シンプラル法律事務所
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雑誌(商事法務2017年)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

12月
2154
    ◆民法(債権関係)改正に伴う商法改正の概要
・・・整備法(平成29年法律第45号)の解説 
    ■一 はじめに 
    ■二 商法の改正 
    □1 商事法定利率の廃止・・・旧商法514条関係 
旧商法514条(商行為によって生じた債権に関する法定利率を年6分とする)の廃止⇒「法定利率」とは、民法上の法定利率のみを指す。
    □2 商事消滅時効の廃止・・・旧商法522条関係
商行為によって生じた債権の消滅時効の期間を5年とする旧商法522条は削除。
    □3 その他の改正 
    ●(1) 詐害営業譲渡に関する規定の改正・・・旧商法18条の2第2項後段関係
旧民法426条後段は、詐害行為取消権について、行為の時から20年を経過したときに消滅
but
新民法426条後段は、これを行為の時から10年を経過したときは詐害行為取消権についての訴えは提起することができない。

詐害行為取消権と同様の効果を生じさせる詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求権についても、営業譲渡の効力が生じた日から10年を経過したときに消滅するものとした。
    ●(2) 担保責任に関する規定の改正・・・旧商法526条2項関係 
新民法:担保責任は契約不適合による債務不履行責任とされた(新民法562条〜565条)。

商事売買における担保責任についても、
「売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があること」を
「売買の目的が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないこと」
とするなど、新民法の規定と合わせる改正。
新民法562条において、?買主の追完請求権が明示されたことに伴い、
新商法526条2項前段においても、「履行の追完の請求」が追加。
    ●(3) 消滅時効の起算点の明示に関する改正・・・旧商法567条、765条および798条関係 
旧商法567条は、運送取扱人の委託者または荷受人に対する債権の消滅時効について、
旧商法765条は、船舶所有者の傭船者、荷送人または荷受人に対する債権の消滅時効について、
旧商法758条1項は、船舶の衝突による損害賠償請求権の消滅時効について、
それぞれ規定。
but
新民法166条1項が消滅時効の起算点を主観的起算点と客観的起算点とで区別して規律

これらの消滅時効について、それぞれ起算点が明示。
新商法567条及び765条においては、消滅時効の起算点が旧民法166条1項と同様に
「之を行使することを得る時」とされたのに対し、
新商法798条2項においては、消滅時効の起算点が「損害及び加害者を知りたる時」とされた。

@旧商法798条は、船舶の衝突による損害賠償請求権の消滅時効の起算点を明示してなかったが、判例は、同条1項について、不法行為に関する旧民法724条前段の特則であるとし、
その起算点は、被害者が損害および加害者を知った時であるとしていた。
A他方で、新民法724条は、旧民法724条後段の20年の除斥期間を消滅時効と改めたことから、船舶衝突による損害賠償請求権の消滅時効の起算点を明示しなければ、それが新民法724条1号または2号のいずれの消滅時効の特則であるのかということが判然としないおそれ。

新商法798条2項は、船舶の衝突による「損害賠償請求権について、前記旧商法798条1項についての判例に従い、消滅時効の起算点を「損害及び加害者を知りたる時」と明示し、新民法724条1号(旧民法724条前段)の特則であることを明らかにした。

旧商法567条、765条および798条のいずれについても、規律の実質に変更はない。
    ●(4) 運送契約における危険負担に関する規定の改正・・・旧商法576条関係 
新民法は、危険負担に関する規律について、反対給付の履行拒絶権と改めた(新民法536条)。

旧商法576条の運送契約における危険負担に関する規律も、同様のものとされたほか、
同条1項および2項のうち運送品が荷送人の過失により滅失した場合に係る部分は、
民法の特則としての性質がないため、削除された。
    ●(5) 旅客の運送人についての短期消滅時効の規定の新設・・・新商法592条の2関係 
新民法は、職業別の短期消滅時効の特例を廃止

新商法は、陸上旅客運送人について、その運送賃に係る債券の消滅時効の期間を1年とする新たな規律を設けた(新商法592条の2による新商法567条の規定の準用)。
商法においては、
海上運送に関しては、物品運送および旅客運送のいずれについても、消滅時効の期間は1年。
陸上運送についても、同様。
    ●(6) 新民法に同趣旨の規定を設けることに伴う改正・・・旧商法507条等関係 
新民法に同趣旨の規定を設けることに伴い、旧商法上の規定が削除。
    □4 施行日 
民法改正法の施行の日は、平成32年4月1日。
    □5 経過措置 
商法の改正に伴う経過措置は、整備法4条に規定。
    ●(1) 商事法廷利率の廃止・・・整備法4条3項 
施行日前に商事法定利率による利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権(商行為によって生じたもの)に係る法定利率については、なお従前の例による。
遅延損害金についても、同様の経過措置。
    ●(2) 商事消滅時効の廃止・・・整備法4条7項 
施行日前にされた商行為によって生じた債権に係る消滅時効の期間については、なお従前の例による。
    ●(3) 詐害営業譲渡に関する規定の改正・・・整備法4条1項 
施行日前に商人間で営業譲渡契約が締結された場合におけるその営業譲渡については、なお従前の例による。
    ●(4) 担保責任に関する規定の改正・・・整備法4条8項
施行日前に締結された商事売買契約に係る買主による目的物の検査および通知については、なお従前の例による。
    ■三 手形法および小切手法の改正 
    □1 改正の概要 
    □2 利率に関する改正・・・旧手形法48条1項および49条、旧小切手法44条および45条関係 
    □3 時効の中断に関する改正・・・旧手形法86条、旧小切手法73条関係 
    □4 施行日 
    □5 経過措置
       
    ◆民法(債権関係)改正に伴う会社法改正の概要
・・・整備法(平成29年法律第45号)の解説
    ■一 はじめに 
    ■二 改正の概要等 
    □1 意思表示に関する規定の改正に伴う整備 
      現行の会社法51条2項、102条6項および211条2項:
錯誤無効に関する民法95条が適用される場合であっても、一定の時期以降は株式の引受けの無効の主張をすることができない。
民法改正法により、民法95条が改正され、錯誤の効果が無効から取消しに
⇒これに伴う改正。
    □2 自己契約および双方代理に関する規定の改正に伴う整備 
      民法改正法により民法108条が改正:
自己契約および双方代理の禁止の効果として、自己契約および双方代理に該当する行為を無権代理行為とみなすことが明確化。
同条に2項が新設され、
自己契約および双方代理に当たらない利益相反行為についても、本人があらかじめ許諾したものを除き、無権代理行為とみなされる。
取締役等の利益相反取引との関係では、直接取引のみならず間接取引についても、
株主総会等の承認を受けた場合には、有効なものとすることが相当

会社法356条2項および595条2項を改正し株主総会等の承認を受けた間接取引についても、民法108条の適用を除外する改正。
    □3 消滅時効に関する規定の改正に伴う整備 
    ●(1) 会社法701条、705条3項 
      現行会社法701条1項および705条3項は、
社債の償還請求権に関し、
消滅時効の起算点について独自の規定を置かずに、
民法166条1項の「権利を行使することができる時」という客観的起算点を前提としつつ、
社債の公衆性および流通性を考慮し、
社債権者の保護を図るため、
現行の商法522条本文の定める5年間の商事消滅時効の特例として10年間の時効期間を規定。
現行会社法701条2項は、社債の利息請求権等に関し、
同様に、民法166条1項の「権利を行使することができる時」という客観的起算点を前提としつつ、現行の同法169条と同様に5年間の時効期間。
民法改正法により、民法166条が改正され、消滅時効について新たに「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的起算点から5年間の消滅時効が追加的に規定されるとともに、民法169条が削除。
整備法で商法522条が削除。
@社債の償還請求権等の消滅時効については、前記社債の公衆性および流通性⇒その時効期間について、現行の会社法の規律を維持するのが相当。
A社債の団体性および社債の管理が原則として社債管理者により行われる(会社法702条)⇒その時効の起算点についても、引き続き客観的なものに一元化することが相当。

社債の償還請求権等の消滅時効に関して、
消滅時効期間は現行の会社法の規定を維持したまま、
時効期間の起算点について、社債の償還請求権等を「行使することができる時」という客観的起算点であることを明示するための改正。
    ●(2) 会社法545条3項
      現行の会社法545条3項:
時効の中断に関し、生産株式会社による査定の申立ておよび職権による査定手続の開始決定を裁判上の請求とみなすことを規定。
but
民法改正法
⇒時効の中断事由について、その効果に応じて、時効の完成を猶予する部分は完成猶予事由と、新たに時効を進行させる部分は更新事由と再構成。

会社法545条3項について、「時効の中断」を「時効の完成猶予及び更新」に改める改正。
    □4 法定利率に関する規定の改正に伴う整備 
      裁判所の決定した株式および新株予約券の価格等に付される利息について、
民法改正法による改正後の民法上の法定利率によることを明示するための改正。
    □5 詐害行為取消請求に関する規定の改正に伴う整備 
    ●(1) 詐害的な会社分割に対応する規定(会社法759条4項等) 
      現行会社法:
株式会社または持分会社に権利義務を承継させる吸収分割および
株式会社または持分会社を設立する新設分割のいずれについても、
分割会社が承継されない債権者を害することを知って会社分割をした場合における当該債権者の保護規定を設けている。
これらの規定のうち、吸収分割に関する現行の会社法759条4項および761条4項は、ただし書において、吸収分割承継会社が吸収分割の効力が発生した時において承継されない「債権者を害すべき事実」を知らなかったときは、
当該債権者が吸収分割承継会社に対して債務の履行を請求することはできないとする。

この要件は、詐害行為取消権の要件について定める民法424条1項ただし書を参考にしたもの。
but
民法改正法により、民法424条1項ただし書の「債権者を害すべき事実」が「債権者を害すること」に改正

会社法759条4項および761条4項の規定のただし書について同様の改正。
      民法改正法:
民法上の詐害行為取消権と破産法上の否認権の制度の間の不整合を解消

民法424条に規定する詐害行為取消権の要件に関し、
相当対価処分、担保供与行為および債務消滅行為の行為類型ごとに詐害行為取消権の要件の特例を定めている。
but
@会社法759条4項等の請求権は、詐害行為取消権とは異なり、総債権者のために責任財産を保全するための権利ではなく、両者はその趣旨を異にする。
A同項等の請求権について、破産法上の否認権との不整合が生じているという事情も認められない。
⇒これに伴う改正は行っていない。
      現行の会社法759条4項等の請求権について、
民法上の詐害行為取消権の行使に基づき逸出した財産の価格賠償が認められた場合と類似の効果が認められることとなる
⇒詐害行為取消権の行使期間について定める民法426条を参考にして、その行使期間が定められている。
but
民法改正法により、民法426条が改正:
詐害行為取消権の行使期間に関し、「知った時から2年」は維持したまま、
「行為の時から20年」が「行為の時から10年」に改正。
⇒会社法759条6項等の規定について同様の改正。
    ●(2) 会社法863条2項 
    ●(3) 会社法865条4 
    □6 保証に関する規定の改正に伴う整備 
      現行の会社法581条2項:
持分会社の社員が当該持分会社の債務を弁済する責任を負う場合において、
持分会社がその債権者に対して相殺権、取消権または解除権を有するときは、社員は、当該債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
民法改正法:
現行会社法581条2項を参考に、主債務者が債権者に対して相殺権等を有するときは、
保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる旨の規定(民法457条3項)を設けている。
but
その履行を拒むことができる範囲を明確にするため、
「これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において」との文言を追加。

会社法581条2項についても、
「これらの権利の行使によって持分会社がその債務を免れるべき限度において」という文言を追加。
    □7 委任に関する規定の改正に伴う整備 
      現行の会社法593条4項:
持分会社の業務執行社員と持分会社との関係につき、
受任者と委任者の権利義務に関する現行の民法646条〜650条の規定を準用。
民法改正法
⇒これらの規定のうち民法648条3項を改め、受任者の帰責事由の有無を問わず、委任事項の履行をすることができなくなった場合および委任が履行の中途で終了した場合には、すでにした履行の割合に応じた報酬を請求することができることとされるとともに、
成果に対して報酬を支払う旨の合意があった場合に関する規定(民法648条の2)が新設

持分会社の業務執行社員と持分会社との関係についても、これらの規定を準用し、必要な読み替えを行う
    ■三 施行日 
民法改正法の施行の日から施行。
平成32年4月1日。
       
    ■上場会社の株主総会に期待される役割は何か
「2017年版株主総会白書」を読んで 
    ■アメリカ型D&O保険の発展経緯と課題 
    ■2017年商事法務ハイライト
    ■2017年商事法務年間日誌 
    ■米国会社・証取法判例研究No.363
投資銀行の責任と損害賠償の負担 
    ■ニュース
法務省、「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」で意見照会
「民法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定
金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」第1回が開催される
金融審議会「金融制度スタディ・グループ」第2回が開催される 
    ■スクランブル:期待される経営者報酬の実質的進化 
    ■新商事判例便覧No.703 
    ■索引(2138号〜2154号) 
       
2153   
    ◆民法(債権関係)改正の概要 
    ■一 はじめに 
民法改正法と整備法が平成29年6月2日に交付。
平成32年(2020年)施行予定
    ■二 改正に至る経緯 
    □1 改正の背景 
平成16年に保証制度の見直しが行われる等の、部分的な改正。
    □2 法制審議会への諮問 
見直しを行う観点:
@社会・経済の変化への対応
A国民一般にとっての分かりやすさの向上
    □3 民法(債権関係)部会の審議経過 
    □4 法制審議会の答申
    □5 国会での審議経過 
    ■三 改正法の概観 
    □1 改正の対象等 
    □2 編別構成や規定の配置等 
改正法案が国会に提出された平成27年3月の時点で、民法の条の総数は1103箇条
改正の対象とされれたのは、257箇条
新たな枝番号を付して新設した条の数は85箇条

何らかの変更が行われた条の数の合計は342箇条
    □3 整備法の内容 
民法の見直しを踏まえ
商事法定利率の廃止(商法541条)や
商事消滅時効の廃止(同法522条)等。
but
他は、民法における語句の修正に伴うた法律の語句の置き換え等形式的改正。
    ■四 国民一般に分かりやすいものとする観点からの改正点の例 
国民一般に分かりやすいものとする
⇒確立された判例や一般的な解釈を適切に明文化することにより、法律の専門家でない国民一般にも民法のルールが見えるようにするもので、実質的なルールを変更しようとするものではない。
    □1 意思能力 
    □2 将来債権の譲渡 
    □3 賃貸借終了時の原状回復義務と敷金の扱い 
    ■五 社会・経済の変化への対応という観点からの主要な改正点 
  □1 消滅時効・・・時効期間の統一化ほか 
●細かい規定を廃止
短期消滅時効の特例および商事消滅時効を廃止
「権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」には、消滅時効によって債権者消滅する旨の主観的消滅時効の規定を追加。

この「知った時から5年間行使しないとき」と
従前からの「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」
のいずれかの事由があったときに、債権は時効によって消滅する。(新法166条1項)
●生命・身体の侵害による損害賠償請求権に関する、消滅時効の特則の新設 
@生命や身体に関する利益は、一般に、財産的な利益等の他の利益と比べて保護すべき度合いが強く、
A生命・身体について深刻な被害が生じた後、債権者は、通常の生活を送ることが困難な状況に陥るなど、時効完成の阻止に向けた措置をすみやかに行うことを期待することができないことも少なくない

生命・身体の侵害による損害賠償請求権(債務不履行又は不法行為に基づいて生じる)について、
@これらが債務不履行に基づくものである場合には権利を行使することができる時から10年という時効期間を20年とし(新法167条)
A不法行為に基づくものである場合には損害および加害者を知った時から3年という時効期間を5年とする(新法724条の2)

生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、その発生根拠が債務不履行であっても不法行為であっても、
主観的起算点からの時効期間は5年となり、
客観的起算点からの時効期間は20年に
不法行為における長期の権利消滅期間(旧法724条後段)の法的性質について、除斥期間(判例)ではなく消滅時効期間であることを明記(新法724条2号)。
    □2 法定利率・・・利率の引き下げと変動制の導入 
  法定利率を3%に引き上げ
市中の金利動向に合わせて法定利率が変動する仕組みをあらかじめ法律で定め、
それに従ってオートマティックに法定利率が変動する制度を導入。
(新法404条
具体的には、
金利の一般的動向を示す一定の数値(日本銀行の公表する国内銀行の貸出約定平均金利の5年分の平均値)を「基準割合」という指標とし、
3年に1階の法定利率の見直し時期において、基準割合が大きく変動していた場合に、
法定利率をその変動に合わせて上下させる(1%未満の端数は切捨計算をし、これが零となる場合には変動は生じない)というもの。
法定利率の主な適用局面である
利息の算定
遅延損害金の算定
中間利息控除率の算定
において、
いつの時点の法定利率を用いるのかを定めている。
ex.
交通事故による不法行為に基づく損害賠償請求権:
遅延損害金の基準時と中間利息の控除の基準時はいずれも事故時。
    □3 保証・・・公証人による保証意思確認手続の創設ほか 
リスクを十分に自覚せず安易に保証人となってしまうという事態を防止

事業のために負担した貸金等債務の保証人が個人である保証契約については、
保証人が主債務者である株式会社の取締役等である場合や過半数株主である場合など一定の例外を除き、
公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければ無効(新法465条の6〜465条の9)。
保証に関しては、平成16念の年の民法改正により、
主債務の範囲に貸金等債務が含まれている根保証契約であって、個人が保証人であるもの(貸金等根保証契約)を対象として、保証人保護の制度が導入。

今般の改正では、この制度のうち一部について、
その対象を保証人が個人である根保証契約(個人根保証契約)一般に拡大。
個人根保証契約:
極度額を定めなければ無効となる(新法465条の2)。
保証人が破産し、もしくは債権者から強制執行等を受けた場合、または主債務者もしくは保証人が死亡した場合には、個人根保証契約の元本は確定する(新法465条の4第1項)。
貸金等根保証契約:
最長でも5年以内に主債務の元本が確定するなどし(新法465条の3)、主債務者が破産し、もしくは債権者から強制執行等を受けた場合には、元本は確定する(新法465条の4第2項)。
このような規律は個人根保証契約一般には拡大されていない。

たとえば、個人根保証契約の典型例である不動産賃借人の債務を保証する根保証契約のケースにおいて、このような規律を及ぼすと、賃貸人としては保証契約の存在を前提として賃貸借契約を締結したにもかかわらず、賃貸借契約の終了前に根保証契約の元本が確定し、その後は補償がないまま賃貸の継続を強いられるといった不都合が生ずるおそれがある。
    □4 債権譲渡・・・譲渡制限特約の効力の見直し 
    譲渡禁止特約は、中小企業等が自社の債権を譲渡して資金調達を行う際の支障。

譲渡禁止特約(従前の譲渡禁止特約に相当する特約)が付されていても、これによって債権の譲渡の効力は妨げられない(新法466条2項)。
譲受人が譲渡制限特約について悪意または重過失である場合には、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済等をもって譲受人に対抗することができる(同条3項)。

債務者にとって譲渡制限特約を付する目的は、主として、弁済の相手方を固定することにより、見知らぬ第三者に弁済せざるを得なくなるといった事態を防ぐことにあり、このような債務者の期待は引き続き保護する必要がある。
@
譲受人:
債務者が債務を履行しない⇒
債務者に対し、相当の期間を定めて譲渡人への債務の履行をするよう催告をすることができ、その期間内に履行がないときは、債務者は譲受人に対して債務を履行しなければならない(同条4項)。
A
譲渡人について破産手続開始の決定
⇒債務の全額を譲り受けた譲受人は、譲渡制限特約について悪意または重過失であっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を供託させることができる(新法466条の3)。

債権を有効に譲り受けた譲受人を保護する観点。
    □5 定型約款・・・規定の新設
  約款を用いた取引の法定安定性を確保するため、
定型約款の定義
定型約款による契約の成立
定型約款の変更等
について規定を新設。
ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものを「定型取引」と定義し、
定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体を「定型約款」と定義。
定型約款を利用して契約を成立させる場合のルールとして、
@定型約款を契約の内容とする旨の合意をし、また
A定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した場合において、
取引を行う旨の合意がされたときは、
定型約款に記載された個別の条項の内容を認識していなくとも、定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなす旨の規定を新設(新法548条の2第1項)。
合意をしたものとみなすことが適切でない条項が含まれていることを防止

定型取引の態様・実情や取引上の社会通念に照らして民法1条2項に規定する信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められる条項(ex.不当な抱き合わせ販売条項)については、合意をしなかったものとみなす(新法548条の2第2項)。
@相手方の一般の利益に適合するとき、または
A定型約款の変更が契約の目的に反せず、かつ、変更に係る諸事情に照らして合理的であると認められるとき

定型約款準備者は相手方の個別の同意を得なくとも一方的に定型約款の変更をすることができる。
    ■会社の計算に関するいくつかの課題 
    ■実質株主の株主総会出席(全株懇ガイドラインのより有効な活用のために) 
    ■2017年度コーポレートガバナンスの実態に関する調査結果の照会 
    ■商事法判例研究No.617
銀行たる会社からの借入れによりなされた払込みによる新株発行の効力 
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第8回会議が開催される
日本監査役協会、監査等委員会の意見陳述権行使のベストプラクティスを公表
日本監査役協会、監査役視点によりCGコードの分析を公表
    ■スクランブル:FDルール導入による沈黙期間への影響 
2151   
    ■シンガポール会社法・国際私法と日本会社分割の交錯
JX Holdings事件を素材として
    ■取締役会評価の現状分析と今後の課題 
    ■敵対的買収防衛策の導入状況
2017年6月総会を踏まえて 
    ■実践問答会社法 第17回
取締役の任期と「定時株主総会」の意義 
    ■海外事情:ドット・フランク法の現在 
    ■ニュース:
金融審議会「金融制度スタディ・グループ」第1回が開催される
日本IR協議会、情報開示と対話の行動指針(案)を公表
平成29年10月定時株主総会の概況
    ◆スクランブル:海外グループ会社管理の理想と現実 
    ●「おもいきってメリハリをつける」 
リスクベース・アプローチを徹底することは、リソースが限られる中において理想と現実のギャップを埋める有効なアプローチ。
    ●「血の通った管理」 
本社のグループ管理部門が、監査とは関係なく「対話」や「相談」等の目的で定期的に現地を訪問し、現地の悩みの相談に乗る。
11月   
2150
    ■インサイダー取引規制の適用に関する分類別考察(4・完) 
    ■機関投資家による議決権行使の状況・・・2017年の株主総会を振り返って 
    ■株式を対価とする英国上場会社の買収
・・・・クロスボーダーM&Aの新たな手法 
    ■米国会社・証取法判例研究No.362
保険会社に対する「金融システム上重要な金融機関」の認定 
    ■トピック:デンソー法人税更正処分取消し最高裁判決 
    ■第13回「商事法務研究会賞」受領論文発表 
    ■ニュース:
SSコード・CGコードのフォローアップ会議の第12回会議が開催される
金融審議会総会・金融分科会合同会議が開催される
企業会計審議会監査部会の第39回が開催される 
    ■伊藤レポート2.0と今後のガバナンス課題 
    ■新商事判例便覧No.702 
2149   
    ■IHI事件東京高裁は寝k津の検討 
    ■インサイダー取引規制の適用に関する分類考察(3)
公開買付けおよびバスケット条項に関するインサイダー取引規制
    ■東南アジアM&A・ガバナンス最新実務(2・完)
東南アジアにおける社内不正とグループ・コーポレートガバナンス 
    ■商事法判例研究No.616
会社による法令違反に係る取締役の義務と対第三者責任 
    ■トピック:出光興産公募増資差止事件
    ■ニュース:
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第7回会議が開催される。
日本経済団体連合会、企業行動憲章の改定を公表
東京高裁、信用取引における証券会社側の過当取引の違法性を認めた原審の判断を維持
企業会計基準委員会、修正国際基準の改定等を公表 
    ■スクランブル:大規模不祥事にみる組織的要因の共通項 
  @:会社を取り巻く外部環境から、経営者が強い「業績プレッシャー」を受けていた 
  A:経営者が現場の実力を度外視し、「トップダウン」で原版の実力と乖離した業績プレッシャーを強く与えた 
  B:不正に関与した役職員らは、自らの私利私欲ではなく「会社を守る」とうい意識の下で自己正当化を試み、そのことが数多くの役職員に組織ぐるみで不正を働かせることの促進要因となっていた。 
2148   
    ■インサイダー取引規制の適用に関する分類別考察(2)
業績予想等の修正に関するインサイダー取引規制 
    ■東南アジアM&A・ガバナンス最新実務(1)
タイ公開買付規制・上場会社ガバナンスの最新実務 
    ■経営者報酬における業績評価指標選択の留意点・・・米国企業の実証分析を踏まえて 
    ■GEとP&Gの役員選任をめぐるアクティビストの動き 
    ■実務問答会社法 第16回
組合の「特別支配株主」の該当性等 
    ■ニュース
金融庁、平成29年金商法改正に係る政令・内閣府令案等で意見照会
金融庁、開示府令等の改正案で意見照会
法務省、民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)に関する意見照会結果を公表
経済産業省、伊藤レポート2.0を公表
ISS、2018年版議決権行使助言方針改正案で意見照会
全株懇、招集通知モデル等の改正を公表
最高裁、デンソー子会社に係る法人税更正処分取消等請求事件で課税処分を取り消す判決
平成29年9月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:相談役・顧問開示制度の活用のススメ 
10月
  2147
    ■インサイダー取引規制の適用に関する分類別考察(1)
業務上の提携に関するインサイダー取引規制 
    ■全株懇「株主総会プロセスの電子化について〜株式実務からの一考察〜」の解説
    ■相談役・顧問制度に関する実務上の留意点 
    ■ESG関連リスクの管理・開示のあり方(下)
・・・CGコード第2章への対応を視野に 
    ■米国会社・証取法判例研究No.361
情報受領者の責任と「個人的便益」の要件 
    ■ニュース
SSコード・CGコードのフォローアップ会議の第11回会議が開催される
企業会計審議会の第38回が開催される
金融庁、日東電工株式に係る相場操縦で第5回審判期日を開催
証券取引等監視委員会、「開示検査事例集」を公表
日本監査役協会、会計監査人の評価・選定基準策定実務指針の改訂版を公表 
    ■スクランブル:従業員向け株式報酬の制度整備と今後の展開 
    ■新勝寺判例便覧No.701 
2146   
    ■米国会社・証取法判例研究30周年記念
「米国会社・証取法判例研究」と日本への示唆 
    ■T 「米国会社・証取法判例研究」とその意義
    ■U 近時の米国会社法判例を振り返る・・・経営判断原則を中心に 
    ■V 米国会社法判例の最近の状況・・・MFW判決およびCorwin判決を中心に 
    ■W 近時の米国証取法判例を振り返る・・・規則10b−5を中心に 
    ■X 最近の米国証券訴訟判例の日本法への示唆 
    ■Y 会社法・証取法以外の分野の判例研究の意義・・・米国法に内在的な問題を研究する意義を中心に 
    ■社外監査役等の職務と責任・・・エフオーアイ事件を中心にあらためて考える 
    ■ESG関連リスクの管理・開示のあり方(上)・・・CGコード第二章への対応を視野に 
    ■ドイツ外資規制改正の概要とM&A実務への影響 
    ■実務問答会社法 第15回
T 基準日経過後の定款変更による基準日規定の削除
U 非公開化取引と「有価証券報告書を提出しなければならない株式会社」の意義 
    ■商事法判例研究No.615
権利の瑕疵と商法526条 
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第6回会議が開催される
法制審議会総会の第179回会議が開催される
法務省、民事執行法の改正に関する中間試案で意見照会
平成29年8月定時株主総会の概況 
    ◆スクランブル:有事に社外取締役が機能するために 
  ●社外取締役が果たす機能
@経営効率の向上のための助言機能
A経営全般の監督機能
(i)取締役会における重要事項の決定に際して議決権を行使することなどを通じて経営全般を監督する機能
(ii)経営全般の評価に基づき、取締役会における経営者の選定・解職の決定に関して議決権を行使することなどを通じて経営者を監督する機能
B利益相反の監督機能
(i)会社と経営者との間の利益相反を監督する機能
(ii)会社と経営者以外の利害関係者との間の利益相反を監督する機能 
9月   
2145
    ■企業法務の視点 
    ■公認会計士・監査審査会「平成29事務年度監査事務所等モニタリング基本計画」について 
    ■日本版フェア・ディスクロージャー・ルールの導入と資本市場への影響 
    ■議決権行使結果の個別開示をめぐる議論と機関投資家の対応状況 
    ■米国会社・証取法判例研究No.360
デラウエア州MLPにおける利益相反取引と信認義務・黙示の契約義務
    ■ニュース:
平成30年度税制改正に関する各省庁の改正要望が公表される
金融庁、「少額短期保険業者の経過措置に関する有識者会議」報告書を公表
法務省、平成29年司法試験の結果を公表
ASBJ、「税効果会計に係る会計基準」一部改正案等に対する意見照会結果を公表 
    ■スクランブル:日本企業が備えるべきM&Aリテラシー 
    ■新商事判例便覧No.700 
2144   
    ◆大阪地裁における商事事件の概要
    ■一 はじめに 
    ■二 当部が担当する事件の範囲 
    ●(1) 商事訴訟事件等 
    ●(2) 手形事件等 
    ●(3) 商事保全事件 
    ●(4) 非訟事件 
    ●(5) 商事調停事件 
    ■三 商事訴訟事件等 
    □1 新受件数の推移  
    □2 類型別動向 
    ●(1) 会社を当事者としての株式の帰属を争う訴訟 
    ●(2) 株主総会決議の不存在・無効確認、取消しの訴え 
    ●(3) 役員の責任を追及する訴訟 
    ●(4) 役員の報酬に関する訴訟 
    ●(5) 会社の設立、組織再編、新株発行等の効力をめぐる訴訟 
    ●(6) 独占禁止法、消費者契約法等に基づく差止請求 
    ●(7) 承継会社に対する直接履行請求に関する訴訟 
    ■四 手形事件等 
    ■五 商事保全事件 
    □1 新受件数の推移等 
    □2 類型別動向等 
    ●(1) 取締役等の地位や行為に関する仮処分 
    ●(2) 株主総会に関する仮処分 
    ●(3) 会計帳簿や株主名簿等閲覧・謄写の仮処分 
    ●(4) 新株発行や組織再編等の差止仮処分 
    ●(5) 仮差押え 
    ■六 非訟事件 
    □1 新受件数の推移等 
    □2 類型別動向等 
    ●(1) 清算人選任申立事件 
    ●(2) 仮取締役・監査役等選任申立事件 
    ●(3) 総会検査役選任申立事件 
    ●(4) 株式売買価格決定申立事件 
    ●(5) 株式買取(取得)価格決定申立事件 
    ■七 おわりに 
    ■企業価値向上を促す対話型株主総会プロセス進展と新たな動き
〜2017年6月期総会の概況
    ■本年6月総会における社外取締役の選任をめぐる実務動向・・・平成29年の状況 
    ■2016年度株式分布状況調査結果の概要 
    ◆M&A実務におけるリスク対応の潮流U(2・完)
米国ディストレストM&Aと日本への示唆 
    ■一 はじめに 
    ■二 法的整理におけるM&Aのメリット 
    ■三 363条セール 
    □1 概要 
    □2 要件 
    □3 free and clear order 
    □4 マーケティングテストの実施 
    ●(1) 概要 
    ●(2) オークション手続(Bidding Procedures)の内容 
    ●(3) 債権者委員会の重要性 
    □5 ストーキングホース・ビッドの利点 
    □6 ストーキングホースの保護 
    ●(1) ブレイクアップ・フィー(Break-Up Fee) 
    ●(2) 実費償還(Expense Reimbursement) 
    ●(3) ノーショップ条項(No-Shop Provision) 
    □7 対価の問題 
    ■四 チャプター11計画に基づくM&A 
    □1 排他的計画提出期間 
    □2 M&Aの手法 
    ■五 再建支援契約 
    ■六 日本の実務への示唆 
    □1 オークション手続の標準化 
    □2 プレパッケージ型事業再生への示唆 
    □3 デット投資 
    ■商事法判例研究No.614
株主間契約における上場協力義務の法的拘束力が否定された事例 
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第5回会議が開催される
東証、「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況」の集計結果を公表
証券監視委、平成28年度の活動状況等を公表
    ■スクランブル:英国企業統治改革案と日本への示唆 
2143  
    ■「日本的取引慣行」の実態と変容
・・・・調査の方法論についての覚書
    ■株式報酬等の柔軟な活用を可能とするための開示府令・取引規制府令の改正 
    ■M&A実務におけるリスク対応の潮流U(1)
英国ディストレスM&Aと日本への示唆 
    ■法人税法における株式の有利発行該当性と受贈益課税・・・神鋼商事事件判決を踏まえて 
    ■実務問答会社法 第14回
株主名簿の閲覧・謄写請求におけるコピー機の利用の可否等と株西名簿の作成時点
    ■トピック
相談役・顧問等に関する開示制度の創設 
    ■ニュース
全国株懇連合会、株主総会プロセスの電子化に関する提案書を公表
経済産業省、「我が国企業による海外M&A研究会」の設置を公表
日本公認会計士協会、事業報告等・有報の一体的開示に関する報告を公表
平成29年7月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:「監査役会評価」は必要か 
8月   
2142   
    ◆日本司法学会シンポジウム資料
「日本的取引慣行」の実態と変容 
    ◆T 「日本的取引慣行」の実態と変容:総論
・・・取引当事者間の動機付け交渉の観点から
    ◆U モジュール化と「日本的取引慣行」
・・・調査の仮説と分析(T)
    ◆V コンプライアンス意識と「日本的取引慣行」
・・・調査の仮説と分析(U) 
    ◆W 取引実務の変容と取引基本契約
    ◆X 「日本的取引慣行」の実態と変容
・・・契約の経済理論を手がかりに
    ■一 はじめに 
契約の経済理論:
「契約条項(少なくとも価格以外の条項)は所与の制約条件のもとで最も効率的な内容になる傾向があり、当事者間の交渉力の格差は、契約条項の内容に影響を与えない」という考え方。

価格は価格以外の契約条項を反映して適切に調整されるという想定に基づいている。
    ■二 「日本的取引慣行」を説明する経済理論・・・関係特殊的投資と不完備契約を鍵概念として 
    □1 理論の概要 
    ●(1) 関係特殊的投資、不完備契約、ホールドアップ問題 
企業A(部品サプライヤー)が、部品を製造し、
企業B(完成品メーカー)に供給する関係。
企業Aは、企業Bとの取引関係がある場合のみ成果を増加させるような投資、すなわち、関係特殊的投資を行うことができる。
企業Aと企業Bの間の取引は、関係特殊的投資をせずに取引をした場合の価値を上回ることが効率的。
企業Aが関係特殊的投資をしたかどうかは、企業Bには観察できる。
but
企業あが関係特殊的投資として具体的に何をすべきかを曖昧さのないように契約で特定することや、その特定した行動を企業Aが実際に行ったかどうかを裁判所で立証することは、高い費用がかかるため、実際的ではない。
〜「観察可能であるが立証不可能」

「企業Aが関係特殊的投資を行ったことを条件として、企業Bが代金を払う」といった内容の契約を事前に締結することはできない(=契約の不完備)。

各企業が相手の利益を奪うような行動(ホールドアップないし機会主義的行動)をとるおそれがある。
ex.
企業Aが関係特殊的投資をした後に、企業Bと拘束力のある契約(事後の契約)を結ぶ場合、企業Bは低い価格しか支払わない(安く部品を買い叩く)動機が生じる。
⇒企業Aは関係特殊的投資をためらうことになりがち。

企業Aが投資をする前に、両企業が拘束力のある契約(事前の契約)を結ぶ場合、企業Aは、関係特殊的投資の有無にかかわらず企業Bから価格の支払を受けられる。
⇒投資を怠る動機が生じる。
以上のようなホールドアップ問題により、価値ある関係特殊的投資が行われなくなるおそれ。
    ●(2) 長期継続的関係の構築によるホールドアップ問題の解決 
ホールドアップ問題は、企業が長期継続的な関係(いわゆる関係的契約)を結ぶことによって解決(少なくとも軽減)し得る。
企業Aと企業Bの取引は1回的ではなく、同様の取引を繰り返し行う機会がある(そのたびに、企業Aは関係特殊的投資を行い、企業Bに部品を供給する機会がある)。

企業Aと企業Bがともに、「相手方協力する限りにおいて自分も協力する」という戦略をとることにより、一定の条件下で協力関係を継続できる。
ここでの「協力」とは、
企業Aについては、関係特殊的投資をすること
企業Bについては、事後の契約において企業Aの投資に報いる価格(投資をせずに企業Bあるいは他企業に部品を供給した場合に得られる利益を上回る利益を企業Aに与えるような価格)を支払うこと
各企業にとって、
相手と協力を続けた場合得られる利得(その割引現在価値)>ホールドアップをしたときに得られる1回的な利得

両企業が協力を続けるいう効率的な均衡が実現。

企業が
@長期継続的、かつA明示の契約に多くを依存しない関係
を結ぶことを合理的に説明できる。
企業Aが行うべき関係特殊的投資の内容も、企業Bがそれに報いる価格を支払うことも、事前の契約では定められないが、各企業は、価値ある関係を継続するため、そのような協力行動を行う
    □2 取引関係の価値を維持・向上する仕組み・・・ランクづけや複数発注政策による動機づけ、協力会 、株式持合い等
完成品メーカーが部品サプライヤーをランク分け
複数発注政策⇒サプライヤー同士を競わせる動機づけ
「協力会」を組織
株式持ち合い⇒ある企業がホールドアップ⇒株式売却や経営陣に敵対的な議決権行使でホールドアップを抑止
    □3 批判 
「関係特殊的」というより「モデル特殊的」
取引関係の価値の維持・向上に対して株式持合いが持つ重要性について、疑問
    □4 研究課題 
    ■三 「契約条項は効率的な内容になる傾向を持つ」という経済理論の想定について 
    □1 標準的な経済理論の考え方 
契約の経済理論:
契約当事者は、契約条項(少なくとも、価格以外の条項)を効率的なものにする動機がある。

「効率的である」とは
契約が各当事者にもたらす便益と費用を、それがどちらの当事者に生じるかを問わず合算した場合に、ネットの便益(便益マイナス費用)が、所与の制約条件(立証不可能性等)のもとで最も大きくなること
そのような効率的な契約を当事者双方が望む理由は、価格を適切に調整すれば、非効率な契約よりも効率的な契約を結ぶことが、当事者双方の利益となるから。

契約当事者間の交渉力(=契約がもたらすネットの便益を独り占めする能力)に差があっても妥当する。

交渉力の大きな当事者(「強者」)は、価格以外の契約条項を(それ自体としては)自己に有利で非効率的な内容にするよりも、むしろ効率的な内容にしておいて、それによって生じる便益を、価格を調整することによって享受する方が、自己の利益となる。

経済学者は、交渉力の弱い当事者を「保護」するために強行法規を設けるといった法政策には、通常、批判的。

そのような強行法規が効率的な内容であれば、特に強制などしなくても当事者は当該法規の内容に同意するはずであり、逆に、当該法規が非効率な内容であれば、強者は価格の形で費用を弱者に転化するため、かえって弱者を害する結果となる。
    □2 標準的な契約理論は現実に当てはまるか・・・研究課題 
筆者の疑問:
「価格以外の契約条項は効率的なものにし、それにより生じる便益は価格を調整することで享受する」という事が、現実の取引に妥当するのか?
法務部門スタッフに対して適切なインセンティブ設計がされていない場合、法務部門は、将来の便益や費用まで考慮し、かつ価格による調整を見込んだ上で効率的な契約条項を作成するよりも、むしろ目先は完成品メーカーに有利な(しかし非効率な)契約条項を作成してしまうかもしれない
    ■四 インタビュー調査の分析 
    □1 はじめに 
    □2 関係特殊的投資は存在するか 
    ●(1) 総説 
関係特殊的投資の重要性は、産業や製品の種類により、また同一の産業・製品であっても環境の変化(技術の進展等)によって異なり得る。
    ●(2) 自動車産業 
自動車メーカーごとのニーズに応じる能力は、関係特殊的なものがある。
ある部品サプライヤーは、供給先の自動車メーカーごとに、営業、生産、開発を担うビジネス・ユニットを作り、各ユニットの人員が別の自動車メーカーのためのユニットに移るには、自動車メーカーに対する守秘義務の関係上、3、4年の期間はおかなければならない。
自動車メーカーの工場の敷地内あるいは隣接地に、部品サプライヤーが工場を建設することがある。
    ●(3) 電機産業 
規格の標準化(オープン化)
汎用品の占める割合の高い産業では、関係特殊的投資の重要性は低くなる。
    ●(4) システム・インテグレーション事業 
90年代後半以降は、SI事業でオープン化が進展⇒ベンダーは、特定のシステム・インテグレーターの事業に参画する前に、各社で人員の教育ができるようになった⇒SI事業における技能の関係特殊性は低下。
but
なお特殊性は残っている。
基盤となるシステムはオープン化したとはいえ、各システム・インテグレーターは特有の開発フレームワークを有しており、ベンダーはこれを習得する必要。
    □3 関係特殊的投資は取引関係のあり方に影響を与えるか 
    ●(1) 問題の所在 
関係特殊帝投資は、企業間の関係のあり方にどのような影響を及ぼすのか?
    ●(2) 取引関係のあり方を決めるのは関係特殊的投資だけではないこと 
関係特殊的投資が何ら重要でなくても、取引は長期継続性を持つ傾向。

完成品メーカーは、サプライヤーが品質基準や契約条件(納期等)を守るかについての不確実性を避けるため、すでに取引実績のあるサプライヤーの中から取引先を選定する傾向
完成品メーカーがある部品・デバイスの購入のため何社のサプライヤーと取引するかは、そもそも当該部品・デバイスの潜在的供給者が市場にどれだけいるかに依存する。
    ●(3) 関係特殊的投資が取引先の数や関係の長期継続性に影響を与えること 
他の条件を一定にすれば、関係特殊的投資が重要である(ない)ほど、取引は少数(多数)のサプライヤーとの間で長期継続的に(短期・非継続的に)行われる傾向をもつ。
オープン化の進展⇒ハードウェア・メーカーが、海外事業者を含めて部品・デバイスの調達先を拡大。
あるモデルの存続期間中は、当該モデルに使用する部品のサプライヤーを変更しない(ノンスイッチング)慣行が、自動車・電機ともに広く存在。
but
ハードウェア部品・デバイスの中でも汎用性が高い製品については、モデルの存続期間中でも変更が行われる場合がある。

関係特殊的投資の重要性が低くなると、サプライヤーの候補者が拡大し、また、同一のサプライヤーとの取引を継続する必要性も小さくなる。
過去に単一の自動車メーカーとの取引に売上げのほとんどを依存してきたサプライヤーが、他の自動車メーカーの工場の近くに工場を建設することや、当該メーカーの「仕事の進め方」を習得することで、販売先の拡大に成功した事例を確認。

それまで関係特殊的投資をしていないサプライヤーも新たにそうした投資をすることにより、既存のサプライヤーに伍して競争することが可能。
    □4 関係の価値の維持・向上に寄与する仕組みについて 
    ●(1) はじめに 
    ●(2) 協力会について 
ハードウェア事業では、オープン化の進展⇒サプライヤーの技能の関係特殊性のほぼ消滅したため、協力会という形でサプライヤーと密接な関係を形成する必要性が低下。
SI事業では、まだ技能の関係特殊性が相当残っている⇒システム・インテグレーターがベンダーと密接な関係を維持するメリットが失われていない。
    ●(3) 株式所有関係について 
長期継続的な取引関係の維持のために株式所有が果たす役割について、積極的な意見があまりなかった。
電機産業では、ハードウェア・メーカーがサプライヤーの株式を所有すること自体、ほとんどない。
自動車メーカーは、株式保有があっても、元は子会社であったとか、資金難に陥ったときに支援したといった過去の経緯からそうなった面が強い。
また、株式を売却し資本関係を解消しているところもあるが、それによって、当該自動車メーカーとサプライヤー間の密接なコミュニケーションを伴う取引関係が希薄化したようなこともない。
ホールドアップ問題が、長期的継続的な関係の構築(繰り返しゲームにおける返礼戦略)により十分に軽減⇒それに加えて株式保有という解決策をとる必要はない。
かえって、株式所有が企業による取引先の選択を歪めたり、資本市場の規律を損なうといった問題をもたらす可能性もある。
⇒株式所有のメリットについてより慎重な態度をとる必要性。
    □5 明示の契約への依存度の低さ 
    ●(1) 従来の理解を確認する調査結果 
取引の開始に当たり締結される基本契約は、30数カ条から50条程度の比較的簡単なものであり、ここ30年の間に特に詳細化したこともない。
問題が生じたとき誠実に協議するという内容の条項(誠実協議条項)も、業種を問わず存在を確認できた。
合意内容を契約書に規定しつくしたことを示す完全合意条項も、日本企業間の取引ではまず入れられない。
製品が事故を起こしたときの責任の所在など、取引当事者間で問題(紛争)が生じたときも、裁判をなるべく避け当事者間の協議による解決をはかる傾向も、業種を問わず確認できた。
裁判に否定的でない企業も、裁判は「コストに見合わない」という認識で、実際、少なくとも日本企業どうしでは裁判はほとんどしたことがない、という回答が共通。
    ●(2) 不完備契約の理論からみた日本の取引慣行の合理性 
不完備契約の経済理論⇒上記慣行には十分な合理性がある。
取引関係で生じる問題を、すべて事前に明治の契約によって規律しようとすることが効率的とは限らない。
将来生じ得るさまざまな事態を予期してそれについて詳細な契約を規定することは必ずしも容易ではなく、
裁判には費用と時間がかかる。
それよりも、両当事者が、長期継続的な関係の中で、
「相手が協力する限り自分も協力する」という返礼戦略を基本として、問題が生じればその都度事後的な交渉による解決を図るほうが、より効率的に協力関係を実現できることも少なくない。
    ●(3) 明示に契約しないが当事者に期待される行動 
自動車産業では、モデルの生産・販売台数が計画台数を大きく下回り、サプライヤーが開発費を回収できないことがある。
契約上は、自動車メーカーは計画台数を発注する義務を負っておらず、サプライヤーの費用を補償する義務もない。
but
サプライヤーは補償を求めてメーカーと交渉し、実際に「合理的な範囲」で補償されている。
こうした「交渉による補償」の慣行は、電器産業にも存在。

不完備契約の考え方から説明可能。

@メーカーが計画台数の発注におよそコミットしない場合には、メーカーがサプライヤーに事後的な価格の引き下げを求め、応じなければ発注を打ち切ると迫るようなホールドアップをする危険。
⇒サプライヤーが関係特殊的投資をするインセンティブを損なう。
but
A常にメーカーがサプライヤーに補償しなければならないものとすれば、サプライヤー側のモラルハザードを招き得るほか、計画未達のリスクをメーカーに集中的に負担させるという、リスク分担の観点からは必ずしも効率的といえない結果となる。
B詳細な契約にはコストがかかる上、条件が成就したかを裁判で立証することも容易でないかもしれない。

返礼戦略を基本として、事後的な交渉によって「合理的な補償」の範囲を決めることが、最も効率的。
    □6 契約条項は「効率的」に決まるのか、「力関係」により決まるのか 
インタビュー調査では、契約内容が当事者の「力関係」(交渉力の強さ)に左右されて決まるという指摘。

完成品メーカーと部品サプライヤーの取引は、基本的には、完成品メーカーが作成した基本契約をサプライヤーに受け入れさせることで開始される。
電機産業において、メーカーとサプライヤーとがともに自社作成の基本契約書の使用を求めて譲らない⇒基本契約を締結しないまま取引が行われる場合がある。
    ■五 おわりに 
    ◆Y 「日本的取引慣行」の実態と契約法への示唆 
       
    ■米国会社・証取法判例研究No.359
会社の債務超過時における異なる残余財産請求者間の対立の問題 
    ■ニュース
法務省、民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)で意見照会
公正取引委員会、課徴金制度の見直し等に係る意見照会結果を公表
東証、相談役・顧問等の開示に関するガバナンス報告書記載要領の改訂を公表
日本私法学会の開催日程/日本経済法学会の開催日程
    ■スクランブル:
オリンパス粉飾決算事件地裁判決を読んで 
    ■新商事判例便覧No.699 
2141   
    ◆座談会
会計監査の実効性確保と監査役の役割
・・・平成26年改正会社法と2つのガバナンス・コードを踏まえて 
  ■一 はじめに 
  ■二 会計監査をめぐる近時の制度改正・・・不成リスク対応基準・会社法改正・二つのガバナンス・コード 
  □1 不正リスク対応基準の概要
  □2 改正会社法とコーポレートガバナンス・コードの概要
  □3 「会計監査の在り方に関する懇談会」提言の概要
  □4 監査y法人のガンバナンス・コードの概要
  ■三 監査役が会計監査において果たすべき役割 
  □1 日本監査役協会の指針・提言等 
  □2 監査実施上の連携 
  □3 会計監査人の選解任等・評価 
  □4 監査報告における次の課題・・・監査報告書の透明化(長文) 
  □5 財務・会計の知見者の重要性 
  □6 会計監査の実効性を高めるその他の取組み 
  ■四 おわりに 
    ■東京地裁における商事事件の概況 
    ■平成28年度会社法関係重量判例の分析(下)
    ■平成29年改正金商法の解説(3・完) 
    ■平成28年度における主要な企業結合事例 
    ■スチュワードシップ・コード改訂への実務対応 
    ■実務問答会社法 第13回
簡易分割の可否の判定における各種引当金の取扱い 
    ■商事法判例研究No.613
MBOにおける全部取得条項付種類株式の取得価格決定申立て 
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第4回会議が開催される
商事法務研究会、「特別養子を中心とした養子制度の在り方に関する研究会」の第1回会議を開催 
金融庁、監査法人のローテーション制度に関する調査報告を公表
東証、独立社外取締役の選任状況等を公表
平成29年6月定時株主総会の概況
    ■スクランブル:株主総会のお土産を考える
   7月
  2140
    ■平成28年度会社法関係重要判例の分析(上) 
    ■平成29年改正金商法の解説(2)
フェア・ディスクロージャー・ルール 
    ■米国におけるヴァーチャル総会増加とわが国における適否
    ■新株予約権付社債の活用についての一考察(下)
・・・シード・ステージのベンチャー・ファイナンスへの利用 
    米国の経営者報酬ポリシーの実態と日本への示唆(下) 
    ■米国会社・証取法判例研究No.358
株式買取価格決定における market-check の考慮・意義 
    ■ニュース 
株式報酬等に係る改正取引規制府令・開示府令が公布される
国税庁、法人税基本通達等の一部改正を公表
日本証券業協会、自主規制規則見直し検討計画を公表
    ■スクランブル:買収争奪戦と対象会社取締役の義務
    ■新商事判例便覧No.698
2139   
    ■平成29年改正金商法の解説(1)
株式等の取引の高速化への対応
    ■株式報酬と会社法(下) 
    ■新株予約権付社債の活用についての一考察(上)
・・・シード・ステージのベンチャー・ファイナンスへの利用 
    ■米国の経営者報酬ポリシーの実態と日本への示唆(上) 
    ■グローバルD&O保険プログラムの構造と限界
    ■商事法判例研究No.612
証券取引所が取引参加者に対し負う義務と免責条項における重過失の意義・・・ジェイコム株誤発注事件控訴審判決
    ■会員定例解説会のご案内 
    ■トピック:未来投資戦略2017における企業の情報開示の充実策 
    ■ニュース:
日本公認会計士協会、監査人交代理由等の開示充実に係る取組みを公表
日本公認会計士協会、「監査提言集」を公表
東京証券取引所、取引参加者規程の一部改正を公表
日本証券業協会、「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正を公表 
    ■スクランブル:ガバナンス型総会の到来 
2138   
    ■株式報酬と会社法(上) 
    ■スチュワードシップ・コード改訂の解説 
    ■キャッシュ・アウトに関する税制改正の概要と実務への影響(下) 
    ■株主名簿の備置対応
    ■実務問答会社法 第12回
「子会社」の意義と社外取締役の要件に関する諸問題
    ■会員定例解説会のご案内 
    ■トピック:2017年GCGC大会レポート
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第3回会議が開催される
第193回通常国会で成立した主な法律
政府、「未来投資戦略2017」を閣議決定
東証等、平成28年度株式分布状況調査の調査結果を公表
平成28年の株主代表訴訟の新受件数は36件
平成29年5月定時株主総会の概況
    ■スクランブル:相談役・顧問の役割とは 
6月
2137
    ■企業法務の視点・・・2017年第1四半期の話題 
    ■キャッシュ・アウトに関する税制改正の概要と実務への影響(上) 
    ■東京大学比較法政シンポジウム
企業と投資家の建設的対話の発展に向けて・・・フェアディスクロージャー制度を踏まえて
    ■わが国における建設的対話における諸論点・・・企業の視点から 
    ■フェアディスクロージャーを踏まえた実務対応上の諸論点 
    ■総括に代えて
    ■社外取締役報酬検討のあり方・・・米国および日本の動向を踏まえて 
    ■米国企業・証取法判例研究No.357
合併による株主の地位の喪失と原告適格 
    ■ニュース:
公取委、平成28年度主要企業結合事例を公表
東証、6月定時株主総会開催日の集中結果を公表
金融庁、デジタルデザイン株式に係る相場操縦で審判期日を開催
商事法務研究会、第6回提示社員総会を開催 
    ■SSコード改訂と機関投資家への期待 
    ■新商事判例便覧No.697 
2136   
    ■監査法人の組織的な運営に関する原則・・・監査法人のガバナンス・コード 
    ■議決権行使実質化検討フォーラム
「議決権行使白書」について・・議決権行使の実質化に向けた現状と課題 
    ■クロスボーダーのM&Aプロセスにおける個人情報の保護と利活用 
    ■東京大学比較法制シンポジウム
企業と投資家の建設的対話の発展に向けて
・・・フェアディスクロージャー制度を踏まえて
投資される経営、売買される経営 
    ■わが国における建設的対話における諸論点・・・投資家の立場から 
    ■商事法判例研究No.611
基準日後取得株主による全部取得条項付種類株式の取得価格決定の申立て 
    ■ニュース
民法の一部を改正する法律等が公布される
銀行法等の一部を改正する法律が公布される
公取委、データと競争政策に関する報告書を公表 
    ■スクランブル:
債権法改正議論を振り返って 
2135   
    ■主幹事証券会社の引受審査義務 東京地裁H28.12.20の検討
    ■東京大学比較法制シンポジウム
企業と投資家の建設的対話の発展に向けて
・・・フェアディスクロージャー制度を踏まえて
    ■フェアディスクロージャー制度の導入とスチュワードシップ活動 
    ■わが国におけるIR/SRの諸課題とフェアディスクロージャー 
    ■近時の公開買付け事例における取引スキームの考察
・・・・公開買付けと特別配当の組合せ取引を中心に 
    ■実務問答会社法第11回
監査等委員会設置会社における提訴請求・利益相反取引に関する諸問題 
    ■ニュース
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第2回会議が開催される
金融商品取引法の一部を改正する法律が公布される
スチュワードシップ・コード(改訂版)が好評される
議決権行使実質化検討フォーラム「議決権行使白書」を公表
平成29年4月定時株主総会の概況
    ■スクランブル:「カパニー・セクレタリー」論の意味
5月   
2134
    ■中長期業績連動報酬・株式報酬の新展開
平成29年度税制改正後の役員報酬の枠組み 
    ■会社補償実務研究会「会社補償実務指針案」の解説 
    TOPIX100構成銘柄企業のコーポレートガバナンス・コード対応の傾向
・・・2017年3月末時点開示内容をもとに 
    ■スピン・オフ税制の導入とわが国上場会社への影響(下)
    ■米国会社・証取法判例研究No.356
社内通報者に対するどっど・フランク法上の保護 
    ■ニュース
金融庁、取引規制府令および開示府令の改正案で意見照会
日本監査役協会、役員等の構成の変化等に関するアンケート集計結果を公表
GRIF、機関投資家のスチュワードシップ活動に関するアンケート集計結果を公表
企業会計基準委員会、「従業員に対して権利確定条件付き有償新株予約券を付与する取引に関する取扱い(案)」を公表
経済産業省、「FinTechビジョン」を公表
    ■スクランブル:決算短信の簡素化が実務に及ぼす影響 
      平成29年2月10日に決算短信作成要領の改訂版を公表
@サマリー情報について決算短信様式の使用義務が撤廃
A経営方針等の開示要事項が任意記載事項へと変更
B投資判断を誤らせるおそれがない場合には、決算短信の公表時点では連結財務諸表を添付せずに任意の財務情報を提供し、開示可能となった段階で後から連結財務諸表を開示することが認められることとなった

米国のアーニングリリースの実務に倣う形で、上場企業が自らの判断で投資家にとって重要だと考えられる内容を、現在よりも早く開示することを許容することが目的。
    ■新商事判例研究No.696 
2133   
    ◆商事法研究会会員解説会
「会社法研究会」報告書について 
  ■はじめに 
  ■第1 株主総会資料の電子提供 
  □1 総論 
  □2 書面請求権 
  □3 アクセス通知 
  □4 任意の書面提供 
  ■第2 株主提案権の濫用的な行使の制限 
  ■第3 取締役会の決議事項 
  ■第4 取締役の報酬 
  ■第5 役員の責任 
  □1 会社補償 
  □2 D&O保険 
  ■第6 社債 
  □1 新たな社債管理制度 
  □2 社債債権者集会 
  ■第7 責任追及等の訴え 
  □1 責任追及等の訴えに係る訴訟における和解 
  □2 その他 
  ■第8 社外取締役 
    ■CGS研究会報告書のポイントとガバナンス実務への影響 
    ■株主総会白書データから読み取る株主総会の実像
2011年〜2016年データによる分析 
    ■スピン・オフ税制の導入とわが国上場会社への影響(上)
    ■「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の解説(下)
    ■日本におけるPIPEの現状
    ■FinTech・仮想通貨におけるマネロン・反リスクの所在
・・・諸外国の実例や規制動向を踏まえた考察
    ■実務問答会社法 第10回 
取締役および監査役の指名・報酬に係る任意の委員会の権限
    ■商事法判例研究No.610
睡眠導入剤等の影響により「正常な運転ができないおそれがある状態」での自動車運転事故による保険者免責 
    ■ニュース:
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会の第1回会議が開催される
経済産業省、「対話型株主総会プロセス」実現に向けた取組状況のフォローアップ実施内容を公表
公正取引委員会、「独占禁止法研究会報告書」を公表
日本取引所グループ、2017年3月期の定時株主総会調査結果を公表
平成29年3月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:企業からみた監査法人ガバナンス・コード 
4月   
2132   
    ■合弁会社における少数派株主保護とデッドロック解消のためのプランニング
    ■「執行役員社長」の登場と実務対応 
    ■「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の解説(中)
    ■上場他社株の担保設定・実行に関する金融商品取引法上の諸問題(下) 
    ■ドイツ企業買収手続の要点(3・完) 
ドイツにおけるM&A関連論点・・競争法、外資規制とM&A関連紛争
    ■米国会社・証取法判例研究No.355
退職役員に対する争訟費用の前払いとDGCL145条 
    ■トピック:平成29年度税制改正と同改正が役員報酬実務に与える影響
    ■ニュース:
経済産業省、法人税の申告期限延長特例の適用に係る留意点を公表
衆議院、民法改正案を可決
全国株懇連合会、株主等に関する個人情報保護法対応のガイドラインの改正を公表
企業会計基準委員会、改正修正国際基準を公表
    ■スクランブル:役員報酬に関する制度整備の行方 
    ■新商事判例便覧No.695 
2131   
    ■インサイダー取引規制における好評と公知性・・最高裁H28.11.28の検討 
    ■有価証券報告書等における経営方針等の記載の追加等に係る開示府令等の改正
    ■「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の解説(上) 
    ■上場他社株の担保設定・実行に関する金融商品取引法上の諸問題(上) 
    ■ドイツ企業買収手続の要点(2)
ドイツにおける上場株式のM&A・・・公開買付制度と実務上の諸問題 
    ■商事法判例研究No.609
取締役としての地位に基づく会計帳簿等閲覧謄写請求 
    ■ニュース
金融庁、監査法人のガバナンス・コードを発表
経済産業省、CGSガイドライン等を公表
金融庁、「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表 
    ■スクランブル:
第4次産業革命の鍵を握る保有データの利活用戦略と法務部門の役割
2130   
    ■ドイツ企業買収手続の要点(1)
ドイツにおける非上場会社のM&A・・・日本企業が直面する問題と実務的な対応策 
    ■取締役会の実態と取締役会の運営に関する見直しの視点
・・・別冊・商事法務「改正会社法下における取締役会の運営実態」を踏まえて 
    ■平成29年株主総会の実務対応(7・完) 
    ■銀行のオープンAPI導入に向けた新しい制度構築のための諸論点 
    ■実務問答会社法 第9回
相殺構成による株式発行と資本充実の原則 
    ■ニュース
「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」の第3回会議が開催される
「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」の第8回会議が開催される
平成29年度税制改正法案が可決成立
平成29年2月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:会社法改正議論への高まる期待 
3月   
2129
    ■会社法研究会報告書
(平成29年3月2日・公益社団法人商事法務研究会 会社法研究会) 
    ◆平成29年株主総会の実務対応(6):
株主総会で想定される質問と回答例 
  ■一 本年の定時株主総会を取り巻く状況 
  ■二 コーポレートガバナンス・コードに関連した想定問答 
  □1 基本的な対応方針 
  □2 議決権行使のための環境整備
  □3 取締役会の実効性評価 
  □4 経営者報酬関連 
  □5 独立社外取締役の複数名選任
  ■三 働き方改革に関連した想定問答 
  □1 女性の活躍推進
  □2 長時間労働の抑制
    ■米国会社・証取法判例研究No.354
DGCL220条(b)項における「帳簿および記録」の範囲 
    ■ニュース:
経済産業省、CGS研究会報告を公表
日本公認会計士協会、「決算短信・四半期決算短信の記載事項の見直しについて」を公表
情報処理推進機構、企業における営業秘密管理に関する実態調査の結果を公表 
    ■スクランブル:独立社外取締役の能力発揮のための環境整備を進めよう 
    ■新商事判例研究No.694 
    ■2017年度「法律相談室」のご案内 
2128   
    ■米国におけるアクティブスト株主対応の最新動向とわが国への資産
・・・空売りアクティブストの動向も含めて 
  ◆     ◆平成29年株主総会の実務対応(5)
株主総会における議事運営 
  ■一 はじめに 
  ■二 株主総会の事前準備 
  □1 会場の設営
  □2 事務局の準備・リハーサル 
  □3 ビジュアル化 
  □4 環境対策 
  □5 株主提案への対応 
  □6 事前質問状への対応 
  ■三 受付
  □1 株主資格の確認
  □2 実質株主の入場 
  □3 外国人株主の入場 
  □4 来場者へのお土産等 
  □5 途中入場・退場、再入場等 
  ■四 議場での議事運営 
  □1 個別審議方式と一括審議方式 
  □2 質疑応答 
  □3 社員株主 
  □4 特殊シナリオ 
  □5 説明義務 
  ●(1) 説明義務に関する一般論 
  ●(2) 説明義務者 
  ●(3) 社員役員の説明義務 
  ●(4) 監査等委員会設置会社への移行時株主総会での説明義務 
  ●(5) 監査等委員会設置会社における委員の説明義務 
    ■企業法務の視点・・・・2016年第4四半期の話題
    ■種類株式の最新実務(6・完)
    ■金融商品取引法第21条の2に係る解釈論の整理(下) 
    ■商事法判例研究No.608
株主が死亡により会社を退職したときに株式を会社に額面金額以内で譲渡する旨の売渡強制条項とそれに基づく自己株式取得の効力 
    ■ニュース
会社法研究会の第14回会議が開催される
金融審議会総会・金融分科会合同会合が開催される
東京地裁、東京建物不動産販売と東京建物の株式交換に係る株式買取価格決定申立事件で会社側提示価格を買取価格とする決定 
◎日本経済団体連合会、「のれんの会計処理に関するアンケート結果の整理」を公表
企業がM&Aを行う際に、
「支出した金額>受け入れた資産・負債の額」の場合、
その差額は「のれん」として資産計上され、
日本の会計基準では、
企業結合で生じたのれんは、20年以内で規則的に償却し、償却のスピードを上回って価値が毀損した場合には、減損を行うことを原則。
IFRS・米国基準では、償却はせずに、毎期減損テストを行うのみ。
金融庁、企業会計審議会新会長等を任命
    ■スクランブル:企業不祥事を根絶する経営トップの真剣度 
2127   
    ■ICGNの役員報酬ガイダンス
・・・グローバル投資家の業務執行・非業務執行の役員報酬 
    ■金融商品取引法第21条の2に係る解釈論の整理(上) 
    ◆平成29年株主総会の実務対応(4)
事業報告書作成上の留意点
  ■一 はじめに 
  ■二 「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(平成27年法務省令第6号)の経過措置の確認 
  ■三 「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(平成27年法務省令第6号)にて追加となった記載事項を含む記載事項の時点等の整理 
  ■四 監査等委員会設置会社移行に伴う留意点 
  ■五 コーポレートガバナンス・コード対応 
  ■六 その他の事項 
  ●1 年号の表示について 
  ●2 会計監査人の解任または不再任の決定の方針について 
  ■七 最後に 
  ◆     ◆種類株式の最新実務(5)
事業再生局面での種類株式の活用 
  ■一 はじめに 
  ■二 事業再生局面にける種類株式活用の特色等 
  □1 利害関係の調整弁としての機能 
  □2 プレーヤー類型ごとの特色等 
  ●(1) ファンド 
  ●(2) 金融機関 
  ●(3) ビジネスパートナー(主要取引先・提携先) 
  ●(4) 経営陣等 
  □3 活用事例の分析 
  ●(1) 総観 
  ●(2) 各条項についての分析 
  ◎ア 配当・残余財産の分配についての定め(法108条1項1号・2号) 
  〇(ア) 剰余金の配当に関する定め 
  〇(イ) 残余財産の分配に関する定め 
  ◎イ 取得請求権および取得条項(法108条1項5号・6号) 
  ○(ア) 取得請求権 
  ○(イ) 取得条項 
  ◎ウ 議決権・拒否権・役員選任権・譲渡制限(法108条1項3号・4号・8号・9号) 
  ○(ア) 議決権 
  ○(イ) 拒否権 
  ○(ウ) 役員の選任権 
  ○(エ) 譲渡制限に関する定め 
    ■実務問答会社法 第8回
吸収合併における株主に対する通知・公告の期間短縮・省略と簡易合併・略式合併
    ■ニュース
「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」の第7回会議が開催される
日本IR協議会、フェア・ディスクロージャーに関するアンケート調査結果を公表
平成29年1月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:ローエイシア東京大会2017を若手法務担当者の育成に活用しよう 
2月   
2126
    ■2017年ISS議決権行使助言方針と背景にある考え方 
    ■2017年グラス・ルイス議決権行使助言方針と日本のコーポレート・ガバナンス改革 
    ■JCOM最高裁決定の示唆する「公正な手続」と実務 
    ◆平成29年株主総会の実務対応(3)
株主総会参考書類作成上の留意点(役員選任議案以外) 
  ■一 はじめに 
  ■二 株主総会議案の一般的傾向 
  ■三 議案作成上の留意点 
  □1 一般的記載事項 
  ●(1) 議案 
  ●(2) 提案の理由 
  ●(3) 監査役の調査結果の概要 
  ●(4) 任意の記載事項 
  □2 各議案の検討 
  ●(1) 剰余金処分議案 
  ●(2) 定款変更議案 
  ●(3) 株式併合議案 
  ●(4) 役員報酬改定議案 
  ●(5) 会計監査人選任議案 
  ■四 おわりに 
  ◆    ◆種類株式の最新事情(4)
種類株式を利用したスタートアップ・ファイナンス 
  ■一 はじめに 
  ■二 調査概要とその全体的な傾向 
  □1 種類株式の利用状況 
  □2 全体的な傾向 
  ■三 経済的権利に関する規定 
  □1 優先配当 
  □2 残余財産の分配 
  □3 取得請求権 
  □4 取得条項 
  ■四 企業の運営に関する事項 
  □1 役員選任権 
  □2 議決権 
  □3 種類株主総会・拒否権
    ■米国会社・証取法判例研究No.353
スワップ取引の締結と内部者取引 
    ■ニュース 
法制審議会総会の178回会議が開催される
金融庁、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等を公表
東証、有価証券上場規程の一部改正を公表
スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会の第2回会議が開催される
企業会計審議会の第5回会計部会が開催される
金融庁、SHIFT株式に係る重要事実伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告議案で審判期日を開催
    ■スクランブル:運用可能なフェア・ディスクロージャー・ルールの整備を望む 
  CGコードの情報開示に係る原則⇒法令に基づく開示を適切に行うのみならず、法令に基づく開示以外の情報提供にも積極的に取り組む事例。 
金融審議会市場ワーキング・グループから「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告」が公表。
〜未公表の内部情報を発行会社が第三者に提供する場合に当該情報が他の投資家にも提供されることを確保するルールの導入が提言。
  ●本ルールの対象となる具体的な情報の範囲 
タスクフォース報告:
「インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲と基本的に一致させつつ、それ以外の情報のうち、発行者又は金融商品に関係する未公表の確定的な情報であって、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性があるものを含めることが考えられる」
vs.
発行会社サイドで本ルールの適用対象となる情報か否かの判別⇒線引きが明確に行える必要。
そうでないと、公表前に、アナリスト等から問い合わせ⇒
@本ルールの適用対象となることを恐れるあまり、あらゆる情報について一律無回答の方針
A1社の問い合わせに応じた場合、ささいな情報でも、その情報が有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性があるとはいえないと発行会社再度で確信をもって判断できない⇒安全策をもってすべからく開示
タスクフォース報告:
「公表直前の決算情報であれば、機関決定に至っていない情報や軽微基準の範囲を超えない情報であっても、投資者の投資判断に影響を及ぼす重要な情報となる場合があり得ると考えられる⇒こうした情報を全て対象から外してよいかという問題」
vs.
決定がなされていない不完全な段階の情報を、誰の判断・責任に基づいて、どの程度具体的な内容を伴ったものとして社外に開示すればよいのか、発行会社としては対応が難しい問題提起。
  ●本ルールに抵触した場合の対応 
タスクフォース報告:
行政的に指示・命令を行う。

判断が不明確な場合の抑止効果
  本ルールの対象となる情報受領者の範囲を証券会社等に限定し、報道機関が対象に入っていない。 
    ■新商事判例便覧No.693
2125   
    ■証券取引等監視委員会中期活動方針(第9期)
〜四半世紀の活動を踏まえた新たなステージへ 
    ◆平成29年株主総会の実務対応(2)
役員選任議案に係る実務上の留意点
  ■一 はじめに 
  ■二 役員選任議案の法廷記載事項 
  □1 役員選任議案の一般的な記載事項 
  ●(1) 提案の理由等 
  ●(2) 候補者の氏名、生年月日および略歴 
  ●(3) 就任の承諾を得ていないときは、その旨 
  ●(4) 監査等委員会の意見があるときは、その意見の概要 
  ●(5) 責任限定契約の内容の概要 
  ●(6) 候補者の有する会社の株式数 
  ●(7) 重要な兼職 
  ●(8) 特別の利害関係 
  ●(9) 現任役員の場合は会社における地位および担当 
  ●(10) 会社が他の者の子会等である場合の記載事項 
  ●(11) 監査役選任議案または監査等委員である取締役選任議案の記載事項 
  □2 社外役員候補者である場合の記載事項 
  ●(1) 候補者が社外役員候補者である旨 
  ●(2) 社外役員候補者とした理由 
  ●(3) 在任中の法令・定款に違反する事実等 
  ●(4) 他者役員在任中の法令・定款に違反する事実等 
  ●(5) 経営に関与したことがない候補者であっても社外取締役等としての職務を適切に遂行することができるものと株式会社が判断した理由 
  ●(6) 特定関係事業者との関係等 
  ●(7) 社外取締役等に就任してからの年数 
  ●(8) 候補者の意見の内容 
  □3 社外取締役を置いていない場合の特則 
  ■三 コーポレートガバナンス・コード関係 
  □1 各候補者の選任理由 
  □2 監査役の財務・会計に関する知見、兼任の状況 
  □3 選任方針、議案決定プロセス、任意の指名委員会等に関する記載など 
  □4 独立性基準の記載 
  □5 独立役員に関する記載等 
  □6 その他 
  ■四 おわりに 
    ■経営者報酬と企業の社会貢献 
    ■課徴金処分取消判決等を踏まえたインサイダー取引防止・情報管理の実務上の留意点
    ◆種類株式の最新実務(3)
公開買付規制における種類株式の取扱い 
  ■一 はじめに
  ■二 「株券等」の該当性 
  □1 総論 
  □2 「議決権のない株式」(拒否権付き株式等の取扱い)
  □3 議決権のある株式への転換に条件が付されている種類株式の取扱い 
  □4 議決権復活条項の付された株式の取扱い 
  □5 複数回の転換が定められている種類株式の取扱い 
  □6 「株券等」に該当しない種類株式の取扱い 
  ■三 「株券等所有割合」の算出方法等 
  □1 法令の定め 
  □2 複数議決権方式の取扱い 
  ■四 強制公開買付規制の適用範囲 
  □1 総論 
  □2 カネボウ最高裁判決
  □3 実務上の運用 
  □4 検討 
  □5 普通株式への転換を目的とした買付けの取扱い
  ■五 均一条件規制における種類株式の取扱い 
  ■六 上限・下限の設定における種類株式の取扱い
    ■商事法判例研究No.607
監査役会の同意を各監査役選任決議の取消しの訴えと裁量棄却 
    ■ニュース
東京地裁、フジ・メディア・ホールディングスの株主総会決議取消請求事件で原告らの請求を棄却する判決
スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会の第1回会議が開催される
全国株懇連合会、企業と投資家の建設的な対話促進のための適切な基準日の設定に係る「定款・株式取扱規程」変更を公表
ISS、2017年版議決権行使助言方針を2月1日から施行
第193会通常国会に内閣が提出予定の法律案 
    ■スクランブル:エフオーアイ東京地裁判決から考える分速決算防止のための支援体制
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    ◆平成29年株主総会の実務対応(1)
本年定時株主総会に向けての留意点 
  ■一 はじめに 
  ■二 株主総会をめぐる最近の法令等改正の動向 
  □1 日本再興戦略2016 
  ●(1) 対話型株主総会プロセス 
  ●(2) 効果的かつ効率的な開示の実現 
  ●(3) 株主総会日程・基準日の合理的な設定のための環境整備 
  □2 商事法務研究会「会社法研究会」 
  ■三 機関投資家をめぐる状況
  ●(1) 平成28年株主総会の状況 
  ●(2) 大手議決権行使助言会社の議決権行使助言方針(ポリシー)改定 
  ●(3) スチュワードシップ・コード見直しの動向 
  ■四 平成28年株主総会の振返りと本年総会に向けての留意点
  1 一般的な傾向と対応 
  ●(1) 開催日の集中度と基準日の変更 
  ●(2) 増加した議案 
  ●(3) 株主総会の出席とお土産廃止 
  ●(4) 株主の発言 
  2 平成26年会社法改正対応の状況 
  ●(1) 平成26年会社法改正対応として株主総会で行った事項 
  ●(2) 社外取締役の選任・複数化 
  ●(3) 監査等委員会設置会社 
  ●(4) 会社法上のWEB開示 
  3 コーポレートガバナンス・コード対応の状況
  ●(1) 一般的な実施(comply)の状況 
  ●(2) 招集通知の任意記載 
  ●(3) 招集通知の工夫 
  ●(4) 招集通知の発送前WEB開示・早期発送 
  ●(5) 招集通知・議決権行使の電子化 
  ■五 その他 
    ■機関投資家の視点、企業との対話
・・・投資家フォーラムの近時の活動を中心として 
    ◆種類株式の最新実務(2)
金融商品取引法における種類株式の取扱い 
  ■一 はじめに 
  ■二 発行開示規制の種類株式 
  □1 種類株式の発行の際に必要な手続 
  □2 種類株式に係る有価証券届出書 
  ■三 継続開示規制と種類株式 
  □1 種類株式に係る有価証券報告書等の記載 
  □2 外形基準にうおける種類株式の取扱い 
  □3 継続企業の前提に関する注記 
  ■四 大量保有報告規制と種類株式 
  □1 総論 
  □2 「株券等」の該当性 
  □3 「株券等保有割合」の算出方法 
  □4 転換時の変更報告書の要否 
    ■取締役会の実効性評価の今後の潮流 
    ■実務問答会社法 第7回
株式等売渡請求における取引条件、仮払いの方法等 
    ■ニュース
法務省「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」を公表
政府、第4回未来投資会議を開催
証券取引等監視委員会、中期活動方針(第9回)を公表
経済産業省、「第4次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会」を開催
平成28年12月定時株主総会の概況 
    ■スクランブル:平成29年度役員給与税制改正案の実務への影響と課題 
       
1月
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    ■2017年商事法務展望
金融・資本市場制度等をめぐる現状と展望
ディスクロージャー・企業会計等をめぐる動向 
  ◆       ◆種類株式の最新実務(1):
上場制度と種類株式 
  ■一 本連載について 
  ■二 上場制度と種類株式 
  □1 はじめに 
  □2 種類株式に関する上場制度の沿革 
  ●(1) 優先株等の上場に関する制度整備 
  ●(2) 議決権種類株式の情状に関する制度整備 
  ●(3) 上場会社による非上場の種類株式発行に関する制度整備 
  □3 現在の上場制度の枠組み 
  □4 株券等の新規上場と種類株式 
  ●(1) 種類株式に関する上場基準 
  ●(2) 種類株式と新規上場に関する主要事例 
  □5 優先株等の上場制度 
  □6 上場会社による非上場の種類株式発行 
  ●(1) 種類株式の発行に関連する上場廃止基準 
  ●(2) 種類株式の発行と第三者割当規制 
  ●(3) エクイティ・ファイナンスのプリンリプル 
  ●(4) 上場会社による非上場の種類株式発行に関する主要事例 
    ■新春座談会:
対話型株主総会プロセスの将来像(下) 
    ■商事法判例研究No.606:
株式譲渡制限会社における株主総会の特別決議を欠く新株発行に係る既存株主全員の了承 
    ■米国会社・証取法判例研究No.352
アーンアウト条項のあるM&A契約の解釈と誠実・公正な取扱いの黙示の誓約 
    ■ニュース:
日本監査役協会、「監査役等と内部監査部門との連携について」を公表
公正取引委員会、「データと競争政策に関する検討会」を設置
日本取締役協会、「責任ある機関投資家」の諸原則<日本版スチュワードシップ・コード> 〜投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために〜」の改定に関する提言を公表
    ■スクランブル:ニッポン株式会社を強くする改正会社法202Xへの期待 
    ■新商事判例便覧NO.692 
  ●3234:
内規上は取締役会決議であるにもかかわらず取締役会決議を経ずに行われた取引について、取締役の任務懈怠責任ないし不法行為責任が認められた事例 
Yが、
@Yの内規(職務権限基準表)状これらの契約の一部については取締役会決議を経る必要があったにもかかわらず取締役会決議が経られていないこと
Aこれらの契約はいずれも不必要な契約であり、かつ、業務提供の実態が不存在であったにもかかわらず契約の締結および報酬の支出がおこなわれていること

Xらに対して取締役の損害賠償を求めた事案。
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    ■新春座談会
対話型株主総会プロセスの将来像(上)
    ★2017年商事法務展望
    ■民事基本法制の立法動向等 
    ■会社法性に関する展望 
    ■商法改正法案(運送・海商関係)の国会提出 
  ■    ■商業・法人登記制度をめぐる最近の動向 
    ■司法制度改革の進展と展望 
  ■    ■産業組織関連法制の課題 
    ■競争政策の動向と課題 
    ■企業会計基準委員会の活動と2017年の展望 
    ■平成29年における株式実務の課題と対応 
    ■経済界からみた企業法制改正作業等に係る課題 
    ■企業法務の展望と課題 
    ■ニュース 
  ■    ■スクランブル:これからの世界のための企業のあり方