方式・算定表における扱い | |
◆ | ◇2 本研究における結論 | |
★ | ★第4 改訂標準算定方式に基づく改訂標準算定方式の提案 | |
★ | ★第5 成年年齢引下げと養育費の支払義務の終期等(p51) | |
◆ | ◆3 各論点に対する検討及び結論 | |
◇ | ◇(3) 改正法の成立又は施行後、養育費の支払義務の終期をどのように判断すべきか(p57) | |
■ | ■ア | |
■ | ■イ 改正法の成立又は施行後における養育費の支払義務の終期 | |
改正法の成立又は施行後の養育費の支払義務の終期は、それぞれの事案における、諸般の事情、例えば、子の年齢、進路に対する意向及び能力、予測される子の監護の状況、両親が子に受けさせたい教育の内容、両親の経済状況、両親の学歴等の個別事情等に基づく、将来のどの時点を当該子が自立すべき時期とするかの認定、判断によって決すべきこととなる。 | ||
⇒・・・。 | ||